行政から求められた資料は、どこまで出さなければならないのか――報告徴収・現地調査の「必要な限度」
交付主体から資料の提出を求められたときは、まず、できる限り応じた方がよいと考えております。応じないことが交付決定の取消しの理由にされ得ます。求める側の権限にも「必要があるとき」という限定があります。根拠が補助金適正化法15条か23条1項かで、限度の立て方も違ってきます。
補助金に関する紛争・法律問題について、判例・文献に基づく詳しい法的整理を掲載しています。
いま起きている問題が決まっている方は、記事より先に、状況別の対応をまとめたページをご覧ください。
「5年たてば自由に処分できるのか」「違反があれば必ず取り消されるのか」といった問いに、2〜3文で答えています。ページの末尾には用語の一覧も置いています。
交付主体から資料の提出を求められたときは、まず、できる限り応じた方がよいと考えております。応じないことが交付決定の取消しの理由にされ得ます。求める側の権限にも「必要があるとき」という限定があります。根拠が補助金適正化法15条か23条1項かで、限度の立て方も違ってきます。
補助事業を遂行していることは、売上の記録でしか示せないわけではありません。受注・販売の記録、会計帳簿への計上、事業に従事する人の記録、販路開拓の活動の記録、取得した財産が使える状態にあることが分かる写真といった、日付の分かる資料の積み上げで示すことができると考えております。
補助金の返還を命ずる根拠は一つではありません。交付決定の取消しに伴う返還(補助金適正化法18条1項)と、額の確定により交付済みの額が上回ったときの返還(同条2項)は別の規定です。会計検査院が令和6年度決算検査報告で事業再構築補助金について不当と認めた3類型を整理します。
補助金適正化法は、遂行の状況の報告(12条)、遂行命令・一時停止命令(13条)、額の確定に当たっての調査(15条)、是正措置命令(16条1項)を第三章に置き、交付決定の取消し(17条1項)を次の第四章の冒頭に置いています。実施の状況を調べないまま取消しがされた場合の争い方について当職の見解を述べます。
額の確定とは、実績報告を受けて、交付すべき補助金の額を最終的に決める手続です(補助金適正化法15条)。計画と実績が少し違っていれば、それだけで減額されるのか。法が経費の配分と事業内容の「軽微な変更」を事業者の判断に委ねていること(7条1項1号・3号)を手がかりに整理します。
廃業したからといって、補助金の全額を返すことになるとは限りません。公式に示されている納付額の計算式(D=A×C/B)と残存簿価相当額の求め方、事業廃止の届出から財産処分の承認申請・納付までの手続の順番、やめ方ごとの違いを、交付規程と公式の「よくあるご質問」に即して整理します。
重複受給(重複支給)とは、同一の経費に補助金が二重に充当されることだと解しております。事業のテーマが共通するだけでは当たらないと考えております。重複を禁じる根拠とされる交付規程の文言、別個の事業であることの示し方(取組の内容・経費・実施時期)、取消しの可否を整理します。
補助金で取得した設備の廃棄に伴う残存簿価相当額の納付には、限界があります。この納付は財産処分の承認に付された附款(負担)であり、その許容性と限界は根拠法(中小機構法)の解釈によって決まるからです。やむを得ない廃棄に納付を命じることの限界を、最高裁調査官解説と塩野宏『行政法Ⅰ』に即して検討します。
賃上げ要件を達成できなくても、直ちに補助金の返還義務が生じるとは限りません。交付規程は中小機構の内部規範(給付規則)にすぎず、賃上げ要件の定めは中小機構を主語とするもので、補助事業者に義務を課す補助条件に当たらないのではないか――この私見を、補助金適正化法7条・8条・17条・18条と交付規程の構造から検討します。
処分制限期間とは、補助金で取得した財産について、補助金適正化法22条が定める処分(譲渡・交換・貸付け・担保供与)を承認なく行うことができない期間のことです。期間は財産ごとの法定耐用年数によって決まり(同法施行令14条1項2号。機械設備は10年前後、建物は50年に及ぶこともあります)、一律10年というルールはありません。「10年」の出どころと考えられる経済産業省通達の緩和基準、期間が経過した後の効果、期間内でも直ちに返還とはならない理由を、条文と通達に即して解説します。
補助事業の継続が困難になったとき、補助金を返還せずに継続義務から解放される出口としての事業譲渡。補助金適正化法22条の規制対象の検討、交付規程26条1項の届出制、譲渡人に残る義務と事業譲渡契約書による管理まで、法的スキームを解説します。
顧問先・支援先が「交付決定を取り消す」「補助金を返還してほしい」と言われたとき、士業・支援機関の先生方と弁護士がどのように連携できるか。実際に対応してきた事案の類型と、役割分担での並走・事業譲渡での連携という2つの形、ご連絡の方法をまとめました。
行政書士・中小企業診断士の先生方との対談録。補助金の処分性の見分け方(法律上の根拠・交付主体)、財産処分制限と廃棄処分、減額確定・自主返納への誘導、交付遅延、事業譲渡という出口まで、中小機構が交付する補助金の法的問題点を実務の目線で整理します。
補助金で取得した財産の廃棄処分が財産処分制限(補助金適正化法22条)に違反するのか。廃棄は22条の規制対象に含まれないとした東京地判平成2年1月30日と、異なる解釈の余地(最三令和3年3月2日判決の調査官解説)の両面を検討し、リスクを回避する選択肢としての事業譲渡を紹介します。
交付決定の取消し・返還請求、交付遅延、減額確定、自主返納、既存事業との併用、廃棄処分、事業譲渡、そして負担付贈与契約型の補助金(IT導入・ものづくり・持続化)――中小機構が関与する補助金で現に生じている問題を、類型ごとに概観します。
補助金で取得した財産を既存事業にも使用することが、原則として補助金適正化法17条1項所定の取消事由に該当しないことを、同法22条の規制対象(最三令和3年3月2日判決の調査官解説)・補助条件の意義・公募要領の位置づけから詳しく検討します。
事業再構築補助金の交付決定の取消しは取消訴訟で争える行政処分であること(処分性)、および中小機構の取消通知書には理由付記の不備という手続的瑕疵がある可能性が高いことを、判例・文献に基づいて解説します。理由不備は、実体法上の違法性の有無にかかわらず、それだけで取消事由となります。
交付決定から2年、3年と補助金が支払われない――事業再構築補助金等の支払遅滞について、交付期限の法的根拠、遅延損害金、督促(内容証明)の実効性、差戻し・追加書類要求への対応、減額決定・自主返納への誘導まで、行政書士・中小企業診断士の先生方との対談形式で検討します。
※ 各記事の内容は執筆時点の法令・裁判例・運用に基づく一般的な解説であり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。具体的な対応は、資料に基づく個別の検討が必要です。
このほか、補助金の交付遅延・減額確定・自主返納・廃棄処分・事業譲渡等に関する記事を、noteで随時公開しています。サイト版の記事も順次追加していきます。
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