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弁護士 岸上大起

事業再構築補助金は5年たてば自由に処分できるのか

このページの結論

事業再構築補助金で設備を導入しました。5年たてば、補助事業以外に使ったり、売ったりしてもよいのでしょうか。

「5年たてば自由に処分できる」という決まりはありません。補助金で取得した財産の処分が制限される期間(処分制限期間)は、財産ごとの法定耐用年数によって決まり、5年とは限りません。

処分制限期間が過ぎれば、補助金適正化法22条の制限は適用されなくなり、承認を受けずに処分できます。逆に、5年がたっていても期間の内側であれば、処分の前に承認を受けることとされています。まず確認すべきは、その財産の処分制限期間が何年で、既に過ぎていないかです。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 「5年」という数字はどこから来るのか

事業再構築補助金の交付規程には、「5年」という期間がいくつか出てきます。

  • 事業化状況報告――補助事業の完了の日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間、事業化の状況などを報告する義務があります(交付規程25条1項)。
  • 帳簿・証拠書類の保存――補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間、保存する義務があります(交付規程11条2項)。
  • 事業計画期間――公募回・申請枠により、3年・4年・5年のいずれかとされています。

「5年たてば自由」という理解は、これらの期間と、財産の処分制限期間とが混同されているように思われます。しかし、いずれも報告・保存・計画の期間であって、財産を処分してよいかどうかを決める期間ではありません。

この点は、事務局自身も公式の「よくあるご質問」で次のように説明しています。

引用(事業再構築補助金 よくあるご質問「財産処分について」Q22・Q23)「補助事業により取得した資産(財産)の処分を制限する期間は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)を準用しておりますので、事業化状況報告の完了後においても財産処分の手続きが必要となる場合があります。」
「……事業計画期間終了後においても、財産処分の手続きが必要となる場合があります。」
出典:事業再構築補助金「よくあるご質問」財産処分Q22・Q23

2 処分制限期間は、財産ごとの法定耐用年数で決まる

処分制限期間の仕組みは、条文で確認できます。補助金適正化法22条は、補助事業で取得し、又は効用の増加した財産を、承認を受けないで、補助金の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならないと定めています。そして、同法施行令14条1項2号は、次の場合には、この制限を適用しないとしています。

引用(補助金適正化法施行令14条1項2号)「補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定める期間を経過した場合」

事業再構築補助金では、交付規程24条1項が、取得価格又は効用の増加価格が単価50万円(税抜)以上の機械、器具及びその他の財産を処分制限財産とし、同条2項が、その処分を制限する期間について減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)を準用すると定めています。

したがって、処分制限期間は、その財産が耐用年数省令のどの区分に当たるかで決まります。設備であれば10年前後のものが多い一方、建物では数十年に及ぶこともあります。5年で終わる財産もあれば、終わらない財産もある、というのが正確な理解です。期間の決まり方と「10年ルール」の正体については、コラム「処分制限期間は何年か」で詳しく述べています。

次のような場合は、ご相談ください

  • 5年がたったので設備を売却・転用したいが、承認が必要か分からない
  • 処分制限期間の途中で、事務局から返還や納付を求められている
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

お手元の設備の処分制限期間が何年になるかを確かめたい方は、こちらもご覧ください: 処分制限期間は何年か(コラム)/廃棄処分・廃業(対応ページ)

3 処分制限期間が過ぎたら

処分制限期間が過ぎれば、施行令14条1項2号により、補助金適正化法22条の制限は適用されません。承認を受けずに売却・貸付け・担保提供などができ、それを理由に補助金の返還を求められることもありません。

逆に、5年がたっていても、処分制限期間の内側であれば、処分をしようとするときは、あらかじめ承認申請書を提出して承認を受けることとされています(交付規程24条3項)。返還を求められている財産について、処分制限期間が既に経過していないかは、最初に確認すべき事項の一つです。

4 期間内でも「何もできない」わけではない

処分制限期間の内側であっても、すべてが禁止されているわけではありません。

私見としては、補助金適正化法22条が承認を必要とするのは、「交付の目的に反して」する使用・譲渡・交換・貸付け・担保提供であり、補助事業に使いながら既存事業にも使うこと(既存事業との併用)は、原則として同条の規制対象にならないと考えております。また、補助事業ごと第三者に引き継ぐ事業譲渡は、譲受人が補助目的に沿って財産を使い続ける限り、交付の目的に反する譲渡には当たらないと考えております。

他方で、廃棄については、同条の規制対象に当たらないとした裁判例(東京地判平成2年1月30日判タ736号151頁)がある一方、これと異なる解釈の余地も否定し切れない論点です。処分の方法によって見通しが変わりますので、実行される前に検討されることをお勧めします。

処分制限期間の途中で設備の売却や事業の見直しを考えている事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、実行される前にご相談ください。処分の前であれば、選べる方法が多く残っています。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

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※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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