執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)
1 額の確定とは
補助金は、交付決定の後、補助事業を実施して実績報告をし(補助金適正化法14条)、その内容を審査して補助金の額を確定し(同法15条)、支払われる、という流れをたどります。
引用(補助金適正化法15条)「各省各庁の長は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては、報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し、適合すると認めたときは、交付すべき補助金等の額を確定し、当該補助事業者等に通知しなければならない。」
条文が定めているのは、報告された成果が「交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうか」を調査することです。適合しないと認めるときは、適合させるための措置をとるべきことを命ずる規定が別に置かれています(同法16条)。
2 本来の「減額確定」
本来の減額確定とは、補助事業に実際にかかった経費が、交付決定のときの見込みを下回った場合に、実際の支出額に合わせて額を確定するものです。たとえば、交付決定では内装工事費1,000万円とされていたところ、実際は900万円で済んだ場合に、実際の支出額に基づいて確定する、というものです。事業者自身の支出額に基づく精算であり、経費の適格性を後から審査し直す手続ではありません。
3 「対象外」として減らす運用
実務では、交付決定のときには補助対象とされていた経費について、実績報告の審査の段階で「汎用性がある」「補助対象外」と指摘され、その経費を除いた内容で実績報告を出し直すよう促され、減額された金額で確定される、という処理が見られます。
私見としては、交付決定で認めた経費を確定の段階で否認することは、交付決定の内容と実績とを照合するという確定の役割を超えており、実質は交付決定の一部取消しであると考えております。一部取消しであれば、補助金適正化法17条1項の取消事由(3類型)に当たることが必要になります。この点についての裁判例・文献を含む詳しい整理は、「補助金の減額確定への対応」のページに掲載しています。
次のような場合は、手続が進む前にご相談ください
- 確定検査で、経費の一部を「補助対象外」とされた
- 額の確定の通知で、申請より少ない金額を示された
減額を指摘されている方は、こちらもご覧ください: 補助金の減額確定への対応(対応ページ)/自主返納の求め(対応ページ)
4 減額を求められたら
- 確定の前であれば、減額した内容での実績報告の出し直しに急いで応じず、指摘がどの取消事由に当たるのかをご確認ください。
- 確定の後であれば、減額確定は行政処分として取消訴訟で争えます。ただし、原則として処分があったことを知った日から6か月の出訴期間があります(行政事件訴訟法14条1項)。
確定検査で経費を「対象外」とされ、減額を求められている事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、実績報告を出し直す前にご相談ください。交付決定通知書と実績報告の控えがあれば、具体的な検討ができます。
根拠(条文・公式資料・裁判例)
※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。
関連ページ
※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。