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弁護士 岸上大起

公募要領に「保険又は共済に加入することを原則必須とします」と書かれていますが、交付規程には保険の定めが見当たりません

このページの結論

省力化投資補助金(一般型)の公募要領に、導入した機械装置を対象として保険又は共済に加入することを「原則必須」とする、付保割合は50%以上、と書かれていました。交付規程を読んでも保険のことは見当たりません。保険料は補助の対象外だとも書かれています。従業員数名の会社で、事業計画期間を通じて保険料を払い続けなければならないのでしょうか。入らなければ取消しや返還になるのでしょうか。

中小企業省力化投資補助金交付規程には、保険または共済に関する義務の定めが一つもありません。財産の管理について同規程24条1項が課しているのは、「補助事業の完了後においても、善良な管理者の注意をもって管理し、補助金の交付の目的に従って、その効率的運用を図らなければならない」ことだけです。付保割合50%以上を求めているのは、公募要領(第8回公募)37頁の箇条書きです。もっとも、同規程23条1項14号が「その他応募申請時点における公募要領で定める事項に該当した場合」を交付決定の取消し等の事由としていますので、公募要領の記載は取消しの入口として現に働きます。義務の根拠がどの文書のどの文言にあるのかを特定することが、交渉の出発点になります。

同じ中小機構が交付主体となる中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程17条2項は、同じ義務を交付規程の本体に置き、補助金額(又は補助事業に要する経費)が1,000万円を超えるときに限り、付保割合を30%以上・40%以上・補助率以上と段階に分け、ただし書で小規模企業者について「保険又は共済への加入に代わる取組」による代替を認めています。省力化投資補助金(一般型)は、補助上限額が従業員数5人以下で750万円である制度ですが、金額の線も代替措置も置かず、付保割合を一律50%以上としています。公募要領が根拠として挙げる適正化法11条1項は補助事業を行う場面の規定で、事業計画期間(補助事業の完了後の3〜5年)を名宛てにしていません。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 公式の説明――省力化投資補助金(一般型)公募要領(第8回公募)37頁

中小企業省力化投資補助金(一般型)の公募要領(第8回公募)は、37頁に「6.補助事業者の義務」の「(8)善管注意義務」という項目を置いています。まず、書かれていることをそのまま引きます(以下、公式資料の閲覧日はいずれも2026年10月23日です)。

引用(省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)37頁「(8)善管注意義務」)「◼ 補助事業者は、補助金等適正化法第 11 条第1項に従い、善良な管理者の注意をもって補助事業を行わなければなりません。/◼ 例えば、補助事業者の不注意によって機械装置等を焼失・紛失し事業の継続が困難になる場合は、故意がなくても、善管注意義務違反として交付決定の取消や補助金の返還に至る場合があります。/◼ 事業計画期間終了までの間、本事業により導入した機械装置を対象として保険又は共済(風水害等の自然災害を含む損害を補償するもの/付保割合が 50%以上)に加入することを原則必須とします。実績報告提出時に、保険・共済への加入等を示す書類の提出が必要となります。」(※原文は箇条書きです。引用に当たり「/」で区切りました。)

同じ文は、第5回公募の公募要領34頁にも置かれています。付保の義務が、公募要領の「補助事業者の義務」の欄に、善管注意義務の説明と並べて書かれているわけです。

そして、同じ事務局の「よくあるご質問(第5回〜第8回)」は、この箇条書きを引くときに「原則」を落としています。PDF7頁、分類「申請要件」No.36の質問文です。

引用(よくあるご質問(第5回〜第8回)PDF7頁・申請要件No.36の質問内容)「公募要領 6 補助事業者の義務 (8)善管注意義務/事業計画期間終了までの間、本事業により導入した機械装置を対象として保険又は共済(風水害等の自然災害を含む損害を補償するもの/付保割合が 50%以上)に加入することを必須とします。 について、無形のソフトウェアやシステムに対しどのように保険に加入すればよいか。」(※原文は改行で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)

公募要領は「原則必須」、FAQの引用は「必須」です。そして、「原則」の例外が何かは、公募要領にもFAQにも書かれていません。

2 交付規程には、保険または共済に関する定めが一つもありません

次に、中小企業省力化投資補助金交付規程(令和6年6月24日規程令6第4号。最終改正 規定令8第9号。改正記号の表記は原文のとおりです)を見ます。この補助金について財産の管理を定めているのは、24条1項です。

引用(同交付規程24条1項。同規程6頁)「補助事業者及び対象リース会社は、補助対象経費(補助事業の一部を第三者に実施させた場合における対応経費を含む。)により取得し、又は効用の増加した財産(以下「取得財産等」という。)については、補助事業の完了後においても、善良な管理者の注意をもって管理し、補助金の交付の目的に従って、その効率的運用を図らなければならない。」

善良な管理者の注意をもって管理し、効率的運用を図ること。これだけです。保険や共済への加入は含まれていません。そして、同規程の全31条と別紙1から別紙4までを通じて、「保険」という語が現れるのは、中小企業信用保険法施行令を引く箇所、介護保険法に基づくサービスを引く箇所、公的医療保険からの診療報酬を引く箇所の三つだけで、いずれも付保の義務とは関係がありません。付保割合という語も、交付規程には出てきません。

それでも、公募要領に書かれた事項は効き目を持ちます。同規程23条1項は、交付決定の取消し等の事由を14号まで並べていますが、その最後の号が次のとおりです。

引用(同交付規程23条1項14号。同規程6頁)「(14)その他応募申請時点における公募要領で定める事項に該当した場合」

交付規程に一言もない義務が、公募要領に書かれているだけで、交付決定の取消しの入口につながる建て方になっています。義務の内容は公募要領に置き、違反の効果だけを交付規程で引き受ける構造です。交付規程の条項がそのまま補助条件になるのかという別の問題は、Q&A「交付規程に違反したと言われたら」で述べています。

3 同じ中小機構の姉妹制度は、交付規程本体に置き、小規模企業者に代替措置を認めています

同じく中小機構が交付主体となる中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)では、付保の義務が公募要領ではなく交付規程の本体に置かれています。同交付規程(規程令3第13号。最終改正 規程令7第5号)17条2項です。少し長いので、ただし書まで引きます。

引用(中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程17条2項。同規程6頁)「補助事業者は、次の各号に定める基準に該当する場合は、補助事業により建設した建物等の施設又は補助事業により取得した設備を対象として、同号に定める付保割合を満たす保険又は共済への加入を示す書類を、前項に規定する実績報告書と併せて提出しなければならない。ただし、第1号の場合において小規模企業者(常勤従業員数が20人以下(卸売業、小売業及びサービス業については5人以下)の会社又は個人事業主をいう。)については、保険又は共済への加入に代わる取組をもってこれを代替することができるものとし、その取組の内容を報告するものとする。/(1)第1回~第11回公募の補助事業者であって、第9条第1項の規定により交付決定の通知を受けた補助金の額(以下「補助金額」という。)が1,000万円を超えるとき/中小企業者等 30%以上/中堅企業等  40%以上/(2)第12回及び第13回公募の補助事業者であって、第9条第1項の規定により補助事業に要する経費が1,000万円を超えるとき/ 申請した補助金の補助率以上」(※原文は改行・表で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)

三つの違いがあります。第一に、義務の置き場所です。姉妹制度は交付規程という規範の本体に置き、省力化投資補助金は公募要領の箇条書きに置いています。第二に、対象の絞り方です。姉妹制度は補助金額(または補助事業に要する経費)が1,000万円を超えるときに限り、付保割合を30%以上・40%以上・補助率以上と段階に分けています。省力化投資補助金(一般型)は、金額による絞りを置かず、付保割合を一律50%以上としています。第三に、小規模企業者の扱いです。姉妹制度は、常勤従業員数20人以下(卸売業、小売業及びサービス業については5人以下)の会社または個人事業主について、「保険又は共済への加入に代わる取組」で代替することを認めています。省力化投資補助金の公募要領には、この代替措置がありません。

省力化投資補助金(一般型)の補助上限額は、公募要領(第8回公募)9頁の表のとおり、従業員数5人以下で750万円(大幅賃上げの特例適用時は1,000万円)です。従業員が数名の事業者が正面から申請できる制度です。姉妹制度が小規模企業者に代替措置を置き、しかも1,000万円を超える場合に限って付保を求めているのに対し、こちらは金額の下限も代替措置も置かず、一律に付保割合50%以上を求めていることになります。私見としては、この差の説明がどこにも見当たらないことは、指摘しておく余地があると考えております。

4 「適正化法11条1項に従い」という根拠の挙げ方は、正確ではありません

公募要領37頁は、善管注意義務の根拠として「補助金等適正化法第 11 条第1項」を挙げています。条文を確かめます。

引用(補助金適正化法11条1項)「補助事業者等は、法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件その他法令に基く各省各庁の長の処分に従い、善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならず、いやしくも補助金等の他の用途への使用(利子補給金にあつては、その交付の目的となつている融資又は利子の軽減をしないことにより、補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいう。以下同じ。)をしてはならない。」

義務の対象は「補助事業等を行う」ことです。補助事業は、補助事業完了期限日に終わります。これに対し、公募要領が求めている付保は「事業計画期間終了までの間」です。事業計画期間は、公募要領(第8回公募)8頁のとおり「補助事業を完了した事業年度(事業者の決算年度)の翌年度を 1 年目とし、3~5 年」とされています。補助事業が終わった後の期間です。11条1項が名宛てにしている場面とは、時期が違います。

では、補助事業の完了後に及ぶ義務は、どこから来るのか。適正化法7条3項が、同条1項・2項に定める条件のほか「各省各庁の長が法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要な条件を附することを妨げるものではない」と定めています。文献は、完了後の財産についての義務づけを、この任意的補助条件によるものとして整理しています。

引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』296頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「交付行政庁は任意的補助条件の一種たる事業完了後条件において、補助事業等により取得し又は効用の増加した財産について事業完了後も善管注意をもってその効率的な使用を図るべきことを、補助事業者等に対して義務づけることができることとされていたところである」

完了後に及ぶ義務は、交付決定に附される条件(附款)として示されるべきものだ、ということです。省力化投資補助金について言えば、交付規程24条1項が「補助事業の完了後においても」と書いているのは、まさにこの筋です。これに対し、公募要領の箇条書きは、それ自体が附款ではありません。

根拠条文を11条1項に寄せることには、もう一つの問題があります。同法30条が「第十一条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めているからです。罰則が付いているのは「補助金等の他の用途への使用」をした場合で、善管注意義務違反一般ではありません。根拠を11条1項に置くと、保険に入っていないことが11条違反であり、ひいては罰則の射程に入るかのように読めてしまいます。付保がないことは、30条の構成要件ではありません。取消しと罰則の要件が別であることは、Q&A「公募要領に『交付決定の取消を受けた者は……5年以下の懲役』と書かれていますが、取消しを受けると刑罰を受けるのですか」でも述べています。

私見としては、公募要領37頁のこの根拠の挙げ方は、11条1項の射程と、事業完了後の義務がどこから来るのかという区別を踏まえていないと言わざるを得ません。

5 保険料は補助対象外です――7条4項の限度と、公式文書の中の言葉の揺れ

付保の負担は、事業者が自分で負います。同じFAQが、はっきり書いています。PDF9頁、分類「補助対象経費」No.8です。

引用(よくあるご質問(第5回〜第8回)PDF9頁・補助対象経費No.8)「保険料は補助対象になりますか。」/「保険料は補助対象外です。」(※質問内容と現回答です。引用に当たり「/」で区切りました。)

そして、加入していなければならない期間は、同FAQのPDF11頁、分類「補助事業実施・実績報告」No.3のとおりです。

引用(同PDF11頁・補助事業実施・実績報告No.3)「保険・共済への加入期間を教えてください。」/「実績報告日から事業計画期間終了日までの期間に加入していることが必要です。 なお、更新を前提とした契約の場合、更新手続き等は必ず行ってください。」(※引用に当たり「/」で区切りました。)

つなげると、こうなります。従業員数名の事業者が、実績報告の日から3年から5年にわたり、付保割合50%以上の保険または共済を、補助の対象にならない保険料を自己負担して維持し続ける。更新も自分で手当てする。これが、交付規程に一言もない義務として、公募要領の箇条書きから出てきています。

補助金適正化法は、交付決定に附する条件について限界を定めています。

引用(補助金適正化法7条4項)「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」

交付の目的は、交付規程3条が定めています。「人手不足に悩む中小企業等がIoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある省力化製品やオーダーメイド設備を導入するための事業等に要する経費の一部を補助することにより、多様な省力化投資を支援し、中小企業等の労働生産性向上や賃上げを促進することを目的とする。」というものです。労働生産性の向上と賃上げの促進です。付保の負担が、この目的を達成するため必要な限度の内にあるかどうかは、議論の余地があると考えております。姉妹制度が、同じ目的の系列にありながら、1,000万円という金額の線を引き、付保割合を段階に分け、小規模企業者には代替措置を認めていることは、この議論の材料になります。

さらに、公式文書の中で言葉が揺れています。補償の範囲について、公募要領37頁は「風水害等の自然災害を含む損害を補償するもの」とし、FAQのPDF8頁、分類「申請要件」No.49の回答は、違う言葉で述べます。

引用(よくあるご質問(第5回〜第8回)PDF8頁・申請要件No.49)「既に保険又は共済に加入済の場合であっても、新たに加入する必要がありますか。」/「本事業により導入した機械装置を対象として保険又は共済 (火災・風災・水災のいずれかによる損害を補償するもの/付保割合が 50%以上)に加入していることが、 実績報告提出時に確認することができるのであれば、新たに加入する必要はございません。」(※引用に当たり「/」で区切りました。)

公募要領は「風水害等の自然災害を含む損害」、FAQは「火災・風災・水災のいずれかによる損害」です。前者は自然災害を含むことを求める書き方で、後者は三つのうちいずれかで足りるという書き方です。どちらの基準で実績報告を見られるのかは、読んでも決まりません。付保の対象についても、FAQのPDF7頁、分類「申請要件」No.36の回答は「付保可能な設備が加入対象となり、ソフトウェアやシステム等、付保不可なものについては加入対象としません。」としています。公募要領の「機械装置」という語だけからは出てこない切り分けです。

義務の内容が、公募要領とFAQで違う言葉で書かれ、「原則」の例外は書かれていない。一方で、公募要領で定める事項に該当した場合は交付決定の取消しの事由になる(交付規程23条1項14号)。この組み合わせは、事業者の側から見ると、何をすれば義務を果たしたことになるのかが決められない状態です。

次のような場合は、お早めにご相談ください

  • 実績報告で、保険・共済への加入を示す書類が出せないと指摘されている
  • 付保割合50%以上を満たしていないとして、交付決定の取消しや返還を示唆されている
  • 小規模な事業者で、事業計画期間を通じた保険料の自己負担が重く、代替の方法を探している
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 交付規程に違反したと言われたら(Q&A)/災害・火災で使えなくなった設備の廃棄――承認と納付(Q&A)

6 公式の説明は、一方当事者の見解です

中小機構・中小企業庁・各事務局の説明は、公正な第三者による解説ではなく、補助金をめぐる紛争の一方当事者の見解です。通説が説いていない立場を強く主張しているものもあります。公式の説明だからと鵜呑みにするのは非常に危険です。

本件について申し上げれば、次のとおりです。交付規程には、保険または共済に関する義務の定めが一つもありません。財産の管理について24条1項が課しているのは、善良な管理者の注意をもって管理し、効率的運用を図ることだけです。同じ中小機構の姉妹制度は、同じ義務を交付規程の本体に置き、金額で絞り、付保割合を段階に分け、小規模企業者には代替措置を認めています。それにもかかわらず、省力化投資補助金では、義務が公募要領の箇条書きにあり、金額の線も代替措置も置かれていません。根拠として挙げられている11条1項は、補助事業を行う場面の規定であって、事業計画期間という完了後の期間を名宛てにしていません。

もっとも、ここで申し上げているのは、付保を求められても無視してよい、ということではありません。交付規程23条1項14号があるため、公募要領の記載は取消しの入口として現に働きます。申し上げているのは、求められている負担の根拠がどこにあるのか、どの文書のどの文言が義務の内容なのかを、こちらから特定できるということです。特定できれば、交渉の対象になります。22条の財産処分とは別の問題として、ここは争える余地のあるところだと考えております。

7 付保を求められたとき、実績報告で指摘されたときにすること

次の四つを順に整理しておいていただくのがよいと考えております。

  • (1)自分の交付決定に附された条件を、文書で確かめる。交付決定通知書と、そこで引用されている交付規程の版を手元に置いてください。付保の義務が交付決定の条件として示されているのか、公募要領の箇条書きにあるだけなのかで、話の筋が変わります。交付規程の条番号は補助金・版ごとに違いますので、何年何月の第何号の規程かまで確かめてください。
  • (2)どの文書のどの文言が義務の内容なのかを、こちらから特定する。補償の範囲は、公募要領37頁が「風水害等の自然災害を含む損害」、FAQのPDF8頁・申請要件No.49が「火災・風災・水災のいずれかによる損害」です。付保の対象は、FAQのPDF7頁・申請要件No.36が「付保可能な設備」に限っています。手元の保険証券・共済の加入証明が、どちらの基準でも満たしているのか、どちらかだけなのかを分けて確かめてください。
  • (3)「原則」の例外に当たる事情があるなら、先に書面で出す。公募要領の文言は「原則必須」です。例外が何かはどこにも書かれていませんので、当てはまる事情(付保の対象にならない設備である、同種の補償を別の契約で確保している、小規模な事業者で負担が重いなど)があるのであれば、実績報告の前に、事情と資料を添えて事務局に照会しておくほうがよいと考えております。照会と回答は、後から必ず効いてきます。やり取りの残し方は、Q&A「事務局とのやり取りは、どう残しておけばよいのか」で述べています。
  • (4)加入していないことを理由に取消し・返還を示唆されたら、効果の段階で分けて考える。付保がないことが交付規程23条1項14号に当たるとしても、同項は「取り消し、又は変更することができる」という書き方で、全部を当然に取り消すものではありません。取消しの範囲と裁量の問題になります。この点は、Q&A「取消しに裁量はあるのか」とコラム「取消し前にすべきこと」で述べています。

最後に一つ申し上げます。保険に入ること自体は、事業者にとって不利な話ではありません。機械装置が焼失・紛失すれば、事業の継続が難しくなり、公募要領37頁が挙げているとおり、善管注意義務違反を問われる場面も出てきます。問題は、入るかどうかではなく、入らなかったことの効果を、交付規程に定めのない文書の箇条書きから導いてよいのか、そしてその負担が交付の目的との関係で必要な限度の内にあるのかという点です。求められている負担が重いと感じられたときは、その根拠を文書で特定することから始めてください。

公募要領の付保の記載について事務局から指摘を受けている事業者の方、実績報告で保険・共済への加入を示す書類を出せずにお困りの方、付保がないことを理由に交付決定の取消しや返還を示唆されている方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、お早めにご相談ください。交付決定通知書、適用される交付規程の版、公募要領の該当頁、事務局とのやり取り、保険証券・共済の加入証明があれば、具体的な検討ができます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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