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弁護士 岸上大起

賃上げ要件が未達だと「補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます」と書かれていますが、その返還命令の根拠条文はどこにあるのですか

このページの結論

補助金の交付を受け、設備を導入して稼働させています。事務局が公表しているよくあるご質問には、事業所内最低賃金の要件が未達だと「補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます」と書かれており、3年計画なら1年分の未達で3分の1を返すという計算例まで載っています。交付決定を取り消すという話は、何も来ていません。この返還は、法律のどの条文によるものなのでしょうか。

補助金適正化法18条が返還命令を定めているのは、交付の決定を取り消した場合(1項)と、補助事業者等に交付すべき補助金等の額を確定した場合において、すでにその額をこえる補助金等が交付されているとき(2項)の二つだけです。賃上げ要件の未達による返還は、交付決定の取消しを経ずに、額の確定から3〜5年後の毎年3月末の判定で出てくるものですから、1項にも2項にも乗りません。公式の説明は、どの条文に基づく処分なのかを示していません。

交付規程の書き方も揃っていません。同じ賃上げ未達の返還を、ある規程は「返還を命ずる」、ある規程は「返還を命じることができる」、ある規程は「返還を求めるものとする」、ある規程は「返還を求めることができるものとする」と書いています。そして、いずれの規程も、この返還には加算金を付けていません。加算金を定めた適正化法19条1項は、17条1項の規定による処分に関して返還を命ぜられたときの定めです。規程自身が、この返還を取消しによる返還とは別のものとして扱っていることになります。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 公式の説明――ものづくり補助金「よくあるご質問」9頁・15頁

全国中小企業団体中央会が公表しているものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金「よくあるご質問」(全22頁)は、9頁「3.補助対象要件について」の3で、判定の時期を次のように説明しています(以下、公式資料の閲覧日はいずれも2026年10月23日です)。

引用(よくあるご質問9頁 3-3)「他方、基本要件③については、3~5年の事業計画期間の毎年3月時点において、申請時に設定した目標値以上であるかを確認します。よって、毎年3月に申請時に設定した目標値に達していない場合は補助金返還の対象になります。」

そして、「4.補助金返還義務について」に置かれた15頁の7は、返還額の計算例を示しています。基本要件③は、事業所内最低賃金水準要件です。

引用(同15頁 4-7)「(具体的な計算:基本要件③)/補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。/■判定:未達/↓/2,500万円×(1年/3年)=834万円の返還」(※原文は表組みです。引用に当たり「/」で区切りました。)

同じ算式は、別の補助金の資料にも出てきます。中小企業省力化投資補助事業(一般型)第5回〜第8回公募「よくあるご質問」(2026年10月1日更新)の3頁 No.19 は、質問と回答の形になっています。質問は、「事業場内最低賃金の引き上げ要件が未達の場合、交付決定の取消や補助金の返還を求められることはありますか。」です。回答は、次のとおりです。

引用(同よくあるご質問3頁 No.19 の回答)「補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金の引き上げ要件が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。/ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として当該事業年度の営業利益赤字の場合などや天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金返還を求めません。」(※原文は改行で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)

ここに、このページで取り上げたい一点が出ています。質問は「交付決定の取消や補助金の返還」を並べて聞いています。回答は、返還についてだけ答え、交付決定の取消しについては何も述べていません。ものづくり補助金のよくあるご質問も同じで、「補助金返還の対象になります」と書くだけで、取消しという言葉は出てきません。

返還だけが先に立ち、取消しが出てこない。この順序が、法律の建てつけと合うのかどうかを見ていきます。

2 法律が返還命令を認めているのは、二つの場合だけです

補助金適正化法が補助金等の返還命令について定めているのは、18条です。1項と2項しかありません。

引用(補助金適正化法18条1項)「各省各庁の長は、補助金等の交付の決定を取り消した場合において、補助事業等の当該取消に係る部分に関し、すでに補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならない。」
引用(同条2項)「各省各庁の長は、補助事業者等に交付すべき補助金等の額を確定した場合において、すでにその額をこえる補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならない。」

1項は、交付決定の取消しを前提にしています。「取り消した場合において」と書かれており、返還の範囲も「当該取消に係る部分」に限られています。取消しがなければ、1項の返還命令は出てきません。

2項は、額の確定による超過分の精算です。額の確定は、15条により、補助事業等の完了に係る成果の報告を受けた段階で、交付すべき補助金等の額を確定して通知するものです。補助事業が完了し、実績報告を審査して額を決める。その時点で払い過ぎていれば返してもらう、という場面の定めです。

賃上げ要件の未達は、どちらにも当たりません。判定は、公式の説明自身が述べているとおり、補助事業の完了後、事業計画期間中の毎年3月(3月末)時点に行われます。額の確定から数えて1年後、2年後、3年後の話です。額の確定の場面ではありませんから、2項には乗りません。そして、交付決定の取消しは行われていませんから、1項にも乗りません。

念のため申し上げますと、17条3項は、「前二項の規定は、補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があつた後においても適用があるものとする。」としています。額の確定の後でも取消しはできる、という定めです。これは、額の確定が一度で終わる行為であることを前提にして、その後にも取消しの余地を残した規定です。額の確定の効力を3〜5年後まで引き延ばして2項の返還命令につなげる、という読み方を支えるものではありません。

なお、中小機構が交付主体となる補助金について適正化法が及ぶのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構法16条による準用です。ものづくり補助金については、交付規程1条が、本補助金の交付については適正化法・同施行令及びその他の法令の定めによるほか、この規程で定めるところによる、としています。適正化法によると、交付主体の側が述べているわけです。

3 同じ返還を、交付規程は四通りに書き分けています

では、交付規程はどう書いているのか。同じ「賃上げ要件の未達による返還」について、規程ごとに言葉が違います。

まず、中小企業新事業進出促進補助金交付規程(令和7年4月21日規程令7第1号。規程令7第17号及び規程令8第2号による改正後のもの)の27条2項です。補助金の名称は「中小企業新事業進出補助金」ですが、交付規程の名称には「促進」が入ります。原文のとおりです。

引用(同交付規程27条2項。同規程8頁)「中小機構は、第25条第1項の規定に基づき提出された事業化状況・知的財産権報告書により、補助事業者が事業計画期間中の毎年度の終了時点において、事業場内最低賃金が、補助事業実施場所の都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準となっていないと認められる場合には、公募要領で規定する計算式に応じて、第19条第1項の規定により支払を受けた補助金の額の返還を命ずる。ただし、付加価値額が増加していないかつ補助事業者全体として営業利益赤字の場合又は天災など事業者の責めに帰さない理由があると認められる場合は、返還を免除する。」

「返還を命ずる」と書いています。これに対し、中小企業省力化投資補助金交付規程28条2項(同規程7〜8頁)は、「交付した補助金の全部又は一部に相当する金額について補助金の返還を命じることができるものとする。」としています。命ずることが「できる」という書き方です。

中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程 通常枠(令和8年10月9日)28条2項(同規程11頁)は、さらに別の言葉を使っています。

引用(同交付規程28条2項)「第9条第5項及び第6項の各号(第9条第5項第一号及び第6項第一号を除く。)に定める要件を満たさないことを事務局が確認した場合、事務局は補助事業者に対し、原則として、補助金の額の全部又は一部の返還を求めるものとする。」

「返還を求めるものとする」です。そして、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金交付規程(最終改訂令和8年8月5日。令和8年8月7日から適用)25条(同規程6頁)は、四つ目の書き方です。

引用(同交付規程25条)「全国中央会は、様式第13による報告書により、補助事業者が別紙3の基本要件に係る返還要件に該当することを確認したときは、補助金の返還を求めることができるものとする。ただし、免除要件に該当する場合は返還を求めない。」

「返還を求めることができるものとする」。同じ補助金制度群の、同じ賃上げ未達の返還について、「命ずる」「命じることができる」「求めるものとする」「求めることができるものとする」の四通りが並んでいることになります。

ここで、同じ規程の中にある取消しに伴う返還の条項と読み比べてみてください。ものづくり交付規程19条2項(同規程4頁)は、こうです。

引用(同交付規程19条2項)「全国中央会は、前項の取消しをした場合において、既に当該取消しに係る部分に対する補助金が交付されているときは、期限を付して当該補助金の全部又は一部の返還を命ずる。」

取消しに伴う返還は、適正化法18条1項の文言をほぼそのまま写して「期限を付して……返還を命ずる」としています。これに対し、25条の賃上げ未達の返還は、「求めることができる」です。期限の定めもありません。同じ規程の中で、言葉の使い方を変えているわけです。

私見としては、この書き分けは、賃上げ未達の返還が18条1項の返還命令ではないことを、規程の起草者自身が意識していた結果ではないかと考えております。18条1項の返還命令であれば、法律は「命じなければならない」としています。羈束された処分です。「求めることができる」という書き方は、これと整合しません。

4 加算金が付いていないこと――規程自身が別物として扱っています

この見方を裏づけるのが、加算金の扱いです。加算金は、適正化法19条1項が定めています。

引用(補助金適正化法19条1項)「補助事業者等は、第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し、補助金等の返還を命ぜられたときは、政令で定めるところにより、その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ、当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については、既納額を控除した額)につき年十・九五パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。」

加算金が付くのは、「第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し」返還を命ぜられたときです。17条1項の処分とは、交付決定の取消しです。取消しを経ない返還には、加算金は付きません。

そして、交付規程の側も、そのとおりの建て方になっています。

  • ものづくり交付規程19条3項は、加算金を、同条1項1号から3号まで又は6号の規定による取消しをした場合の返還命令に結び付けています。25条の賃上げ未達の返還には、加算金の定めがありません。
  • 新事業進出促進補助金交付規程22条3項は、加算金を、同条2項(取消しに伴う返還命令)に結び付けています。27条2項の賃上げ未達の返還については、同条5項が18条3項(返還期限と延滞金)を準用するだけで、加算金は出てきません。
  • デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程29条は、加算金について、「補助事業者は、前条第1項の規定に基づき補助金の返還を行う場合は」と書いています。前条1項とは、28条1項、すなわち交付決定の取消しを受けた場合の返還です。賃上げ要件の未達を定めた28条2項は、入っていません。同規程30条の延滞金も、「第28条第1項に規定する期限までに」納付しなかった場合の定めです。28条2項には、期限の定めすらありません。

三つの規程が、そろって同じ建て方をしています。賃上げ未達の返還には、加算金を付けていない。延滞金の起算点となる期限も置いていない(デジタル化・AI導入支援事業費補助金の場合)。つまり、規程自身が、この返還を17条1項の取消しに伴う返還とは別のものとして扱っていることになります。

別のものとして扱うのであれば、何に基づく返還なのかを示す必要があります。18条1項でも2項でもないとすると、適正化法の中に行き場がありません。公式の説明は、この点について何も述べていません。私見としては、この運用は、返還命令が法律の定めた二つの場合に限られていることの理解が浅いと言わざるを得ません。

5 「補助金額÷事業計画年数」という算式は、どの条文から出てくるのか

金額の決め方も、条文と結びつきません。適正化法18条1項が返還の対象としているのは、「補助事業等の当該取消に係る部分に関し、すでに補助金等が交付されているとき」の、その部分です。取消しの範囲に対応する部分、という決め方です。同条2項は、「すでにその額をこえる補助金等が交付されているとき」の、その超える部分です。

これに対し、公式の説明の算式は、補助金額を事業計画年数で割るというものです。3年計画で1年分が未達なら3分の1。ものづくり補助金のよくあるご質問15頁は、2,500万円の補助金について、834万円という数字を挙げています。交付規程の側も同じで、ものづくり交付規程の別紙3(同規程12頁)は、事業所内最低賃金水準要件の補助金返還額を「交付した補助金額を事業計画期間の年数で除した額」と定めています。

この算式は、補助事業のどの部分が取り消されたかを問うていません。設備が導入され、稼働し、付加価値を生んでいるかどうかも問うていません。未達の年が何年あったかという、年数の割合だけで決まります。言い換えれば、補助事業の成果とは関係のないところで金額が決まる仕組みです。

補助金額に年数の割合を掛けて支払わせる、というのは、実質的には違約金です。そして、適正化法は、違約金の制度を置いていません。この法律が返還命令に付随して定めている金銭は、19条の加算金と延滞金の二つだけで、どちらも返還命令があることを前提にしています。

公式の説明に沿って、賃上げ要件が7条3項により附された条件であり、未達が17条1項の条件違反に当たる、という組み立てを仮に採ってみたとしても、算式はなお説明できません。17条1項は「取り消すことができる」と定めており、取消権の行使は裁量に委ねられています。この点について、文献は次のように述べています。

引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』244頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「取消権の行使にあたっては、交付決定の内容違反が極めて広範な取消事由であるだけに、補助目的達成の可否について形式的、一時的にではなく、補助関係の全過程を通じて総合的に判定のうえ行うこととすべきであろう。」

同書は、続けて、是正措置命令等の「命令処分をまっては所期の目的が達成されえないような、相手方の重大な義務違反を責めるに足る主観的事情があると認められる場合に、取消権を発動することが相当であると解される」とも述べています(同244頁)。毎年3月末の一時点で目標値に届かなかったという事実だけを取り出して、年数の割合で機械的に金額を出すことは、この総合的な判定とは逆の向きです。

加えて、交付の決定に附する条件には、法律が限界を置いています。7条4項は、「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」と定めています。地域別最低賃金が年ごとに大きく引き上げられる局面では、事業所内最低賃金を毎年その水準の上に保つことは、補助事業の成否とは別の、賃金政策の負担です。私見としては、補助事業が所期の成果を上げていてもなお年数割りの金銭を支払わせる仕組みについては、同項との関係で検討の余地があると考えております。

6 公式の説明は、一方当事者の見解です

中小機構・中小企業庁・全国中小企業団体中央会・各事務局の説明は、公正な第三者による解説ではなく、補助金をめぐる紛争の一方当事者の見解です。通説が説いていない立場を強く主張しているものもあります。公式の説明だからと鵜呑みにするのは非常に危険です。

本件について申し上げれば、次のとおりです。適正化法18条が返還命令を定めているのは、交付の決定を取り消した場合(1項)と、額の確定による超過がある場合(2項)の二つだけです。賃上げ要件の未達による返還は、取消しを経ずに、額の確定から3〜5年後の毎年3月末の判定で出てきます。金額は、補助金額を事業計画年数で割るという、補助事業の成果と結びつかない算式で決まります。加算金は付いていません。それにもかかわらず、公式の説明は、どの条文に基づく処分なのかを示さないまま、「補助金返還の対象になります」「返還を求めます」と書いています。

もっとも、ここで申し上げているのは、連絡を無視してよい、ということではありません。事業化状況等の報告それ自体は、交付規程が義務として定めているものです。報告をしなければ、それが独立の取消事由とされている例もあります。申し上げているのは、報告の後に届く返還の求めについて、根拠条文を質してよい、ということです。

次のような場合は、納付に応じられる前にご相談ください

  • 事業化状況報告の提出後に、賃上げ要件の未達を理由に補助金額の一部の返還を求められている
  • 交付決定の取消しの通知は届いていないのに、返還の金額だけが示されている
  • 返還額が「補助金額÷事業計画年数」で計算されており、算定の根拠が分からない
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 賃上げできなかったら、取消し・返還になるのか(Q&A)/加算金・延滞金を付けられたら(Q&A)

7 返還を求められたときに確かめる三つのこと

賃上げ要件の未達を理由に返還の連絡を受けられたときは、金額の多寡を検討される前に、次の三つを整理しておいていただくのがよいと考えております。

  • (1)届いた書面が、何という名前の、誰の行為なのかを確かめる。交付決定の取消しの通知が来ているのか、来ていないのか。来ていないのであれば、適正化法18条1項の返還命令ではないことになります。書面の標題(返還命令、納付通知、通知、ご連絡など)、発信者(交付主体か事務局か)、根拠として挙げられている条文、納付の期限、加算金・延滞金の記載の有無を、そのまま書き写して残してください。根拠条文が書かれていないのであれば、書かれていないという事実が記録になります。
  • (2)免除要件に当たらないかを、資料で固める。交付規程は、いずれも免除の定めを置いています。ものづくり交付規程の別紙3は、事業所内最低賃金水準要件について、「付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として当該事業年度の営業利益赤字の場合」「天災など事業者の責めに負わない理由がある場合」「再生事業者である場合」を免除要件として挙げています。新事業進出促進補助金交付規程27条2項のただし書も、同じ向きの定めです。付加価値額の計算と当該事業年度の損益は、決算書と内訳で示せます。根拠条文を争うかどうかにかかわらず、こちらは先に固めておくべきものです。
  • (3)判定の時点と、目標値そのものを確かめる。判定は「毎年3月時点」「毎年3月末時点」とされています。どの事業年度のどの日を基準に、どの従業員の賃金で判定されたのか。地域別最低賃金の改定の時期と、事業所内最低賃金の引上げの時期がずれていただけではないか。申請時に設定した目標値が、そもそも何円であったのか。これらは、交付申請の書類と報告書の控えで確かめられます。目標値の設定自体が計画変更の承認を経ている場合もあります。

最後に一つ申し上げます。付加価値額や給与支給総額の目標に届かなかった場合の返還については、算式の形が異なります(未達成率を補助金額に乗じる、など)。その場面については、Q&A「付加価値額等の目標に届かなかったとき」で述べています。また、額の確定という手続そのものの意味は、コラム「額の確定とは何か」で述べています。交付規程の条項が補助条件に取り込まれているのかという見方は、Q&A「交付規程に違反したと言われたら」で述べています。

賃上げ要件の未達を理由に補助金額の一部の返還を求められている事業者の方、事業化状況報告の提出後に返還の連絡を受けた方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、納付に応じられる前にご相談ください。交付決定通知書、交付規程、公募要領の該当頁、事務局から届いた書面があれば、どの条文に基づく処分として出されているのかを具体的に検討できます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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