執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)
1 公式の説明――公募要領48頁と手引き5頁
中小企業基盤整備機構が公表している中小企業新事業進出促進補助金「公募要領(第4回)」(1.0版。令和8年3月)は、48頁(PDF49頁)の「10-2.口頭審査(4)留意事項」に、次の一項目を置いています(以下、公式資料の閲覧日はいずれも2026年10月23日です)。
引用(公募要領(第4回)48頁)「公平性の観点から、口頭審査の内容を他者に口外することは禁止します。口頭審査の内容を他者に口外したことが判明した場合は、不採択もしくは採択・交付決定の取消、補助金返還の対象となります。」
同じ文が、「補助事業の手引き」(中小企業新事業進出補助金事務局。2026年8月17日・第1.8版)の5頁(PDF6頁)にも、「口頭審査内容口外の禁止」という項目名のもとに置かれています。文言は一字も違いません。
この一項目は、前後の記述と併せて読む必要があります。公募要領47頁(PDF48頁)と48頁には、次の各文が並んでいます。
- 「審査は申請事業者自身(法人代表者等※)が対応してください。当該事業者において勤務実態がない者、事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の方の対応や同席は一切認めません。申請事業者以外の対応や同席が認められた場合は不採択となる場合があります。」(47頁)
- 「所要時間は1 事業者15 分程度の予定です。」「審査中はカメラをオンにしていただき、審査対応者(申請事業者)の上半身(正面を向いて顔と耳と肩が明瞭に判別できる)を映していただきます。」「審査中の音声は録音いたします(録音した音声は審査以外の目的で使用することはありません。)」(47頁)
- 「口頭審査の対象となる基準や審査の内容に関するお問い合わせについては、お答えいたしかねます。」「公平・公正な審査を行う観点から、審査委員及び事務局はカメラをオフにして審査します。」「口頭審査中の申請者からの質問は一切受け付けません。」(48頁)
- 「指定日時になっても審査が開始できない場合(申請事業者側の接続不良等によるもの等)や審査当日に本人確認が出来ない場合、審査対応者以外の同席等が確認された場合などは、申請を辞退したものとみなし、不採択といたします。」(48頁)
- 「安定したインターネットに接続されたPC(接続不良等によりインターネットが切断された場合の再審査は行いません)」(48頁)
そして、同補助金「よくあるご質問」は、不採択の理由について、こう答えています。
引用(よくあるご質問「応募申請を行なったが、不採択となった。不採択の理由は教えてもらえるか。」)「不採択となった詳細な理由についてはお答えできません。/理由開示および異議の申立は一切受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。」(※原文は改行で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)
15分のオンライン面談を、代表者等が単独で受けます。支援者・経営コンサルタント・社外顧問の同席は認められません。審査側はカメラをオフにしており、録音は機構の側にだけ残ります。質問はできず、審査の基準も内容も教えてもらえません。接続が切れても再審査はありません。そして、その面談の中身を人に話すことは禁止され、話したことが判明すれば、採択・交付決定の取消しと補助金の返還の対象になる、とされています。
2 交付規程には、「口頭審査」も「口外」も出てきません
本補助金について補助金適正化法が及ぶのは、中小機構法16条による準用です。手引き5頁(PDF6頁)の「各種法令の適用」も、適用される定めを自ら掲げています。
引用(補助事業の手引き5頁「各種法令の適用」)「本補助金の交付については、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和 30 年法律第 179 号)」、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和 30 年政令第 255 号)」、「独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成 14 年法律第 147 号)」、「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成 16・06・10 会課第5号)」、「中小企業新事業進出促進補助金交付規程」(以下「交付規程」という。)及びその他の法令の定めによります。」
そこで、中小企業新事業進出促進補助金交付規程(令和7年4月21日規程令7第1号。規程令7第17号及び規程令8第2号による改正後のもの)を全文で確かめました。「口頭審査」という語は、一度も出てきません。「口外」という語も、一度も出てきません(2026年10月23日。同規程PDF67頁を機械検索)。口頭審査という手続そのものが、交付規程には置かれていないのです。
秘密保持の定めはあります。もっとも、その対象は申請者自身が受けた審査の内容ではありません。
引用(同交付規程28条1項。同規程8頁)「補助事業者は、補助事業の遂行に際し知り得た第三者の情報については、当該情報を提供する者の指示に従い、又は、特段の指示がないときは情報の性質に応じて、法令を遵守し適正な管理をするものとし、補助事業の目的又は提供された目的以外に利用してはならない。なお、情報のうち第三者の秘密情報(事業関係者の個人情報等を含むがこれらに限定されない。)については、機密保持のために必要な措置を講ずるものとし、正当な理由なしに開示、公表又は漏えいしてはならない。」
守るべきものとして挙げられているのは、「補助事業の遂行に際し知り得た第三者の情報」です。口頭審査で自分が何を聞かれ、何と答えたかは、第三者から提供された情報ではありません。それは申請者自身の体験です。しかも28条1項は「補助事業の遂行に際し」としており、交付決定を受けて補助事業を遂行する段階を指しています。口頭審査は、その前です。
残る受け皿は、交付規程22条1項13号です。
引用(同交付規程22条1項柱書及び13号。同規程6頁)「中小機構は、……次の各号のいずれかに該当する場合には、第9条第1項の交付の決定の全部若しくは一部を取り消し、又は変更することができる。」「(13)その他公募要領で定める事項に該当した場合」
形のうえでは、公募要領に書けば13号を通って取消事由になる、という建て方になっています。もっとも、13号があっても、適正化法が定めた取消しの枠が広がるわけではありません。次にそれを確かめます。
3 口頭審査は、交付決定より前の手続です
交付決定の取消しの根拠は、次の条文です。
引用(補助金適正化法17条1項)「各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。」
取消事由は三つです。補助金等の他の用途への使用、交付の決定の内容又はこれに附した条件への違反、法令又はこれに基づく処分への違反です。口頭審査の内容を人に話したことが、このどれに当たるのか。
時点の問題があります。口頭審査は、採択の前に行われる審査の一部です。交付決定は、採択の後に、補助金交付申請を受けてされる処分です(適正化法8条、交付規程9条1項)。したがって、口頭審査の時点では、交付決定も、交付決定に附された条件も、まだ存在していません。存在していない条件に、それより前の言動が違反する、という組み立ては成り立ちにくいものです。第三の類型(法令又はこれに基づく処分への違反)についても、前記2のとおり、口頭審査の口外を禁じた法令はなく、交付規程にも定めがありません。
私見としては、口頭審査の内容を人に話したことを理由とする交付決定の取消しについては、17条1項の取消事由に当たらないとして争う余地があると考えております。もとより、口頭審査で虚偽の説明をした場合は別です。それは申請内容の虚偽の問題であり、交付規程22条1項5号の問題です。ここで申し上げているのは、審査で何を聞かれ何と答えたかを人に伝えた、という一事を取消事由とすることについてです。
返還と加算金についても、同じことが続きます。返還命令は、適正化法18条1項が「交付の決定を取り消した場合において……すでに補助金等が交付されているとき」に命じるものです。取消しが17条1項の枠外であれば、返還の根拠もありません。加算金は、同法19条1項がこう定めています。
引用(補助金適正化法19条1項)「補助事業者等は、第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し、補助金等の返還を命ぜられたときは、政令で定めるところにより、その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ、当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については、既納額を控除した額)につき年十・九五パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。」
加算金が課されるのは、「第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し」返還を命ぜられたときです。他方、交付規程22条3項は、年利10.95パーセントの加算金の納付を「併せて命ずるものとする」としており、その除外は、中止・廃止の申請を承認した場合と、同条1項4号(事情の変更)及び5号(申請内容の虚偽、重複受給等)の場合だけです。13号は除外されていません。文面どおりに読めば、口外から、取消し・全額の返還・受領の日からの年10.95パーセントまでが一続きになります。加算金の仕組みそのものは、Q&A「補助金の返還を求められたら、加算金・延滞金は払うのか」で述べています。
4 「他者」に限定がありません――代理人に話すことまで含む読み方になります
次に、禁止の射程です。公募要領48頁の文言は「他者に口外することは禁止します」であって、「他者」に限定が置かれていません。文言どおり読めば、弁護士・税理士・中小企業診断士・顧問・金融機関・共同経営者・従業員に話すことも、すべて含まれます。しかも同じ頁は、申請者からの質問を一切受け付けないとし、審査の基準も内容も答えないとしています。同席は、47頁が「一切認めません」としています。
そうしますと、不採択や、その後の取消し・返還を争おうとする事業者は、審査で何が前提にされていたのかを代理人に伝えられないまま、争うことになります。審査の録音は機構の側にあり、申請者の手元には残りません。不採択の理由は開示されず、異議の申立ても受け付けないとされています。これらが重なると、争うための材料が、制度の側で一つずつ絞られていくことになります。
適正化法は、交付決定に附する条件について、限界を定めています。
引用(補助金適正化法7条4項)「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」
条件という形をとっていない場合についても、同法24条(不当干渉等の防止)に関して、文献は次のように述べています。
引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』320頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「補助条件の形式をとらなくとも、実質的に補助金交付の前提条件として相手方に不当な干渉を加えるものは、すべて本条に違反する行為とみるべきであろう。」
もっとも、24条を正面から持ち出すことには、二つの難しさがあります。一つは、同条の名宛人が「補助金等の交付に関する事務……に従事する国又は都道府県の職員」とされていることです(中小機構法16条による読替えの後は「独立行政法人中小企業基盤整備機構又は都道府県の職員」となりますが、公募要領と手引きを出しているのは機構と事務局です)。もう一つは、同書320頁が、同条について「本条はいわゆる訓示的規定である」とも述べていることです。
そこで、実務で持ち出すことになるのは7条4項の限界のほうです。私見としては、口外の禁止は、交付の目的を達成するため必要な限度との関係で、少なくともその射程を限って読む必要があると考えております。審査の公平性は、他の申請者に設問や審査の内容が伝わることを防ぐために必要なものです。これに対し、ご自身が依頼した代理人や、守秘義務を負う税理士に審査の経過を伝えることは、他の申請者との公平性を損なうものではありません。公平性の観点から必要な限度は、そこまで及ばないと考える余地があります。
5 「申請を辞退したものとみなし、不採択といたします」――取下げの擬制
同じ留意事項には、もう一つ気になる擬制があります。公募要領48頁は、接続不良等により指定日時になっても審査が開始できない場合などについて、「申請を辞退したものとみなし、不採択といたします」としています。
申請の取下げは、適正化法9条1項が定める行為です。
引用(補助金適正化法9条1項)「補助金等の交付の申請をした者は、前条の規定による通知を受領した場合において、当該通知に係る補助金等の交付の決定の内容又はこれに附された条件に不服があるときは、各省各庁の長の定める期日までに、申請の取下げをすることができる。」
取下げは、申請をした者自身が、期日までにする行為です。回線が切れたことを申請者の辞退とみなす定めは、同条のどこからも出てきません。もっとも、適正化法の枠組みには、そもそも「採択」「補助金交付候補者」という段階が置かれていません。同法は、申請(6条)、決定の通知(8条)、申請の取下げ(9条)という順に組まれています。公募要領が作った審査の段階に、公募要領が作った擬制を置いている、という構造です。採択の前の段階でも、不採択とされたことを争う余地があるかどうかは別に検討することになりますが、交付申請が却下された場合については、Q&A「補助金の交付申請が却下された。争うことはできるのか」で述べています。
6 公式の説明は、一方当事者の見解です
中小機構・中小企業庁・各事務局の説明は、公正な第三者による解説ではなく、補助金をめぐる紛争の一方当事者の見解です。通説が説いていない立場を強く主張しているものもあります。公式の説明だからと鵜呑みにするのは非常に危険です。
本件について申し上げれば、次のとおりです。交付決定を取り消すことができる場合は、適正化法17条1項が三つに限って定めています。口頭審査は、その交付決定より前の手続です。交付規程には「口頭審査」も「口外」も一度も出てこず、秘密保持を定めた28条1項の対象は「補助事業の遂行に際し知り得た第三者の情報」です。それにもかかわらず、公募要領48頁と手引き5頁は、口外が判明した場合に「採択・交付決定の取消、補助金返還の対象となります」と書いています。しかも禁止の相手方は「他者」とだけ書かれており、ご自身の代理人を除く文言になっていません。この書き方は、適正化法17条1項が取消事由を限って定めた意味と、7条4項が条件に置いた限界の理解が浅いと言わざるを得ません。
もっとも、ここで申し上げているのは、公式の説明を無視してよい、ということではありません。審査の設問や審査の内容を他の申請者や不特定の相手に伝えることは、公平性を損なう行為です。申し上げているのは、公式の説明に書かれていない線引きが、条文の側にあるということです。書かれていないことは、ないことと同じではありません。
次のような場合は、お早めにご相談ください
- 口頭審査の内容を顧問や代理人に伝えてよいのか迷っている
- 口頭審査の内容を人に話したことを理由に、採択・交付決定の取消しを告げられた
- 口頭審査の当日に接続が切れ、「申請を辞退したものとみなす」として不採択とされた
関連ページ: 検査員への「個人攻撃」で交付決定は取り消せるのか(Q&A)/補助金の交付決定の取消しに裁量はあるのか(Q&A)
7 口頭審査の前後に、どう動くか
公募要領の記述を争う余地があることと、記述に沿って動くこととは、両立します。順序を誤らないために、次の四つを整理しておいていただくのがよいと考えております。
- (1)同席は求めない。準備は事前に済ませる。公募要領47頁は、支援者・経営コンサルタント・社外顧問の「対応や同席は一切認めません」とし、同席が認められた場合は不採択となる場合があるとしています。審査当日の同席を求めることには、不採択の危険が伴います。事業計画のどこが聞かれるのかを事前に詰めておくのが、取りうる手当てです。審査を受けられるのは、個人事業主本人、法人代表者、株式会社取締役(社外取締役を除く。)、応募時の労働者名簿に記載されている「担当者」もしくは「経理担当者」(勤務実態がない者を除く。)とされています(同頁の注記)。社内の誰が受けるのかも、事前に決めておいてください。
- (2)審査の直後に、手控えを作る。何を聞かれ、何と答えたか、何を確かめられなかったか。録音は機構の側にしか残りません。手控えは、後に不採択・減額・取消しを争う段になって、審査の過程で何が前提にされていたのかを示す唯一の材料になることがあります。記録の残し方は、Q&A「事務局とのやり取りが申請システムの中にしかない――記録はどう残すのか」で述べています。
- (3)接続の環境を、当日より前に確かめる。公募要領48頁は、接続不良等によりインターネットが切断された場合の再審査は行わないとし、指定日時になっても審査が開始できない場合は「申請を辞退したものとみなし、不採択といたします」としています。イヤフォン・ヘッドセットは使用不可とされ、顔写真付きの身分証明書と、公共スペースでない審査に適した環境が求められています。回線・機器・場所・身分証明書を、前日までに実際に試しておいてください。
- (4)取消しを告げられたら、根拠条文を書面で求める。口外を理由に採択・交付決定の取消しや返還を告げられた場合は、どの条文・どの号に基づく処分なのかを、書面で確かめてください。交付規程22条1項13号を通しているのであれば、公募要領のどの記述に当たるとしているのかが示されるはずです。そのうえで、適正化法17条1項の三つの類型のどれに当たるのかを詰めることになります。通知を受け取ってからの期間の数え方は、Q&A「交付決定の取消しの通知に不服があるとき、どこに言えばよいのか」で述べています。
最後に一つ申し上げます。口外の禁止を読んで、弁護士・税理士にご相談になること自体をためらわれる必要はないと考えております。ご自身が依頼した代理人に審査の経過を伝えることは、他の申請者との公平性を損なうものではありません。審査の内容を外部に公表することと、代理人に事実を伝えて検討を受けることとは、別のことです。
口頭審査の内容を顧問や代理人に伝えてよいのか迷っている事業者の方、口頭審査の内容を人に話したことを理由に採択・交付決定の取消しを告げられた方、口頭審査の当日に接続が切れて「申請を辞退したものとみなす」として不採択とされた方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、お早めにご相談ください。公募要領と手引きの該当頁、交付規程、事務局からの通知、審査直後の手控えがあれば、具体的な検討ができます。
根拠(条文・公式資料・裁判例)
- 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)17条1項(「各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。」。取消事由は、他の用途への使用、交付の決定の内容又はこれに附した条件への違反、法令又はこれに基づく処分への違反の三つである)
- 適正化法8条(各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をしたときは、すみやかにその決定の内容及びこれに条件を附した場合にはその条件を補助金等の交付の申請をした者に通知しなければならない)。同法6条(補助金等の交付の決定)、同法9条(申請の取下げ)と併せ、同法は申請・決定の通知・申請の取下げという順に組まれており、「採択」「補助金交付候補者」という段階は置かれていない
- 適正化法9条1項(「補助金等の交付の申請をした者は、前条の規定による通知を受領した場合において、当該通知に係る補助金等の交付の決定の内容又はこれに附された条件に不服があるときは、各省各庁の長の定める期日までに、申請の取下げをすることができる。」。取下げは申請をした者自身が期日までにする行為であり、回線が切れたことを申請者の辞退とみなす定めは置かれていない)
- 適正化法18条1項(「各省各庁の長は、補助金等の交付の決定を取り消した場合において、補助事業等の当該取消に係る部分に関し、すでに補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならない。」)
- 適正化法19条1項(「補助事業者等は、第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し、補助金等の返還を命ぜられたときは、……年十・九五パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。」。加算金が課されるのは17条1項による処分に関し返還を命ぜられたときである)
- 適正化法7条4項(「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」)
- 適正化法24条(不当干渉等の防止。名宛人は「補助金等の交付に関する事務……に従事する国又は都道府県の職員」であり、中小機構法16条による読替えの後は「独立行政法人中小企業基盤整備機構又は都道府県の職員」となる)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号)16条(15条1項6号及び2項3号の規定により機構が交付する助成金について、適正化法の規定を罰則を含めて準用する。「各省各庁の長」は「独立行政法人中小企業基盤整備機構の理事長」と読み替える)
- 中小企業新事業進出促進補助金「公募要領(第4回)」(独立行政法人中小企業基盤整備機構。1.0版。令和8年3月。2026年10月23日閲覧)48頁(PDF49頁。「10-2.口頭審査(4)留意事項」。「公平性の観点から、口頭審査の内容を他者に口外することは禁止します。口頭審査の内容を他者に口外したことが判明した場合は、不採択もしくは採択・交付決定の取消、補助金返還の対象となります。」。あわせて「口頭審査の対象となる基準や審査の内容に関するお問い合わせについては、お答えいたしかねます。」「公平・公正な審査を行う観点から、審査委員及び事務局はカメラをオフにして審査します。」「口頭審査中の申請者からの質問は一切受け付けません。」「指定日時になっても審査が開始できない場合(申請事業者側の接続不良等によるもの等)や審査当日に本人確認が出来ない場合、審査対応者以外の同席等が確認された場合などは、申請を辞退したものとみなし、不採択といたします。」「安定したインターネットに接続されたPC(接続不良等によりインターネットが切断された場合の再審査は行いません)」とするもの)、47頁(PDF48頁。「審査は申請事業者自身(法人代表者等※)が対応してください。当該事業者において勤務実態がない者、事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の方の対応や同席は一切認めません。申請事業者以外の対応や同席が認められた場合は不採択となる場合があります。」「所要時間は1 事業者15 分程度の予定です。」「審査中はカメラをオンにしていただき、審査対応者(申請事業者)の上半身(正面を向いて顔と耳と肩が明瞭に判別できる)を映していただきます。」「審査中の音声は録音いたします(録音した音声は審査以外の目的で使用することはありません。)」とし、審査を受けられる者を個人事業主本人、法人代表者、株式会社取締役(社外取締役を除く。)、応募時の労働者名簿に記載されている「担当者」もしくは「経理担当者」(勤務実態がない者を除く。)とするもの)
- 中小企業新事業進出補助金「補助事業の手引き」(中小企業新事業進出補助金事務局。2026年8月17日・第1.8版。2026年10月23日閲覧)5頁(PDF6頁。「口頭審査内容口外の禁止」として公募要領48頁と一字も違わない文を置くもの。同頁「2-2. 重要:注意事項」の「各種法令の適用」は、本補助金の交付について適正化法・同法施行令・独立行政法人中小企業基盤整備機構法・会課第5号・交付規程その他の法令の定めによるとするもの)
- 中小企業新事業進出促進補助金交付規程(令和7年4月21日規程令7第1号。規程令7第17号及び規程令8第2号による改正後のもの。2026年10月23日閲覧)22条1項柱書及び13号(「中小機構は、……次の各号のいずれかに該当する場合には、第9条第1項の交付の決定の全部若しくは一部を取り消し、又は変更することができる。」「(13)その他公募要領で定める事項に該当した場合」)、同項5号(申請内容の虚偽等)、同条3項(年利10.95パーセントの加算金の納付を併せて命ずるものとし、その除外を中止・廃止の申請を承認した場合と同条1項4号・5号の場合に限るもの。13号は除外されていない)〔22条1項13号・3項は同規程印刷6頁・PDF7頁〕、28条1項(「補助事業者は、補助事業の遂行に際し知り得た第三者の情報については、……正当な理由なしに開示、公表又は漏えいしてはならない。」)〔同規程印刷8頁・PDF9頁〕、9条1項(交付の決定)。なお、同規程の全文(PDF67頁)を機械検索したところ、「口頭審査」「口外」の語はいずれも現れない(2026年10月23日確認)。補助金の名称は「中小企業新事業進出補助金」であるが、交付規程の名称には「促進」が入る(原文のとおり)
- 中小企業新事業進出補助金「よくあるご質問」(2026年10月23日閲覧。サーバ描画のため頁番号なし)(「応募申請を行なったが、不採択となった。不採択の理由は教えてもらえるか。」に対し、「不採択となった詳細な理由についてはお答えできません。理由開示および異議の申立は一切受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。」とするもの)
- 小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)320頁(「補助条件の形式をとらなくとも、実質的に補助金交付の前提条件として相手方に不当な干渉を加えるものは、すべて本条に違反する行為とみるべきであろう。」。同頁は、24条について「本条はいわゆる訓示的規定である」とも述べている)
※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。
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※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。