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弁護士 岸上大起

交付決定が何か月も出ない・審査が止まっている――法は「すみやかに」と定めている

このページの結論

採択を受けて交付申請を出しましたが、何か月たっても交付決定が出ません。問い合わせても「審査中」としか言われません。待つしかないのでしょうか。

補助金適正化法6条1項は、交付申請があったときは調査し、交付すべきものと認めたときは「すみやかに」交付決定をしなければならないと定めています。同条2項は、申請の到達から交付決定までに通常要すべき標準処理期間を定めて公表するよう求めており、中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程9条2項は、この期間を30日と定めています。何か月も交付決定が出ない状態は、交付側が自ら定めた期間を何倍も超えている状態です。

標準処理期間を過ぎたことが直ちに不作為の違法になるわけではありませんが、裁判所の判断における一つの考慮要素として機能すると説明されています。また、24条は、交付に関する事務を「不当に遅延させ」てはならないと定め、申請期限内に申請したのに補助事業の適期を逸するような事務処理は明らかに不当であると説明されています。出すのは書面です。申請の到達日を特定し、処理の状況と標準処理期間を問い、交付決定か却下かの応答を日付を切って求め、事務局と中小機構の両方に送ります。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 「遅い」を三つに分ける

「補助金が遅い」というご相談は、どの段階で止まっているのかによって、使う条文も、出す書面も変わります。まず三つに分けていただくのがよいと考えております。

  • 採択(交付候補者の決定)を受けて交付申請を出したのに、交付決定が何か月も出ない。審査が止まっているように見える。
  • 交付決定は出たが、補助事業を終えて実績報告を出した後、額の確定や支払が何か月も、ときに何年も来ない。
  • こちらから出した照会や承認申請に、返事が来ない。

二つ目の支払の遅延については、補助金の支払期限と交付遅延への対応で、精算払の期限の考え方と、督促・実質的当事者訴訟・国家賠償の整理を述べています。三つ目の照会への回答が来ないときの督促の仕方は、Q&A「中小機構・事務局に書面を出したのに、返事が来ないとき」で述べています。このページは一つ目、交付申請から交付決定までの審査の段階に絞ります。

以下、条文の引用は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)のものです。中小機構が交付する補助金(事業再構築補助金など)には、中小機構法16条により同法が準用され、「各省各庁の長」は「独立行政法人中小企業基盤整備機構の理事長」と、24条の「国」は「独立行政法人中小企業基盤整備機構」と読み替えられます。交付規程の条数と文言は、中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程(令和3年6月15日規程令3第13号。令和7年の改正規程令7第5号までのもの)のものです。

2 6条1項は「すみやかに」交付決定をしなければならないと定めています

交付申請を受けた側に何をさせる条文なのかは、6条1項に書かれています。

引用(補助金適正化法6条1項)「各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があつたときは、当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、当該申請に係る補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤がないかどうか等を調査し、補助金等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。」

申請があったときは、調査し、交付すべきものと認めたときは、すみやかに交付の決定をしなければならない、という組み立てです。「することができる」ではなく「しなければならない」と書かれており、申請に対して応答する義務が交付側に置かれています。交付規程の側も同じ組み立てを置いており、中小機構は、交付申請書の提出があった場合には、その内容を審査し、補助金を交付すべきものと認めたときは、交付決定を行い、交付決定通知書を補助事業者に通知するものとすると定めています(同交付規程9条1項。文言は「通知するものとする」です)。

「すみやかに」が何を意味するのかについて、文献は次のように説明しています。

引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』127〜128頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「一般に「すみやかに」とは「直ちに」よりは急迫の程度が低く、「遅滞なく」よりは時間的近接度の高い場合に用いられる用語とされるが、要するに、時間的遷延を許さないという訓示的な意味合いをもっている。」

そのうえで同書は、条文の上では「交付すべきものと認めたとき」から時間的遷延を許さないということになるが、交付申請に期限が付されている趣旨からいっても、審査自体が遅延することのないよう十分配慮すべきであるとし(同書128頁)、財政資金の効率的使用を図るためにも、交付行政庁は、すみやかに補助金等の交付決定を行うべきものといえようと結んでいます(同頁)。

ここで押さえていただきたいのは、「すみやかに」が懸かるのは交付決定だけではない、という読み方です。交付申請には期限が付されています。申請する側に期限を切っておきながら、受けた側の審査には時間の制約がない、という読み方は、同書の説明と合いません。審査が遅れることのないよう十分配慮すべきであるという説明は、審査の段階にも時間的な規律が及んでいることを前提にしたものと読む余地があります。

なお、「訓示的」という言葉は、守らなくてよいという意味ではありません。事務に従事する職員が守るべき筋道を示した規定という意味で用いられる言葉であることは、コラム「行政から求められた資料は、どこまで出さなければならないのか」で述べています。

3 6条2項の標準処理期間――事業再構築補助金の交付規程は「30日」と定めています

「すみやかに」だけでは、何日なら遅いのかが分かりません。そこで法は、6条2項で、交付申請の到達から交付決定までに通常要すべき期間を定めて公表するよう求めています。

引用(補助金適正化法6条2項)「各省各庁の長は、補助金等の交付の申請が到達してから当該申請に係る補助金等の交付の決定をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該各省各庁の長と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該各省各庁の長に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。」

この項は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号。いわゆる地方分権一括法)115条による改正で6条に新たに追加された規定で、平成12年4月1日から施行されています(小滝・前掲130頁)。文献は、この規定を、交付申請到達から交付決定に至るまでの標準処理期間の設定と公表の努力義務を交付行政庁に対して課した規制規範であると説明しています(同書129〜130頁)。

行政手続法6条との違い

同じ標準処理期間でも、行政手続法6条は、標準処理期間を定めることは努力義務としつつ、定めたときはこれを公にしておかなければならないとしています(設定は努力義務、公表は義務)。これに対し補助金適正化法6条2項は、設定も公表も「努めなければならない」です。文献はこの比較から、本法と新地方自治法(地方分権一括法による改正後の地方自治法)の標準処理期間に関する義務づけは行政手続法のそれと比べて文言上やや緩和されているとしつつ、運用上できる限り標準処理期間を設定し、これを公表するよう努力すべきことはいうまでもないと述べています(小滝・前掲132頁)。

努力義務にとどめられた理由について、同書は、補助金等の中には交付申請者の予定する個別の事業内容に相当の幅や差が見込まれ、標準処理期間の設定が困難なものも例外的にありうると見込まれたため、と推測しています(同書130頁)。裏を返せば、標準処理期間を定めて公表している補助金については、設定が困難だという事情はなかったということになります。

事業再構築補助金の交付規程は、標準処理期間を30日と定めています

事業再構築補助金について、中小機構は、交付規程の中で標準処理期間を定めています。

引用(中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程9条2項)「第6条第1項の規定による交付申請書が中小機構に到達してから、当該申請に係る前項による交付決定を行うまでに通常要すべき標準的な期間は、30日とする。」

つまり、中小機構は、6条2項が求める標準処理期間を自ら定め、交付規程として公表しています。交付申請書が到達してから30日が、中小機構自身が「通常要すべき」と認めた期間です。交付申請が到達してから何か月も交付決定が出ないという状態は、中小機構が自分で定めた期間を何倍も超えている状態だということになります。

日数は補助金ごとに違います。中小機構の交付規程のうち、中小企業新事業進出促進補助金交付規程(令和7年4月21日規程令7第1号。改正規程令8第2号までのもの)9条2項は同じく30日ですが、中小企業省力化投資補助金交付規程(令和6年6月24日規程令6第4号。改正規程令7第34号までのもの)10条2項は60日です。30日を物差しにして書面を書く前に、自分の補助金の交付規程の条文を確かめてください。交付規程に定めが見当たらない補助金でも、6条2項は定めて公表するよう努めることを求めていますので、「標準処理期間を定めているか、定めているなら何日か」を書面で問うことはできます(後記6)。

4 標準処理期間を過ぎたら、どうなるのか

30日を過ぎれば直ちに違法になる、とまでは言えません。文献は、行政手続法の逐条解説を引いて、次のように整理しています。

引用(小滝・前掲133頁。同書注(122)が引く総務庁行政管理局編『逐条解説行政手続法〔増補版〕』(1996年)104頁の文章)「その徒過が当然に行政不服審査法及び行政事件訴訟法上の不作為の違法を構成するものではない。ただ裁判所の判断における一つの考慮要素としては機能するであろう。また、標準処理期間を定め公表しなかったことが申請拒否処分を違法とするものでもない。しかし、これら努力義務に理由もなく従わないときには、行政監察等の対象となることはいうまでもない。」

同書は、本項(6条2項)の標準処理期間の設定・公表は、行政手続法6条と同様、努力義務にすぎないから、この文章のとおりに解されるとしています(同書133頁)。ここから読み取れることは二つです。

一つは、標準処理期間を過ぎたこと自体が、直ちに不作為の違法になるわけではないことです。相手方から「標準処理期間は目安にすぎない」と言われたとき、この限度では、そのとおりです。

もう一つは、それでも標準処理期間は、裁判所の判断における一つの考慮要素として機能するということです。不作為が違法かどうかは、行政事件訴訟法3条5項の「相当の期間」内に処分がされたかどうかで判断されます。何が「相当の期間」なのかを判断するとき、交付側が自分で定めて公表した「通常要すべき期間」が、その物差しになります。30日(省力化投資補助金では60日)と自分で言っている以上、その何倍もの期間を要している理由を、交付側が説明できなければならないと考える余地があります。

なお、標準処理期間や審査の進行状況を示させる行政手続法6条・9条は、補助金等の交付に関する各省各庁の長(中小機構では理事長)の処分には適用されません(補助金適正化法24条の2)。だからこそ、補助金適正化法6条2項と、交付規程9条2項の定めが、この場面で使う根拠になります。この点は、前記のQ&A「返事が来ないとき」の2で述べています。

5 24条は「不当に遅延させ」てはならないと定めています

6条1項の「すみやかに」と並んで、もう一つの根拠が24条です。

引用(補助金適正化法24条)「補助金等の交付に関する事務その他補助金等に係る予算の執行に関する事務に従事する国又は都道府県の職員は、当該事務を不当に遅延させ、又は補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して干渉してはならない。」

同条が規律する「補助金等の交付に関する事務」は、交付申請書の受理・審査に始まり、交付決定、概算払等の支払事務から額の確定、精算払等に至るおよそ補助金等の交付手続に関するすべての事務を意味すると説明されています(小滝・前掲319頁)。審査の段階は、その冒頭に置かれています。

そして、どのような遅延が「不当」なのかについて、同書は次のように述べています。

引用(小滝・前掲320頁)「「不当に」という用語は不確定な概念であるが、交付申請が申請期限内に提出されたにかかわらず、補助事業等の適期を逸して交付するような事務処理は、明らかに不当なものというべきであろう。」

申請期限内に申請したのに、事業の適期を逸するような処理は、明らかに不当である。これが、審査が止まっている場面で、事業者の側が立つ土台です。同書は、この規定を、補助効果を減殺させる補助金等交付遅延の事態発生を防止するため、明文をもって不当遅延行為を厳に禁止することとしたものであるとし、「すみやかに補助金等の交付の決定をしなければならない」(6条1項)、「すみやかにその決定の内容……を通知しなければならない」(8条)等の交付手続上の規制とあいまって、交付事務のすべてが迅速に処理されることが強く要請されていると説明しています(同書320頁)。

「適期を逸する」とは、たとえば、季節性のある事業で着手できる時期を過ぎてしまう、発注先の見積りの有効期限が切れて単価が上がる、補助事業実施期間の終わりが近づいて事業そのものが完了できなくなる、といった事態です。交付決定の前に発注した経費は、原則として補助対象になりません(中小機構が認めたものに限り交付決定前の経費も補助対象として取り扱うという例外が、同交付規程5条3項に置かれています)。事前着手が認められていない事業者は、交付決定が出ないままでは動けず、待っている間に事業の適期だけが過ぎていきます。審査の遅れが事業に与えている影響は、このように具体的に書けるようにしておいてください(後記6)。

同書は、同じ頁で、24条はいわゆる訓示的規定であるとも述べています。もっとも、同書はそれに続けて、同条に違反する職員は職務上の義務違反として懲戒処分の対象となるほか、場合によっては刑法上の職権濫用罪として処罰されることもありうるとしています(同書320〜321頁)。訓示的であることは、同条を遅延の場面で援用することを妨げるものではないと考えております。この点は、支払の遅延の場面について、前記の交付遅延への対応のページでも述べています。

24条の名宛人は、国又は都道府県の職員であり、中小機構の補助金では、中小機構法16条の読替えにより中小機構の職員です。事務が民間の団体に委託されている場合、事務局の職員は同条の名宛人ではないと考えておりますので、後記6の書面は、事務局だけでなく中小機構(理事長宛)にも出すことになります。

次のような場合は、動かれる前にご相談ください

  • 交付申請から数か月たっても交付決定が出ず、問い合わせても「審査中」としか言われない
  • 差戻しと追加資料の要求が繰り返され、そのたびに審査が振り出しに戻っているように見える
  • 交付決定を待っている間に、補助事業実施期間の終わりや発注先の見積りの期限が迫っている
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 補助金の支払期限と交付遅延への対応(支払の段階)/書面を出したのに返事が来ないとき(Q&A)

6 止まっているときに、何を出すか

電話で「いつ頃になりますか」と尋ねても、記録に残りませんし、答えも「審査中です」で終わります。出すのは書面です。書く内容は、次の三つに絞っていただくのがよいと考えております。

  • 事実の特定。交付申請書を提出した日(申請システムの受付日)、その後に差戻し・追加資料の要求があればその日付と、こちらが応じた日。これで、「到達」から何日たっているかが書面の上で確定します。
  • 処理の状況と標準処理期間の照会。現在どの段階にあるのか、交付決定または却下の見込みの時期はいつか、標準処理期間を定めているか、定めているなら何日か(6条2項)。交付規程に標準処理期間の定めがある補助金では、その条項と日数(事業再構築補助金・新事業進出促進補助金は30日、省力化投資補助金は60日)を引いたうえで、それを超えている理由を問います。
  • 応答の求め。6条1項に基づき、交付すべきものと認めるなら交付決定を、認めないなら却下を、期限を日付で示して求めます。あわせて、遅延が補助事業に与えている影響(前記5の「適期」に関わる事情)を具体的に書き、24条の不当な遅延に当たることを指摘します。

「却下でもよいから応答を」と書くことに抵抗を感じる方もおられます。しかし、応答がない状態が続く限り、事業者は動けず、争うこともできません。却下されれば、その処分を争う道が開けます(Q&A「補助金の交付申請が却下された。争うことはできるのか」)。交付決定が出れば、事業に着手できます。どちらも出ない状態が、事業者にとっていちばん損な状態です。

宛先は、前記5のとおり、事務局と中小機構(理事長宛)の両方です。送った書面と送った日が残る方法(申請システムの問い合わせ機能だけでなく、書留や内容証明)で出し、控えを残してください。システムの中にしかないやり取りの残し方は、Q&A「事務局とのやり取りが申請システムの中にしかない」で述べています。

期限を切って求めたのに応答がない、という経過が書面で残れば、不作為の違法確認の訴え(行政事件訴訟法3条5項)や、交付決定の義務付けの訴え(同条6項2号)、遅延そのものを理由とする国家賠償請求といった選択肢を検討する土台ができます。もっとも、これらの訴えは、交付申請が「法令に基づく申請」であり、それに対する応答が処分であることを入口の要件としています。中小機構の補助金の交付申請は、中小機構法16条により準用される補助金適正化法5条に基づく申請であり、6条1項が応答の義務を定めていますので、当職は「法令に基づく申請」に当たると考えておりますが、相手方がまずここを争ってくることは見込んでおく必要があります。これらを補助金の審査の遅延について正面から認めた裁判例は、現在のところ見つかっておりません。ただ、標準処理期間を自ら定めて公表している交付主体が、その何倍もの期間、理由を示さずに応答しないという事実は、「相当の期間」の判断において、事業者の側に有利に働く事情であると考えております。

書面を出しても応答がないときの次の段階(二つの訴えの要件と、「法令に基づく申請」に当たると考える理由)はコラム 「交付決定も不交付の通知も出ないまま止まっている――不作為の違法確認の訴えと、申請型の義務付けの訴え」 で、審査が長引いて実施期間が残らなかった場合の国家賠償はQ&A 「審査が長引いて実施期間が残らなかった――交付されなかった分を賠償してもらえるのか」 で、「審査は終了しました」という通知だけが来て交付決定も不交付の通知も来ない場合はQ&A 「『審査は終了しました』という通知だけが来て、交付決定も不交付の通知も来ない」 で、それぞれ述べています。

7 採択されたのに交付決定が出ない場面

事業再構築補助金などの手続は二段階です。公募に応募して採択(交付候補者の決定)を受け、そのうえで交付申請をして交付決定を受けます。採択の通知が届いた時点で、事業者は資金計画を組み、発注の段取りを進めます。ところが、交付申請の段階で何か月も止まる、あるいは採択の判断とは別の理由で「交付しない」と告げられることがあります。

審査が止まっているだけなら、このページの前記6のとおり、応答を求めることになります。これに対し、交付申請に対して却下(不交付)の通知が出たのであれば、話は変わります。当職は、却下も取消訴訟の対象となる処分に当たると考えております(この点を正面から判断した裁判例は現在のところ見当たりません)。その前提では、処分があったことを知った日から6か月の出訴期間が動き出します(行政事件訴訟法14条1項)。待っていた期間は、ここでは数えてもらえません。出訴期間の考え方は、Q&A「交付決定の取消しから6か月を過ぎたら、取消訴訟は起こせないのか」で述べています。

採択(交付内定)を受けた後に、交付内定の判断を覆す形で交付しないとされた場面については、独立行政法人の理事長がした助成金の不交付決定を、交付内定の審査における専門的知見に基づく判断を尊重する仕組みを踏まえたものでなければならないとして取り消した裁判例があります(東京地判令和3年6月21日。控訴審の東京高判令和4年3月3日がこれを覆したものの、最二小判令和5年11月17日民集77巻8号2070頁が原判決を破棄して控訴を棄却し、第一審判決が確定しています)。この判決が何を言い、何を言っていないのかは、コラム「採択(交付内定)を受けた後に『交付しない』と言われたら、争えるのか」で判決の言葉で確かめています。

理由も時期の見通しも示されないまま期間が延びると、採択を受けた事業者には、採択の判断がどこまで尊重されるのか分からない状態が残ります。その状態を長引かせる前に、前記6の書面で、処理の状況と応答の時期を問い、交付決定か却下かの応答を求めておくことが、その後の手続のどの局面でも土台になります。

なお、申請した額より少ない額での交付決定が来た場合や、条件が付いた場合の考え方は、Q&A「申請した額より少ない交付決定が来た」で述べています。

交付申請から何か月も交付決定が出ない事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、交付申請の受付日が分かる画面と、差戻し・問い合わせのやり取りをお手元にご用意のうえ、ご相談ください。待っている間に補助事業の適期が過ぎていきますので、書面を出す時期は早いほどよいと考えております。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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