執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)
交付決定通知書には、交付の決定とは別に、「条件」が並んでいます。交付規程に従うこと、報告をすること、承認を受けること、といった定めです。そのうちの一つについて、交付そのものは受けたいが、この条件には従えない、あるいは、この条件に違反したとして取消しを言われているが、そもそもこの条件はおかしいのではないか、という相談があります。
このページは、法律が条件の限界をどう定めているか(補助金適正化法7条4項)、限界を超えた条件はどうなるのか、条件が無効なら交付決定はどうなるのか、条件違反を理由とする取消しの場面でこの議論をどう使うのか、を順に述べます。申請額より少ない交付決定が来たときの話(6条3項の修正決定と9条の申請の取下げ)と、条件だけを切り離して争う手続の細かな点(下級審の決定や文献の紹介)は、Q&A「申請した額より少ない交付決定が来た――条件も付いている。納得できないとき何ができるのか」で述べていますので、そちらに譲ります。交付規程に従うこと自体が補助条件になるのかは、Q&A「交付規程を守ることは『補助条件』なのか」で述べています。
1 7条4項は、条件の限界を法律に書いたものです
補助金適正化法7条は、交付決定に附する条件(補助条件)について定めた条文です。同条1項が、経費の配分の変更について承認を受けるべきこと(1号)、補助事業のために締結する契約に関する事項その他経費の使用方法に関する事項(2号)、内容の変更について承認を受けるべきこと(3号)、中止や廃止について承認を受けるべきこと(4号)、予定の期間内に完了しない場合等にすみやかに報告して指示を受けるべきこと(5号)を列挙し、2項が収益納付の条件、3項が「法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要な条件」をそのほかに附することを妨げないと定めています。そして4項が、条件の限界です。
引用(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律7条4項)「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」
この条文は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が交付する補助金(事業再構築補助金、新事業進出補助金、中小企業省力化投資補助金など)にも及びます。同機構法16条が、同法15条1項6号及び2項3号により機構が交付する助成金について、補助金適正化法を準用しているからです。読み方を分けますと、条件に求められていることは二つです。①公正なものであること。②交付の目的を達成するため必要な限度をこえて、不当に補助事業者等に干渉するものでないこと。「いやしくも」は「仮にも」の意で、必要な限度を超える干渉を強く禁ずる言い回しです。
ここでいう「条件」は、講学上の附款(ふかん。許可や決定といった行政行為の本体に付け加えられる定め)のことで、その多くは「負担」、すなわち一定の作為・不作為・受忍の義務を命ずるものです(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)148頁。荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)79〜80頁も同旨)。交付決定通知書の「条件」の多くは、補助事業者に義務を課す負担だということです。
2 比例原則の確認規定ですが、わざわざ法律に書かれた理由があります
行政行為の附款は、法律に書かれていなくても、その行政行為の目的に照らして必要な限度にとどまらなければならないとされています。これを比例原則といいます。小滝解説は、7条4項について、まずこの点から説き起こしています。
引用(小滝・前掲書168〜169頁)「一般に行政行為の附款は、具体的な行政行為の目的と照らし必要な限度にとどまらなければならない(比例原則)ものとされているところであるから、附款の限界について、特に法律上明示した規定を設けるまでもないものと考えられる。」
それでも法律に書かれたのは、補助条件に特有の重さがあるからです。
引用(小滝・前掲書169頁)「しかし、補助条件については、その違反に対し交付決定そのものが取り消され、補助金等を返還しなければならない場合も出てくるので、確認的規定とはいえ、補助条件が必要な限度を超えた不当なものとならないよう、交付行政庁が配慮すべき旨法律上明らかにしておくことが適当と考えられる。これが、第四項の規定の趣旨であり、第二四条(不当干渉等の防止)の規定ともども、交付行政庁に対する規制規範として重要な意義をもつものといえる」
条件は、付いた瞬間には何も起きません。問題になるのは、何年も後に、その条件に違反したとして17条1項の取消しと返還命令の入口に使われるときです。だからこそ、条件を付ける側に対する歯止めを法律に書いた、というのが趣旨です。同じ趣旨の条文として、24条が、事務に従事する国又は都道府県の職員に対し、交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に干渉してはならないと定めています。この24条も、同機構法16条が同条中の「国」を「独立行政法人中小企業基盤整備機構」と読み替えると定めていますので、中小機構の職員に及びます(事務局が交付主体となる補助金については、コラム「行政から求められた資料は、どこまで出さなければならないのか」の第6節で述べたとおり、別に考える必要があります)。条件を付ける場面(7条4項)と、事務を執行する場面(24条)の両方に、同じ「必要な限度」という物差しが置かれているわけです。
3 限度を超えた条件は違法な附款です――小滝解説は「違法・無効」と呼びますが、確認されるまでは一応有効
では、必要な限度を超えた条件はどうなるのか。小滝解説の答えは次のとおりです。
引用(小滝・前掲書169頁)「「必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするような」補助条件は、違法・無効な附款といわなければならないが、違法であるか否かの最終的判断は争訟手続によって認定されることが必要であると考えられ、違法であることが確認されるまでの間は、一応有効なものと考えざるをえないのではないか、と思われる。」
前半と後半を分けて読む必要があります。前半は、限度を超えた条件は違法・無効だということ。後半は、それでも、争訟手続(審査請求や取消訴訟)で違法だと確認されるまでは、一応有効なものとして扱わざるを得ないということです。同書は注で、この後半について、行政行為の一般理論に従って公定力(行政行為は、取り消されるまでは有効なものとして通用する力)あるものとして述べたが、補助条件のような形式的行政行為の附款についてそう解すべきか否かは「大いに問題がある」としつつ、補助条件を形式的行政行為たる交付決定とは独立の命令的行為と解する限りは、公定力あるものと解する余地はあろう、とも付記しています(同書170頁注19)。
一つ、用語について断っておきます。小滝解説は「違法・無効」と一体で書いていますが、行政行為の瑕疵(かし。法律上の欠陥)は、原則として取り消し得るものにとどまり、無効となるのは瑕疵が重大かつ明白な場合に限られる、というのが判例・通説の整理です。限度を超えた条件が「違法」であることと、それが当然に「無効」であることとは、同じではありません。この区別は、後記5で述べる争い方に直結します。
実務でこの後半が意味するのは、「この条件はおかしい」と思っても、黙って従わないでいるだけでは足りないということです。従わないまま時間が経ち、後から条件違反を理由に取消しを言われた段階で初めて条件の違法を主張するのでは、条件が付いた交付決定を知った日から数える出訴期間(行政事件訴訟法14条1項)の問題が生じます。無効な附款であれば期間の制限はありませんが、無効とまでいえるかは、違法とは別の、高い水準の判断になります。条件に問題があると考えるのであれば、交付決定の段階で、争うのか、留保を付けて受け入れるのかを決めておくことになります。もっとも、6か月を過ぎた後に、条件違反を理由とする取消処分を争う中で、取消事由の不存在として条件の瑕疵を主張する余地については、後記5で述べます。
4 帰結は、その条件が交付決定の「重要な要素」かどうかで分かれます
条件が無効だと評価される場合に、本体である交付決定はどうなるのか。ここが、このページの中心です(以下は、条件の瑕疵が無効と評価される場合の話です)。小滝解説は、通説の考え方を次のように整理しています。
引用(小滝・前掲書169頁)「附款が違法・無効な場合に、それが本体たる行政行為の効力にいかなる影響を及ぼすかについては説の分かれるところであるが、その附款が行政行為をなすにあたっての重要な要素をなしている場合には行政行為そのものの無効を来すとする見解が通説である。この考え方に立てば、その補助条件を付すことができないとすれば交付決定をしなかったであろうことが客観的に認定されうるような場合には、当該補助条件の違法・無効は交付決定そのものの無効を来すこととなる。」
つまり、分かれ目は、「その条件を付けられないのなら交付決定をしなかっただろう」と客観的にいえるかどうかです。いえるのであれば、条件だけでなく交付決定そのものが無効になります。いえないのであれば、次のとおりです。
引用(小滝・前掲書169頁)「他方、交付決定の重要な要素をなさない補助条件は、仮に第四項違反の無効なものであったとしても、それによって交付決定までが無効となるわけではなく、当該無効の補助条件の付かない交付決定として効力を生ずるものと解すべきである。」
同書171頁注21は、杉村章三郎『財政法(新版)』(法律学全集10、1982)322頁が、無効な条件を付さなければ交付決定をしなかったであろう場合には交付決定自体も無効となるが、それ以外の場合には当該無効な条件のない交付決定となると解する旨を指摘していることを引いています(同書の引用の限度で紹介するものであり、杉村博士の原本は当職は確認しておりません)。
では、「条件を飲まないなら交付しない」という解釈は成り立つのか。小滝解説は、この整理から、次のように述べています。
引用(小滝・前掲書169頁)「補助事業者等に著しい不利益をもたらす違法・無効な補助条件を付しておいて、相手方が当該補助条件の履行を拒否するときは、交付決定そのものが無効であるから、補助金等を交付しないというごとき解釈が当然には成立しないことは、右に述べたところから明らかであろう。」
「条件を飲まないなら交付しない」「条件に従わないなら交付決定ごとなかったことにする」という扱いは、その条件が交付決定の重要な要素である場合にしか成り立たない、ということです。重要な要素でない条件については、その条件だけが落ち、交付決定は残ります。
次のような場合は、お返事をされる前にご相談ください
- 交付決定通知書の条件のうち一つが、事業の実態と合わず、従えない
- 条件に違反したとして事前通知が届いたが、その条件自体が交付の目的と関係ないものに思える
- 「条件に従わないなら交付決定を取り消す」と言われている
5 条件だけを争う余地と、取消しの場面での使い方
補助金適正化法が正面から用意している手段は、交付決定の内容又は条件に不服があるときに申請を取り下げることができるという9条と、地方公共団体に限って認められている25条の不服の申出です。民間の事業者にとって、適正化法の中にある手段は9条の取下げだけであり、それは交付決定そのものを手放す手段です。条件を争う手続としての取消訴訟(行政事件訴訟法)は、適正化法の外に別にあります。小滝解説は、現実には交付請求権まで放棄することは欲せず、特定の違法な補助条件のみの無効確認又は取消しを求める場合が多いであろうとした上で、当該補助条件が交付決定の重要な要素となっていない場合には、これを独立に争うことができるものと解する余地はあろう、と述べています(同書170頁)。
前記4の「重要な要素」の区別が、ここでも分かれ目になります。重要な要素でない条件は、無効であってもそれだけが落ちて交付決定は残るのですから、その条件だけを取り出して無効確認や取消しを求めることに意味があります。逆に、重要な要素である条件は、それが落ちれば交付決定ごと無効になるのですから、条件だけを切り離して争うことはできず、交付決定全体を相手にするか、9条で取り下げるかの選択になります。同書が引く下級審の決定と、その後の学説(負担については附款だけの争訟を認める方向にあること)は、Q&A「申請した額より少ない交付決定が来た」の第6節と、Q&A「財産処分の承認と一緒に『残存簿価相当額を納付せよ』と言われた。納付命令だけを争えるのか」の第4節で述べています。財産処分の承認に付けられた納付の条件(負担)について、承認とは別に納付命令だけを争えるかは、同じ構造の問題であり、コラム「承認の附款としての納付命令とその限界」でも述べています。
もう一つ、取消しの場面での使い方があります。条件違反を理由に17条1項の取消しを言われたとき、その条件が7条4項の限度を超える無効な附款であれば、取消事由である「交付の決定の内容又はこれに附した条件」への違反は、そもそも成り立ちません。無効な条件への違反は、違反ではないからです。コラム「賃上げ要件を達成できなければ、補助金を返還しなければならないのか」の第8節で、賃上げ要件が仮に補助条件だとしても7条4項に反する違法・無効な附款ではないかと述べたのは、この使い方です。私見としては、この主張は、交付決定から6か月を過ぎていても、取消処分に対する審査請求や取消訴訟の中で、取消事由の不存在として主張する余地があると考えております。もっとも、前記3で述べたとおり、条件の瑕疵が「無効」ではなく取り消し得る「違法」にとどまると評価される場合には、交付決定(附款)を出訴期間内に争わなかった以上、公定力により条件は有効なものとして扱われ、後の取消処分を争う手続の中でその違法を主張することはできない、という反論が予想されます。だからこそ、交付決定の段階で条件を点検しておくことに意味があります。
6 手元の交付決定通知書の条件を、どう点検するか
以上を、お手元の交付決定通知書に当てはめる順番です。
- (1)条件を一つずつ書き出し、7条1項各号・2項・3項のどれに当たるかを割り振ります。1項各号(承認・報告の条件のほか、2号の契約・経費の使用方法に関する条件を含みます)と2項に当たるものは法律が予定した条件です。どれにも当たらないものは、3項の「必要な条件」として付けられたものということになり、4項の点検の中心になります。1項2号に当たる条件(支払の手段や契約の相手方に関するもの)も、4項の点検を免れるわけではありません。
- (2)3項の条件について、「法令及び予算で定める補助金等の交付の目的」との結び付きを確かめます。その補助金の目的は、根拠法(中小機構が交付する補助金であれば、同機構法15条1項6号(及び2項3号)の、経営の革新を行う中小企業者等に対しその事業を行うのに必要な助成を行うという業務の定め)と予算に書かれています。その条件が、この目的を達成するために要るものなのか、目的と離れた別の政策や、交付主体の事務の都合のために付けられたものなのかを見ます。
- (3)「必要な限度」を超えていないかを確かめます。同じ目的を、より軽い義務で達成できるのであれば、重い義務を課す条件は必要な限度を超えています。たとえば、報告で足りることについて事前の承認を求める条件、違反の程度を問わず全額返還に結び付ける条件は、ここで問題になります。
- (4)「公正」かどうかを確かめます。同じ補助金の他の補助事業者には付けられていない条件が自社にだけ付いている、合理的な理由なく一部の事業者だけが重い義務を負う、という場合は、公正の要件の問題です。
- (5)その条件が「重要な要素」かどうかの見当を付けます。前記4のとおり、ここで帰結が分かれます。法律が予定した条件か、交付主体が付け足した条件か、補助事業の遂行そのものに関わる条件か、が手掛かりです。
- (6)日付を押さえます。交付決定通知書が届いた日が、通常は、条件を争う場合の出訴期間の起算点である「処分があったことを知った日」になります。交付規程には申請の取下げの期日が置かれています(中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程10条、中小企業新事業進出促進補助金交付規程10条、中小企業省力化投資補助金交付規程11条は、いずれも通知を受けた日から10日以内としています)。どこに言えばよいかは、Q&A「交付決定の取消しの通知に不服があるとき、どこに言えばよいのか」、出訴期間の考え方(6か月と1年、ただし書の「正当な理由」)は、Q&A「交付決定の取消しから6か月を過ぎたら、取消訴訟は起こせないのか」で述べています。
条件が付いているからといって、その条件のすべてが有効で、違反すれば取消しに直結する、ということにはなりません。法律は、条件を付ける側に「公正」と「必要な限度」という歯止めを置いています。限度を超えた条件は違法であり、それが無効と評価され、かつ交付決定の重要な要素でなければ、交付決定はその条件なしのものとして残ります。「条件を飲まないなら交付しない」という扱いが当然には成り立たないことは、法律の解説書がはっきり書いているとおりです。
交付決定通知書に付された条件の一つに従えないという事業者の方、その条件に違反したとして取消しの事前通知を受けた事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、お返事をされる前にご相談ください。交付決定通知書(付された条件を含む)、交付申請書の控え、交付規程、事務局とのやり取りがあれば、その条件が7条4項の限度の内にあるのか、交付決定の重要な要素に当たるのかを具体的に検討できます。
根拠(条文・公式資料・裁判例)
- 補助金適正化法7条1項(交付の条件を附する事項の列挙。1号=経費の配分の変更の承認、2号=補助事業等を行うため締結する契約に関する事項その他補助事業等に要する経費の使用方法に関する事項、3号=内容の変更の承認、4号=中止・廃止の承認、5号=予定の期間内に完了しない場合等の報告と指示)、同条2項(収益納付の条件)、同条3項(前二項の規定は、これらの規定に定める条件のほか、各省各庁の長が法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要な条件を附することを妨げるものではない)
- 補助金適正化法7条4項(補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない)
- 補助金適正化法9条1項(交付の決定の内容又はこれに附された条件に不服があるときは、各省各庁の長の定める期日までに、申請の取下げをすることができる)、同条2項(取下げがあったときは、交付の決定はなかったものとみなす)
- 補助金適正化法17条1項(補助事業者等が交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる)
- 補助金適正化法24条(不当干渉等の防止。事務に従事する国又は都道府県の職員は、当該事務を不当に遅延させ、又は補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して干渉してはならない)
- 補助金適正化法25条1項(不服の申出。不服のある「地方公共団体」の手段として定められており、民間の補助事業者等には同条の経路はない)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構法16条(15条1項6号及び2項3号の規定により機構が交付する助成金について、補助金適正化法の規定を罰則を含めて準用し、同法24条中「国」を「独立行政法人中小企業基盤整備機構」と読み替える)、同法15条1項6号(5号イからハまでに掲げる者=経営の革新を行う中小企業者等に対し、その事業を行うのに必要な助成を行うこと)
- 行政事件訴訟法14条1項(取消訴訟は、処分があったことを知った日から6か月を経過したときは提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)
- 中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程10条、中小企業新事業進出促進補助金交付規程10条、中小企業省力化投資補助金交付規程11条(申請の取下げ。交付の決定の内容又はこれに付された条件に対して不服があり申請を取り下げようとするときは、当該通知を受けた日から10日以内に書面をもって中小機構に申し出なければならない)
- 小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)148頁(本法の「条件」は行政行為の附款一般を指し、内容的には「負担」にあたるものが多いこと)、168〜169頁(「一般に行政行為の附款は、具体的な行政行為の目的と照らし必要な限度にとどまらなければならない(比例原則)ものとされているところであるから、附款の限界について、特に法律上明示した規定を設けるまでもないものと考えられる。」)
- 小滝・前掲書169頁(「しかし、補助条件については、その違反に対し交付決定そのものが取り消され、補助金等を返還しなければならない場合も出てくるので、確認的規定とはいえ、補助条件が必要な限度を超えた不当なものとならないよう、交付行政庁が配慮すべき旨法律上明らかにしておくことが適当と考えられる。これが、第四項の規定の趣旨であり、第二四条(不当干渉等の防止)の規定ともども、交付行政庁に対する規制規範として重要な意義をもつものといえる」、「「必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするような」補助条件は、違法・無効な附款といわなければならないが、違法であるか否かの最終的判断は争訟手続によって認定されることが必要であると考えられ、違法であることが確認されるまでの間は、一応有効なものと考えざるをえないのではないか、と思われる。」、「附款が違法・無効な場合に、それが本体たる行政行為の効力にいかなる影響を及ぼすかについては説の分かれるところであるが、その附款が行政行為をなすにあたっての重要な要素をなしている場合には行政行為そのものの無効を来すとする見解が通説である。この考え方に立てば、その補助条件を付すことができないとすれば交付決定をしなかったであろうことが客観的に認定されうるような場合には、当該補助条件の違法・無効は交付決定そのものの無効を来すこととなる。」、「他方、交付決定の重要な要素をなさない補助条件は、仮に第四項違反の無効なものであったとしても、それによって交付決定までが無効となるわけではなく、当該無効の補助条件の付かない交付決定として効力を生ずるものと解すべきである。」、「補助事業者等に著しい不利益をもたらす違法・無効な補助条件を付しておいて、相手方が当該補助条件の履行を拒否するときは、交付決定そのものが無効であるから、補助金等を交付しないというごとき解釈が当然には成立しないことは、右に述べたところから明らかであろう。」)
- 小滝・前掲書170頁(現実には交付請求権まで放棄することは欲せず、特定の違法な補助条件のみの無効確認又は取消しを求める場合が多いであろうとした上で、当該補助条件が交付決定の重要な要素となっていない場合には、これを独立に争うことができるものと解する余地はあろうとするもの)、同頁注19(行政行為の一般理論に従い公定力あるものとしているが、補助条件のごとき形式的行政行為の附款についてそのように解すべきか否かは大いに問題があるとしつつ、補助条件を形式的行政行為たる交付決定とは独立の命令的行為と解する限りは公定力あるものと解する余地はあろうとするもの)
- 小滝・前掲書171頁注21(杉村章三郎『財政法(新版)』法律学全集10(1982)322頁を引き、無効な条件を付さなければ交付決定をしなかったであろう場合には交付決定自体も無効となるが、それ以外の場合には当該無効な条件のない交付決定となると解する旨を指摘するもの。杉村博士の原本は当職は確認しておらず、引用は同書の注の記述の限度にとどめています)
- 荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)79〜80頁(補助金適正化法の「条件」は講学上の附款に当たり、法令により課される義務とは別に作為又は不作為の義務を課す「負担」に分類されると考えられること)
※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。
関連ページ
- 申請した額より少ない交付決定が来た――条件も付いている。納得できないとき何ができるのか(Q&A) →
- 交付規程を守ることは「補助条件」なのか(Q&A) →
- 賃上げ要件を達成できなければ、補助金を返還しなければならないのか(コラム) →
- 財産処分の承認と一緒に「残存簿価相当額を納付せよ」と言われた。納付命令だけを争えるのか(Q&A) →
- 承認の附款としての納付命令とその限界(コラム) →
- 行政から求められた資料は、どこまで出さなければならないのか――報告徴収・現地調査の「必要な限度」(コラム) →
- 補助金の交付決定の取消しに裁量はあるのか(Q&A) →
- 交付決定の取消しの通知に不服があるとき、どこに言えばよいのか(Q&A) →
- 補助金Q&A 一覧へ →
※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。