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弁護士 岸上大起

財産処分の承認と一緒に「残存簿価相当額を納付せよ」と言われた。納付命令だけを争えるのか

このページの結論

補助金で導入した設備を処分制限期間の途中で手放すことになり、財産処分の承認を申請しました。承認と一緒に、残存簿価相当額を納付せよという通知が届きました。承認には異存がないのですが、納付命令だけを別に争うことはできるのでしょうか。そもそも、承認に納付という負担を付けること自体に限界はないのでしょうか。

承認に伴う納付命令は、補助金適正化法22条の承認という行政行為に付けられた附款(負担)です。負担を付けることができるかどうかは、承認の根拠法の解釈問題であり、付けられるとしても、法律の目的以外の目的で付けることや、比例原則に反する負担は許されないと解されています。そして、附款のうち負担については、独立して取消訴訟の対象とすることができると一般に解されており、承認の通知に金額がなく、後から届く納付通知書で初めて金額と期限が示された場合には、納付通知書自体を承認とは別の処分として争う余地があります。

もっとも、附款がなければ承認がされなかったといえる場合には附款だけの取消しは許されないとする見解があり、承認自体に条件が付されていた事案では、後から届く納付の求めは処分に当たらないとする調査官解説もあります。出訴期間は処分を知った日から6か月ですので、承認を知った日から数えておき、承認と納付命令の両方を対象にして、承認を要する行為だったのかと、負担が限界を超えていないかの両方を主張しておくのが実務上の組み方になります。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

補助金で取得した設備を処分制限期間の途中で手放すことになり、財産処分の承認を申請したところ、承認と一緒に、残存簿価相当額を納付せよという通知が届いた。承認を申請したのは自分なので、承認そのものに文句はない。しかし、金額には納得できない。そのような相談を受けることがあります。

この問いに答えるには、まず、納付せよという通知が法律上何なのかを押さえる必要があります。それが分かると、「納付命令だけを争えるのか」「そもそも承認にそのような負担を付けてよいのか」という二つの問いに、順に答えることができます。以下、法律用語は初出のときに意味を書きます。

1 納付命令の正体――承認に付けられた「負担」です

補助金適正化法22条は、補助金で取得した財産を、各省各庁の長(独立行政法人中小企業基盤整備機構が交付する補助金では、機構法16条の準用により同機構の理事長)の承認を受けないで、交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならないと定めています。条文には、承認に際して納付を求めてよいとは書かれていません。それでも納付が求められるのは、承認に「条件」を付けることができると解されているからです。最三小判令和3年3月2日民集75巻3号317頁は、次のように述べています。

引用(最三小判令和3年3月2日民集75巻3号317頁)「法22条に基づく承認に際しては,補助事業者等において補助金等の全部又は一部に相当する金額を納付する旨の条件を附すことができると解される」

この判決の調査官解説は、承認と条件の法律上の性質を、次のように整理しています。

引用(荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)79頁)「同条における各省各庁の長の承認は,禁止の解除の効果を持つ独立の行政行為であり,講学上の許可に相当するところ,「補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すること」等の条件を付すことも可能であるとされている。」

そして、「ここでいう「条件」は,講学上の「附款」に当たる」とし、附款の種類のうち、「許認可等を行うに際して,法令により課される義務とは別に作為又は不作為の義務を課す負担」に分類されると考えられる、としています(同解説79〜80頁)。

言葉を定義しておきます。「附款(ふかん)」とは、許可や承認といった行政行為の本体に付け加えられる定めのことです。塩野宏『行政法Ⅰ〔第六版補訂版〕行政法総論』(有斐閣、2024)は、附款のうち「負担」を、「法令に規定されている義務以外の義務(作為、不作為)を付加する附款のことをいう」と説明し、「道路の占用許可に当たり一定額の占用料の納付を命ずるのは、作為義務にかかる負担である」としています(同書201頁)。財産処分の承認に際して金銭の納付を求めることも、これと同じ構造です。

つまり、お手元の「納付命令」の正体は、承認という行政行為に付けられた附款(負担)です。承認の効力を発生させるための条件ではなく、承認とは別に、金銭を納める義務を課すものです。この整理が、以下のすべての出発点になります。

2 承認に負担を付けること自体に、限界はあるのか

あります。附款は、行政庁が自由に付けられるものではありません。塩野・前掲書は、附款を付けることが許されるかどうかは、「もっぱら当該行政行為の根拠法において、法律で定めたこと以外の規律を行政行為に許しているかどうかの解釈問題となる」とし、「自由裁量行為の場合には附款を付すことができる場合が多いが、常に、当然に附款を付すことができることにはならない」としています(同書203頁)。附款を付けられるかどうかは、承認の根拠法――ここでは補助金適正化法と、その補助金の根拠法――を読んで決まる、ということです。

調査官解説も、「負担を付すためには,法律の根拠が必要と解されている」とした上で、「法22条に基づく承認に当たって負担を付す法律の根拠としては,法の仕組みが挙げられよう」としています(同解説80頁)。承認を得ずに交付の目的に反する処分をすれば、交付決定の取消し(17条1項)、返還命令(18条1項)、高率の加算金・延滞金(19条)、国税滞納処分の例による徴収(21条1項)という重い不利益が待っている。それと比べれば、「交付した補助金等の額の範囲内で,高率の加算金及び延滞金が付されるわけではなく,強制徴収の対象とはならないものとして返還させる義務を負担させること」は許容されるのではないか、というのが解説の理由付けです(同解説80〜81頁)。

ここで押さえていただきたいのは、負担の根拠が「法の仕組み」に求められている、ということです。補助金ごとの交付規程や手引きは、行政の内部の決まりであって、法律ではありません。負担を付けてよいかどうか、どこまで付けてよいかは、交付規程に書いてあるかどうかではなく、法律の解釈で決まります。

そして、付けられるとしても、限界があります。

引用(塩野・前掲書204頁)「附款を付しうるとしても、そこには一定の限界がある。」「また、当該法律の目的以外の目的で附款を付すことも許されない。」

同書は、都市計画法79条が、許可等に付する条件は「当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない」と定めていることを挙げ、「行政上の法の一般原則である比例原則の趣旨からしても同様に解されるので、これは一種の確認的規定と解される」としています(同頁)。比例原則とは、目的を達するために必要な限度を超える手段を用いてはならないという原則です。

石川敏行「附款の限界と争訟手段」(成田頼明編『行政法の争点(新版)』ジュリスト増刊・法律学の争点シリーズ9、有斐閣、1990)は、附款の具体的限界を三つに整理しています。「①法令の規定に違反する附款は許されない。また、②附款は行政行為の目的範囲を逸脱することはできない(当該行政行為によって維持・追求されるのとは異なる行政目的に奉仕する附款)。最後に、③附款を付する際には比例原則の順守を要する」(同79頁)。

財産処分の承認に当てはめると、こうなります。22条の承認に付ける負担は、補助金適正化法と、その補助金の根拠法の目的の範囲内で、かつ、必要な限度で付けることができるにとどまります。たとえば、事業再構築補助金や新事業進出補助金の根拠法である機構法は、経営の革新を行う中小企業者にその事業を行うのに必要な助成を行うことを中小機構の業務としています(同法15条1項6号・5号イ)。補助事業を計画どおりに実施し、何年も設備を補助目的のとおりに使った上で、事業の継続が困難になってやむを得ず設備を手放す事業者に対し、交付額の大半に当たる金額の納付を命じることが、この目的の範囲内にあり、必要な限度にとどまるものなのかは、法律の解釈として問われるべき問題です。私見としては、そのような負担は附款の限界を超える余地があると考えております。この点の詳しい検討は、コラム「残存簿価相当額の納付を求められたら」で述べています。

3 承認を要しない行為に承認をして、負担を付けたとき

附款の限界の前に、もう一つ、先に確かめるべきことがあります。その行為が、そもそも22条の承認を要する行為だったのか、という点です。

22条が承認にかからせているのは、交付の目的に反する「使用」「譲渡」「交換」「貸付け」「担保提供」の五つです。「廃棄」「取壊し」はありません。東京地判平成2年1月30日判タ736号151頁は、補助金で建設した施設の解体撤去について、同条の規制する行為の対象には含まれないとしています(この裁判例は、コラム「補助金で取得した設備を廃棄することは『処分』か」で紹介しています)。また、処分制限期間を経過した財産については、施行令14条1項2号により、承認そのものが要りません。

承認を要しない行為について承認がされ、それに負担が付けられた場合、その負担はどうなるのか。東京高判平成29年1月26日(平成28年(行コ)第162号)は、担保権の実行による所有権の移転について、22条に基づく承認と解することはできないとした上で、次のように述べています。

引用(東京高判平成29年1月26日・平成28年(行コ)第162号)「法律上の根拠に基づいて法律関係を形成・消滅させる行政行為に当たらず,本件承認に附款として付された国庫補助金相当額の返還を条件とする部分についてもその効力を認めることができず」

この判決は、上告審である前掲最三小判令和3年3月2日で破棄されました。破棄の理由は、その事案の承認が、22条ではなく、交付決定に7条3項に基づいて付されていた条件に基づくものと扱うことができる、という点にあります。根拠のない承認に付けられた負担が効力を持つとしたものではありません。附款は本体である承認の上に乗っているものですから、承認が法律上の根拠を欠けば、その上に乗った負担も根拠を失う、という考え方そのものは、この判決の流れで否定されてはいないと読んでおります。

実務の順序としては、納付命令の金額を検算する前に、その行為が22条の五つの行為に当たるのか、処分制限期間は経過していないか、を先に確かめることになります。承認が要らない行為であれば、承認を申請したこと自体が出発点として誤っており、負担の限界を論じる前に、承認と納付命令の両方を争う理由が立ちます。

4 納付命令だけを、承認とは別に争えるのか

ここが、冒頭の問いです。承認は欲しいが、負担には納得できない。負担だけを取り消してもらうことはできるのでしょうか。

学説の整理から見ます。行政判例百選の解説は、「附款が独立して抗告訴訟の対象となりうるかについては,少なくとも負担については一般に積極に解されており」としています(見上崇洋「行政行為の附款(2)」行政判例百選Ⅰ〔第6版〕194頁)。曽和俊文教授も、「附款もそれ自体相手方の権利義務を左右する法効果を持つので行政行為である」とし、附款が違法な場合の争い方を論じています(法学教室380号61頁)。石川・前掲79頁も、負担は「本体とは別個・独立の、特別の義務を命ずる附款であり、それ自体が一種の行政行為としての性格(「付随的行政行為」)を持つ」としています。

塩野・前掲書は、附款に瑕疵(かし。法律上の欠陥のことです)がある場合について、「附款も行政行為の一部であるから取消訴訟の排他的管轄が及ぶ。そこで、まず、附款だけの取消訴訟ないしは附款の無効確認訴訟を提起することとなる」とした上で、次の留保を付けています。

引用(塩野・前掲書205頁)「ただ、その附款なかりせば当該行政行為がなされなかったであろうことが客観的にいえるような場合には、当該附款だけでなく行政行為全体が瑕疵を帯びるものと解すべきであろう。したがって、この場合には、附款だけの取消訴訟は許されない。」

財産処分の承認についていえば、調査官解説も、「仮に,補助金等の交付決定を受けた者において,承認に付された「条件」に不服があれば,承認自体又は附款である「条件」について,地方公共団体にあっては法25条による不服の申出,それ以外の者にあっては行政不服審査法による審査請求や,取消訴訟を提起することが考えられる」としています(同解説93頁注8)。承認自体を争う道と、条件を争う道の両方が挙げられています。

他方で、承認の通知に金額が書かれておらず、後から届く納付通知書で初めて金額と期限が示される、という場合があります。このような場合について、附款(負担)の内容を後から確定して告知する行為に処分性を認めた高裁判決が二つあります。

一つは、大阪高判令和3年12月14日判時2545号27頁です。道路の占用許可を受けた者に対する占用料の納入告知について、「占用料の徴収は占用の許可を前提にするが、法律上、占用の許可がされれば当然に占用料が徴収される仕組みになっていない」ことから、納入告知は「占用許可の附款とみることができる」とした上で、次のように述べています。

引用(大阪高判令和3年12月14日判時2545号27頁)「しかし、本件各納入告知を占用許可の附款と位置付けることができるからといって、直ちにその処分性が否定されることになるわけではない。」「被控訴人の占用料納付義務は、「納付すべき金額、期限及び場所」を明記した本件各納入告知の書面によって初めて発生するといわなければならない。そうである以上、本件各納入告知の性質が附款であるとしても、これが処分に当たることを否定することはできない。」

もう一つは、東京高判平成31年3月7日訟月65巻8号1155頁です。国有財産の使用許可に際して使用料が「別途通知する額」とされていた事案で、使用料は「国の行政処分(附款たる負担)により決定されることを踏まえた手続がとられていた」とし、使用許可の際には別途通知するとされ、許可に後れて決定され告知された場合においても、納入告知書の送付による告知に当たって、「本件使用許可の附款として別途定めるとされていた使用料を確定する行政処分がされたものと解することが相当である」と判示しました。

どちらの判決も、本体の許可は法律に基づく処分であり、許可がされれば当然に金銭の納付義務が生じる仕組みにはなっておらず、負担を付けるかどうかとその額は行政庁の判断に委ねられている、という構造の事案です。財産処分の承認と納付命令も、同じ構造にあります。22条の承認がされれば当然に納付義務が生じるわけではなく、負担を付けるかどうかと、その額は、承認をする側の判断に委ねられています。承認の通知に金額がなく、納付通知書で初めて金額と期限が示されたのであれば、その納付通知書は、承認に伴う負担の内容を確定して告知した行為であり、承認とは別に取消訴訟の対象になると考える余地があります。私見としては、この二つの高裁判決の考え方は、財産処分の納付命令にも及ぶと考えております。二つの判決の詳しい紹介は、コラム「大阪高判令和3年12月14日」と「東京高判平成31年3月7日」で行っています。

なお、石川・前掲79頁は、「現行法制では、附款のみを単独で争う手続は存在せず、したがって限界の逸脱の有無は、附款の本体(行政処分)に対する抗告争訟において争われることになる」とも述べています。1990年の論稿であり、その後の学説は上記のとおり負担について独立の争いを認める方向にありますが、負担だけを争う道が自明でないことは、この指摘からも分かります。だからこそ、次に述べるとおり、承認と納付命令の両方を対象にしておくことが要になります。

次のような場合は、納付の前にご相談ください

  • 財産処分の承認と一緒に、残存簿価相当額の納付通知書が届いた
  • 承認の通知には金額がなく、後から届いた納付通知書で初めて金額を知った
  • 承認が要らない行為(廃棄・処分制限期間の経過後の処分)なのに、承認を申請するよう求められた
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 残存簿価相当額の納付を求められたら(コラム)/財産処分の承認と残存簿価相当額の納付(Q&A)

5 実務上の動き方――期間と、争う対象の決め方

以上を踏まえ、承認と納付命令が届いたときに、どう動くかを整理します。

  • (1)出訴期間は、処分を知った日から6か月です。取消訴訟は、処分があったことを知った日から6か月を経過したときは提起することができません(行政事件訴訟法14条1項)。承認の通知を受け取った日と、納付通知書を受け取った日が違うときは、早い方の日から数えておくのが安全です。前記4のとおり、納付通知書が独立の処分と扱われない場合には、承認を知った日から6か月が期限になるからです。6か月を過ぎたときの「正当な理由」については、Q&A「取消しから6か月を過ぎたら」で述べています。
  • (2)承認と納付命令の両方を対象にします。納付命令だけを争うと、「附款なかりせば承認がされなかった」として附款だけの取消しは許されないとされる余地(塩野・前掲書205頁)と、納付通知書は処分に当たらないとされる余地(調査官解説83〜84頁)の二つの危険があります。承認の取消しと納付命令の取消しの両方を求め、承認が要らない行為であったことと、負担が限界を超えることの両方を主張しておくのが、現時点での実務上の組み方です。
  • (3)審査請求という道もあります。調査官解説93頁注8が挙げるとおり、地方公共団体以外の者は、行政不服審査法による審査請求をすることもできます。どこに言えばよいかは、Q&A「取消しの通知に不服があるとき、どこに言えばよいのか」で整理しています。
  • (4)納付通知書に、金額の算定根拠が書かれているかを見ます。負担の内容を確定して告知する行為であれば、金額がどのように算定されたかが示されているべきものです。算定根拠の記載がなく、検算ができないのであれば、その点自体が主張の材料になります。残存簿価相当額の検算の仕方は、Q&A「『残存簿価相当額』は帳簿の簿価ではないのか」で述べています。
  • (5)納付に応じるかどうかは、別に決めます。承認の負担として課された納付義務には、調査官解説によれば、加算金・延滞金が付されず、国税滞納処分の例による強制徴収の対象にもなりません(同解説80〜81頁)。返還命令に伴う加算金・延滞金(19条)とは、仕組みが違います。届いた書面がどちらなのかの見分け方は、Q&A「加算金・延滞金は払うのか」で述べています。争う以上、争いの間に納付するかどうかは、期限までに、資金繰りと一緒に決めておくことになります。

承認を申請したからといって、承認に付けられた負担まで受け入れたことにはなりません。負担には、根拠法の目的と比例原則という限界があり、負担は承認とは別に争う対象になり得るとされています。承認と納付命令が届いたら、まず日付を押さえ、承認が要る行為だったのかを確かめ、両方を対象にして動く。順序はこのとおりです。

財産処分の承認と一緒に残存簿価相当額の納付通知書を受け取られた事業者の方、承認の通知には金額がなく後から納付通知書が届いた方、廃棄や処分制限期間の経過後の処分なのに承認申請を求められている方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、通知を受け取った日から日数が進みますので、早めにご相談ください。承認申請書、承認の通知、納付通知書、取得財産等管理台帳があれば、具体的な検討ができます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

  • 補助金適正化法22条(財産の処分の制限。補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。承認に際して納付を求めることができる旨の文言はなく、納付は承認に付される附款(負担)として生じる)
  • 補助金適正化法施行令14条1項2号(補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長が定める期間を経過した場合には、22条の承認を要しない)
  • 補助金適正化法17条1項(交付決定の取消し)、18条1項(返還命令)、19条(加算金・延滞金)、21条1項(国税滞納処分の例による徴収)。承認を得ずに交付の目的に反する処分をした場合の不利益であり、調査官解説が、承認に負担を付す法律の根拠である「法の仕組み」として挙げるもの
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構法16条(15条1項6号の助成金について補助金適正化法を準用し、「各省各庁の長」を機構の理事長と読み替える)、15条1項6号・5号イ(創業を行う者又は経営の革新を行う中小企業者に対し、その事業を行うのに必要な助成を行うこと)
  • 行政事件訴訟法14条1項(取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)
  • 最三小判令和3年3月2日民集75巻3号317頁(「法22条に基づく承認に際しては,補助事業者等において補助金等の全部又は一部に相当する金額を納付する旨の条件を附すことができると解される」としたもの。原審である東京高判平成29年1月26日(平成28年(行コ)第162号)を破棄自判。破棄の理由は、承認を7条3項による交付決定の条件に基づくものと扱うことができるという点にある)
  • 荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)79頁(22条の承認は禁止の解除の効果を持つ独立の行政行為であり、講学上の許可に相当し、「補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すること」等の条件を付すことも可能であるとされていること)、79〜80頁(この「条件」は講学上の「附款」に当たり、許認可等を行うに際して法令により課される義務とは別に作為又は不作為の義務を課す「負担」に分類されると考えられること)、80頁(負担を付すためには法律の根拠が必要と解されており、22条の承認に当たって負担を付す法律の根拠としては法の仕組みが挙げられること)、80〜81頁(交付した補助金等の額の範囲内で、高率の加算金及び延滞金が付されず、強制徴収の対象とならないものとして返還させる義務を負担させることは許容されるのではないかと考えられること)、83〜84頁(承認自体に納付の条件が付されていた事案で、後にされた納付の求めは附款により発生した義務の履行を求めるにすぎず、行政処分には当たらないと考えられること)、93頁注8(承認に付された「条件」に不服があれば、承認自体又は附款である「条件」について、地方公共団体以外の者にあっては行政不服審査法による審査請求や取消訴訟を提起することが考えられること)
  • 東京高判平成29年1月26日(平成28年(行コ)第162号)(担保権実行による所有権移転は22条に基づく承認の対象と解することができず、「法律上の根拠に基づいて法律関係を形成・消滅させる行政行為に当たらず,本件承認に附款として付された国庫補助金相当額の返還を条件とする部分についてもその効力を認めることができず」としたもの。上告審の最三小判令和3年3月2日で破棄された)
  • 大阪高判令和3年12月14日判時2545号27頁(令和元年(行コ)第121号)(道路占用料の納入告知について、占用の許可がされれば当然に占用料が徴収される仕組みになっていないことから、納入告知は占用許可の附款とみることができるとした上で、附款と位置付けることができるからといって直ちに処分性が否定されるわけではなく、占用料納付義務は「納付すべき金額、期限及び場所」を明記した納入告知の書面によって初めて発生するから、納入告知の性質が附款であるとしても処分に当たることを否定することはできないとしたもの)
  • 東京高判平成31年3月7日訟月65巻8号1155頁(平成30年(行コ)第289号)(国有財産法18条6項の使用許可に際し「別途通知する額」とされていた使用料について、「国の行政処分(附款たる負担)により決定されることを踏まえた手続がとられていた」とし、使用許可に後れて決定され告知された場合においても、納入告知書の送付による告知に当たって、「本件使用許可の附款として別途定めるとされていた使用料を確定する行政処分がされたものと解することが相当である」としたもの)
  • 東京地判平成2年1月30日判タ736号151頁(補助金で建設した施設の解体撤去は22条の規制する行為の対象には含まれないとしたもの)
  • 塩野宏『行政法Ⅰ〔第六版補訂版〕行政法総論』(有斐閣、2024)201頁(負担とは、法令に規定されている義務以外の義務(作為、不作為)を付加する附款のことをいい、道路の占用許可に当たり一定額の占用料の納付を命ずるのは作為義務にかかる負担であること)、203頁(附款の許容性は、もっぱら当該行政行為の根拠法において、法律で定めたこと以外の規律を行政行為に許しているかどうかの解釈問題となり、自由裁量行為であっても常に当然に附款を付すことができることにはならないこと)、204頁(附款を付しうるとしても一定の限界があり、比例原則の趣旨から不当な義務を課する附款は許されず、当該法律の目的以外の目的で附款を付すことも許されないこと)、205頁(附款も行政行為の一部であるから取消訴訟の排他的管轄が及び、附款だけの取消訴訟ないし無効確認訴訟を提起することとなるが、その附款なかりせば当該行政行為がなされなかったであろうことが客観的にいえる場合には行政行為全体が瑕疵を帯び、附款だけの取消訴訟は許されないこと)
  • 石川敏行「附款の限界と争訟手段」成田頼明編『行政法の争点(新版)』(ジュリスト増刊・法律学の争点シリーズ9、有斐閣、1990)78〜79頁(負担は本体とは別個・独立の特別の義務を命ずる附款であり、それ自体が一種の行政行為としての性格(「付随的行政行為」)を持つこと。附款の具体的限界として、①法令の規定に違反する附款は許されないこと、②附款は行政行為の目的範囲を逸脱することはできないこと、③附款を付する際には比例原則の順守を要すること。現行法制では附款のみを単独で争う手続は存在せず、限界の逸脱の有無は附款の本体に対する抗告争訟において争われることになるとすること。いずれも79頁)
  • 見上崇洋「行政行為の附款(2)」行政判例百選Ⅰ〔第6版〕(別冊ジュリスト211号、有斐閣、2012)194頁(附款が独立して抗告訴訟の対象となりうるかについては、少なくとも負担については一般に積極に解されていること)
  • 曽和俊文「行政法を学ぶ 第12回 行政行為(4)行政裁量(その2)・附款」法学教室380号(有斐閣、2012)61頁(附款もそれ自体相手方の権利義務を左右する法効果を持つので行政行為であるとし、附款が違法な場合の争い方を論じるもの)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

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※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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