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弁護士 岸上大起

公募要領と手引きには「補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められません」と書かれていますが、建物の一部を貸すこともできないのでしょうか

このページの結論

補助金で建てた建物に、使っていない区画が出ました。その部分を貸して収入を得たいと考えていたところ、公募要領と補助事業の手引きに「補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められません」と書かれていました。建物の全部ではなく、一部を貸すこともできないのでしょうか。

補助金適正化法22条が禁じているのは、「承認を受けないで」「補助金等の交付の目的に反して」する貸付けです。貸付けそれ自体を禁じた条文ではありません。同じ公募要領の40頁(8)も、同じ補助事業の手引きの32頁「(25)取得財産の処分(交付規程第24条)」も、貸付けを事前承認の対象として書いていますし、交付規程24条1項は「処分」の定義の中に「貸付」を置き、同3項は様式第12-1による承認申請の手続を置いています。交付規程24条6項が自ら踏まえるものとして挙げた取扱基準(平成16・06・10会課第5号)は、「一時的な有償貸付け」を承認する場合の例として挙げ(同3.(2)注※1)、補助目的たる事業の遂行に支障を来さない範囲で当該年度を超えない範囲で行う貸付けについては、管理協定の締結と原則無償という条件のもとで、報告書の提出により承認を受けたものとみなし、国庫納付も求めないとしています(同5.(1)③)。

納付額の基礎も分かれています。取扱基準4.(1)は有償貸付けについて貸付額を基礎とし、残存簿価相当額を基礎とするのは4.(2)の「転用、無償譲渡、無償貸付け、交換、取壊し又は廃棄」の場合です。公募要領31頁※9が不動産賃貸について「残存簿価相当額等を国庫に返納」としているのは、この区別を落としたもので、同じ手引き35頁が有償貸付けの納付額を「譲渡額又は貸付額」としていることとも整合しません。もっとも、承認制であることは、承認を受けずに貸してよいということではありません。承認を受けずに処分すれば取消しの対象となり、18条1項の返還命令につながります。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 公式の説明――「一切認められません」

事業再構築補助金の公募要領(第13回。1.0版。令和7年1月)の31頁(PDF32頁)は、補助対象経費の「建物費」の注記として、次のように書いています(以下、公式資料の閲覧日はいずれも2026年10月23日です)。

引用(公募要領(第13回)31頁※9)「※9 補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められませんのでご注意ください。不動産賃貸等に転用された場合、目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫に返納いただく必要がございますのでご注意ください。」

同じ内容が、補助事業の手引きにも置かれています。補助事業の手引き(1.2版。第12回〜第13回補助金交付候補者・補助事業者向け。令和8年3月)の41頁です。

引用(補助事業の手引き(1.2版)41頁(注8))「(注 8)補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められません。」

補助事業の手引き(2.5版。第1回〜第5回。令和8年3月)の37頁も、(注6)として同じ一文を置いています。

建物の全部を貸すのも、空いている一室を貸すのも、読んだかぎりでは区別がありません。「一切」と書かれていますので、一部を貸すことも認められない、と読むのが素直な読み方です。建物を建てたあとで事業の規模が想定より小さくなり、使っていない区画が出たときに、その区画を貸して収入を得ることすら考えられなくなります。

しかし、法律と交付規程と、その交付規程が自ら従うと定めた取扱基準を順に読んでいくと、建てつけはそうなっていません。以下、順に確かめます。

2 22条は貸付けを禁じていません。承認にかからせているだけです

まず、法律の文言です。

引用(補助金適正化法22条)「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」

22条が禁じているのは、「承認を受けないで」「補助金等の交付の目的に反して」する貸付けです。貸付けそれ自体を禁じた条文ではありません。承認を受ければできる、という建てつけです。本補助金について同法が及ぶのは、中小機構法16条による準用です。

さらに、文献は、補助目的に適合する貸付けについては承認すら要らないと明言しています。

引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』301頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「したがって、補助目的に適合する限り、補助事業者等は自由に使用、譲渡等の処分を行うことができる。例えば、地方公共団体が公営住宅建設費補助金の交付を受けて建設した公営住宅を住民に賃貸し、あるいは工業団地造成利子補給金の交付を受けて造成した工業団地を企業等に工業団地用に譲渡し、貸し付けること等は、補助目的に適合する典型的な事例であり、これらの処分を行うについて交付行政庁の承認を受ける必要がないことはいうまでもない。」

賃貸・貸付けが、承認を要しない典型例として挙げられています。つまり、22条のもとでは、貸付けは(ア)補助目的に適合するので承認すら要らないもの、(イ)補助目的に反するけれども承認を受ければできるもの、(ウ)承認を受けないまま行ったので違反になるもの、の三つに分かれます。公式の説明は「一切認められません」と書くことで、(ア)と(イ)をまとめて消しています。

補助目的に反する使用とは何か、という線の引き方は、Q&A「補助金の『目的外使用』とは何か」で述べています。

3 同じ公募要領の40頁と、同じ手引きの32頁は、貸付けを承認の対象として書いています

「一切認められません」と書いた公募要領は、その九頁あとで、貸付けについて次のように書いています。

引用(公募要領(第13回)40頁(8))「(8)取得財産のうち、単価50万円(税抜き)以上の機械等の財産又は効用の増加した財産(処分制限財産)は、処分制限期間内に取得財産を処分(①補助金の交付の目的に反する使用、譲渡、交換、貸付け、②担保に供する処分、廃棄等)しようとするときは、事前に事務局の承認を受けなければなりません。」

手引きも同じです。1.2版の32頁は、「(25)取得財産の処分(交付規程第24条)」として、こう書いています。

引用(補助事業の手引き(1.2版)32頁「(25)取得財産の処分(交付規程第24条)」)「補助事業終了後、取得財産等のうち、処分制限期間において、補助事業により取得し、又は効用が増加した財産ごとに50万円(税抜き)以上の建物、機械器具、備品及びその他財産(処分制限財産)を処分(補助金の交付の目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、担保に供する処分、廃棄等)しようとする場合は、処分をする前に「財産処分承認申請書」<様式第 12-1>を事務局に提出し、「財産処分承認通知書」<様式第 12-2>による事務局の承認を得てからでなければなりません。」

交付規程も同じ建てつけです。中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程(令和3年6月15日規程令3第13号)の24条1項は、処分制限財産の「処分」の中に「貸付」を書き込んでいます。

引用(同交付規程24条1項。同規程7頁)「取得財産等のうち、処分(補助金の交付の目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、担保に供する処分、廃棄等をいう。)を制限する財産(以下「処分制限財産」という。)は、取得価格又は効用の増加価格が単価50万円(税抜)以上の機械、器具及びその他の財産とする。」
引用(同交付規程24条3項。同規程7頁)「補助事業者は、前項の規定により定められた期間内において、処分制限財産を処分しようとするときは、あらかじめ様式第12-1による承認申請書を中小機構に提出し、その承認を受けなければならない。」

貸付けを「処分」に含め、承認申請の様式(様式第12-1)を用意し、承認を受ければできる建てつけを置いている。これが交付規程です。「一切認められない」のであれば、貸付けについて承認申請の手続を置く意味がありません。

事務局の「よくあるご質問」も、同じ向きです。財産処分についてのQ4は、「財産処分が必要となる行為について教えてほしい。」という問いに対し、次のように答えています。

引用(事業再構築補助金「よくあるご質問」(財産処分について)Q4)「目的外使用、譲渡、交換、貸付、担保に供する処分、廃棄等があります。」

貸付けが、承認を受けて行う財産処分の一類型として挙げられています。

4 交付規程が従うと定めた取扱基準は、貸付けの承認基準と納付額の算式を定めています

交付規程は、財産処分の取扱いについて、国の通達に従うことを自ら定めています。

引用(同交付規程24条6項。同規程8頁)「中小機構は、補助事業者が処分制限財産を処分するときは、様式第12-5による納付通知書により、当該処分制限財産に係る補助金額を限度として、納付させることができるものとし、補助事業者は当該納付命令にしたがって納付しなければならない。なお、当該処分については、補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成16・6・10会課第5号)の各規定を踏まえ取り扱うものとする。」

ここで挙げられている「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(平成16・06・10会課第5号。経済産業省大臣官房会計課。最終改正令和元年5月7日)は、まず、「転用」と「貸付け」を別の概念として定義し分けています。

引用(同取扱い2.(1)。同PDF2頁)「転用:処分制限財産の所有者の変更を伴わない目的外使用。」「貸付け:処分制限財産の所有者の変更を伴わない使用者の変更。」

建物を他人に賃貸するのは、使用者が変わることですから、「貸付け」です。公募要領31頁※9が、不動産賃貸を「転用」と呼び、「目的外使用と判断し」としているのは、この書き分けを踏まえていないことになります。

そのうえで、同取扱いは、貸付けを承認する場合の条件と納付額を、具体的に定めています。

引用(同取扱い3.(1)。同PDF2頁)「補助事業者等からの財産処分の申請について補助金適正化法第22条の承認をする場合には、本取扱い4.で定める金額を国庫に納付する旨の条件(以下「国庫納付条件」という。)を付さなければならない。」
引用(同取扱い3.(2)注※1。同PDF3頁)「※1「大臣等が適当であると個別に認める場合」としては、国庫納付条件に代えて再処分条件を付すものとして補助目的たる事業を第三者に遂行させるための譲渡等が、国庫納付条件と併せて再処分条件を付すものとして一時的な有償貸付け等が、考えられる。」

「一時的な有償貸付け」が、承認する場合の例として正面から挙げられています。さらに、一定の貸付けについては、承認申請の手続を経ることさえ要らないとされています。

引用(同取扱い5.(1)柱書及び③。同PDF4頁)「(1)次に掲げる財産処分に該当する場合には、財産処分の承認申請手続にかかわらず、別紙様式1(以下「報告書」という。)を大臣等に提出することによって、補助金適正化法第22条の承認を受けたものとみなし、国庫納付は求めないこととする。」「③補助目的たる事業の遂行に支障を来さない範囲で、一時的に(当該年度を超えない範囲で)行う転用又は貸付け。ただし、貸付けの場合には次の条件を付した上で行うものに限る。a.使用予定者との間で当該一時使用に係る管理協定を締結すること。b.原則無償貸付けとする。ただし、実費相当額の負担を求める場合は、この限りではない。」

補助目的たる事業の遂行に支障を来さない範囲で、当該年度を超えない範囲で行う貸付けであれば、管理協定を結び、原則無償(実費相当額の負担を求めることは差し支えない)とすることで、報告書の提出によって承認を受けたものとみなされ、国庫納付も求められない。そういう仕組みです。建物の一部を一時的に貸すというのは、まさにこの類型に当たりうる場面です。

同取扱い5.(2)②c(イ)は、「国又は地方公共団体に対して行う無償譲渡又は無償貸付け」について、国庫納付条件を付さないことができる場合として挙げてもいます。

私見としては、「一切認められません」という書き方は、交付規程24条6項が自ら踏まえるものとして挙げた取扱基準の内容と食い違っており、この一文だけを読んで貸付けを断念する事業者を生みます。手続の要らない類型と、承認を受けて行える類型が、取扱基準の側に書かれていることは、公式の説明からは分かりません。

5 納付額の基準も取り違えています――「残存簿価相当額等」ではありません

公募要領31頁※9は、不動産賃貸等に転用された場合について、「残存簿価相当額等を国庫に返納いただく必要がございます」としています。ところが、取扱基準の算式は、有償の貸付けと無償の貸付けを分けています。

引用(同取扱い4.(1)。同PDF3頁)「(1)有償譲渡又は有償貸付けに係る国庫納付額は、処分制限財産に係る補助金額を上限として、譲渡額又は貸付額(ただし、当該譲渡額又は貸付額が残存簿価相当額又は鑑定評価を行った場合の鑑定評価額に比して著しく低価である場合において、その理由を合理的に説明することができないときは、残存簿価相当額又は鑑定評価額)に補助率(補助金交付額が事業額に占める割合その他の適切な比率。以下同じ。)を乗じて得た額とする。」
引用(同取扱い4.(2)。同PDF3頁)「(2)転用、無償譲渡、無償貸付け、交換、取壊し又は廃棄の場合の国庫納付額は、残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額とする。ただし、鑑定評価を行う場合には、鑑定評価額に補助率を乗じた金額と前記の金額で高い方とする。」

残存簿価相当額を基礎とするのは、4.(2)の「転用、無償譲渡、無償貸付け、交換、取壊し又は廃棄」の場合です。賃料を取って建物を貸すのは、4.(1)の「有償貸付け」であり、基礎になるのは貸付額です。賃料が残存簿価相当額を下回る通常の賃貸で、※9のとおり「残存簿価相当額等」を納めることになれば、取扱基準の算式より高い額を払うことになります。

この点は、同じ補助金の公式資料の中で、はっきり分かれています。手引き(1.2版)の35頁は、交付規程24条6項の納付金の算式について、こう書いています。

引用(補助事業の手引き(1.2版)35頁「Ⅱ.補助事業終了後の義務」1③。記号Aの説明)「A:有償譲渡又は有償貸付に係る補助金返還額は、処分制限財産に係る補助金額を上限として、譲渡額又は貸付額(ただし、当該譲渡額又は貸付額が残存簿価相当額又は鑑定評価を行った場合の鑑定評価額に比して著しく低価である場合において、その理由を合理的に説明することができないときは、残存簿価相当額又は鑑定評価額を適用する。)とする。目的外使用、無償譲渡、無償貸付等の補助金返還額は、残存簿価相当額(ただし、鑑定評価を行う場合には、残存簿価相当額と鑑定評価額のいずれか高い額を適用する。)とする。」

「よくあるご質問」のQ10(納付額の計算方法)も、同じ算式を掲げ、記号Aについて「(有償譲渡又は有償貸付の場合は)譲渡額又は貸付額」としています。同じQ15は、「財産処分に伴う納付額は、処分制限財産に係る補助金額が上限となります。」としています。

同じ事務局の文書が、一方では貸付けを「一切認められません」と書き、他方では有償貸付けの納付額を計算する算式を公表している。しかも、その算式は同じ手引きの中にあり、「一切認められません」の注記より六頁前に置かれています。私見としては、公募要領31頁※9の「残存簿価相当額等」という書き方は、取扱基準4.(1)と4.(2)の区別を落としたものであり、手引き35頁の自らの説明とも整合していないと言わざるを得ません。

納付額がどう決まるのか、納付義務がどこから生じるのかは、Q&A「『財産処分を行った場合、補助金を納付する必要があります』と公式のよくあるご質問にありますが、そのとおりなのでしょうか」と「財産処分の承認を申請したら、残存簿価相当額を納めることになるのか」で述べています。

6 記述の置き場所――経費の章に置かれた一文が、承認の仕組みを覆っています

この「一切認められません」が、どこに置かれているかにも、申し上げたいことがあります。公募要領31頁※9は「7.補助対象経費」の章の、建物費の注記です。手引き(1.2版)41頁(注8)も、経費区分の解説の中の、建物費の注記です。

これに対し、財産処分の承認と納付の仕組みは、別の章にあります。手引きでは、「Ⅱ.補助事業終了後の義務」「1 財産処分の承認申請(交付規程第24条)」(35頁以下)です。公募要領では、40頁の(8)です。

建物を建てる段階で経費の章を読んだ事業者は、「不動産賃貸等に転用することは、一切認められません」という一文を読みます。その時点で、貸すことは考えなくなります。承認申請の様式があり、取扱基準に手続の要らない類型があることは、別の章にしか書かれていません。

公式の説明に書かれていないことは、「ない」ことと同じではありません。私見としては、「一切認められません」という一文は、22条が承認制を置いた趣旨と、交付規程24条1項・3項が貸付けについて承認の手続を置いたこと、交付規程24条6項が踏まえるものとして挙げた取扱基準の内容のいずれとも整合しておらず、この書き方は、補助金適正化法の理解が浅いと言わざるを得ません。

次のような場合は、貸される前にご相談ください

  • 補助金で建てた建物に使っていない区画があり、貸して収入を得たいが、「一切認められない」と書かれている
  • 建物の一部を貸したところ、目的外使用と言われ、残存簿価相当額の納付を求められている
  • 貸付けの承認申請を出したい、または報告書で足りるのかを確かめたい
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 財産処分と納付――公式のよくあるご質問を条文で確かめる(Q&A)/補助事業を続けられないとき――手続の順番、返還額の計算、返還が生じない選択肢(コラム)

7 建物の一部を貸すことをお考えの場合に

貸してしまってから相談されると、できることが減ります。順序としては、次の整理をしてから動いていただくのがよいと考えております。

  • (1)どの補助金の、どの版の交付規程と公募要領が適用されるのかを確かめる。交付規程の条番号は、補助金ごとに、また版ごとに違います。公募要領も公募回ごとに別の文書です。手元の交付決定通知書に書かれた補助金の名称と交付決定の日付から、適用される版を特定してください。本稿で引いたのは、中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程と、同補助金の第13回公募要領・補助事業の手引き(1.2版、2.5版)です。
  • (2)貸付けか、転用か、それとも処分に当たらないのかを分ける。他人に使わせるのであれば、取扱基準2.(1)の定義では「貸付け」です。自社で別の用途に使うのであれば「転用」です。どちらに当たるかで、納付額の算定の基礎(取扱基準4.(1)か4.(2)か)も、手続(承認申請か、報告書か)も変わります。公式の説明が両者を同じ言葉で呼んでいることに、そのまま乗らないことです。
  • (3)一時的な貸付けに当たるのであれば、要件を満たす形で組む。取扱基準5.(1)③は、補助目的たる事業の遂行に支障を来さない範囲で、当該年度を超えない範囲で行う貸付けについて、使用予定者との管理協定の締結と、原則無償(実費相当額の負担を求めることは差し支えないとされています)という条件のもとで、報告書の提出により承認を受けたものとみなし、国庫納付は求めないとしています。期間・賃料の定め方・協定の有無で、結論が変わります。契約を結ぶ前に形を決めてください。
  • (4)有償で貸すのであれば、納付額の見込みを先に立てる。取扱基準4.(1)の算式では、基礎になるのは貸付額であって、残存簿価相当額ではありません(貸付額が残存簿価相当額又は鑑定評価額に比して著しく低価で、その理由を合理的に説明することができないときは別です)。上限は、処分制限財産に係る補助金額です。貸して得られる収入と納付額を並べて見てから、貸すかどうかを決めることになります。
  • (5)「一切認められません」と言われたら、どの文書の何頁かを書面で確かめる。電話口での説明だけで断念しないことです。公募要領の注記なのか、手引きの注記なのか、交付規程の条項なのかで、議論の立て方が変わります。やり取りの残し方は、Q&A「事務局とのやり取りが申請システムの中にしかない――記録はどう残すのか」で述べています。

なお、処分の制限がいつまで続くのかは、別の問題です。処分制限期間の数え方は、コラム「処分制限期間は何年か」で述べています。借りている建物に補助金で内装・設備を入れた場合の扱いは、Q&A「借りている土地・店舗に補助金で設備や内装を付けた。退去するときどうなるのか」で述べています。

補助金で建てた建物の一部を貸してはどうかとお考えの事業者の方、既に貸したところ目的外使用と言われて残存簿価相当額の納付を求められている方、貸付けの承認申請を出すべきか報告書で足りるのかを確かめたい方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、貸される前にご相談ください。交付決定通知書、交付規程、公募要領と手引きの該当頁、賃貸借契約書の案があれば、具体的な検討ができます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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