執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)
1 まず、公式の説明を一字一句で見ます
補助金で取得した設備を廃棄する、取り壊す、別の用途に回す。そういう場面で最初に目に入るのが、事務局が公にしている説明です。まず、それを一字一句で見ます。事業再構築補助金の「よくあるご質問」の「財産処分について」の欄の最初の問い(Q1)は、次のとおりです。
引用(事業再構築補助金「よくあるご質問」「財産処分について」Q1(faq0151)。問いは「財産処分について教えてほしい。」。https://jigyou-saikouchiku.go.jp/faq.html 、2026年10月23日閲覧)「補助事業により取得した資産(財産)については、法に基づき転用、売却、破棄等の財産処分に制限が課されています。取得財産を処分する場合は、事前に事務局に申請し承認を得る必要があります。財産処分を行った場合、該当処分財産の残存簿価相当額又は時価(譲渡額)を基に算出した補助金の全部または一部に相当する金額を納付する必要があります。」
次に、事務局が公表している参考例の末尾です。
引用(事業再構築補助金「補助事業により取得した資産について「財産処分」となる参考例」(令和8年5月・事業再構築補助金事務局)7頁。https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/zaisanshobun_sankourei.pdf 、掲載ページの更新日2026年5月11日、2026年10月23日閲覧。このほかに問合せ先を案内する◆が1つあります)「◆事務局の承認を得ずに処分(目的外使用や廃棄等)をした場合、交付決定を取り消される場合があります。◆事例のケース以外にも処分と判断される場合があります。」
同じことが、別の補助金の手引きにも書かれています。以下は、中小企業新事業進出促進補助金の「補助事業の手引き」(2026年8月17日第1.8版。中小企業新事業進出補助金事務局)のものです。
引用(中小企業新事業進出促進補助金「補助事業の手引き」65頁(PDF66頁)。https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_hojo_tebiki.pdf 、2026年10月23日閲覧)「見積額(譲渡等による処分時に、3者以上の業者から処分価格の見積書を取得した場合は、見積価格の最も高い額)または残存簿価相当額を基に所定の計算式により算出した補助金の全部または一部に相当する金額を事務局が指定する口座に納付していただきます。」
その一つ前の64頁(PDF65頁)は、「処分制限財産を処分制限期間内に処分しようとするときは、残存簿価相当額又は譲渡額等により算出した金額を、当該処分制限財産に係る補助金額を限度に納付しなければなりません。」としています(この後に「詳しい算出方法は、「手続時のルール」を参照してください。」と続きます)。
並べて読むと、「処分には法に基づく制限がある」「処分するなら事前に承認を得る」「処分したら納付する」という三段で組み立てられており、納付は動かせないもののように読めます。以下、この三段を条文に当てて確かめます。
2 この説明の、どこが正確でないのか
(1)「法に基づき転用、売却、破棄等」という部分
法律は、次のとおりです。
引用(補助金適正化法22条)「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」
補助金適正化法22条が挙げているのは五つの行為です。「破棄」「廃棄」「取壊し」「転用」という語は、条文に出てきません。廃棄を処分に含めているのは、交付規程24条1項(「処分(補助金の交付の目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、担保に供する処分、廃棄等をいう。)」)と、国の財産処分取扱基準(「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」平成16・06・10会課第5号。以下「取扱基準」といいます)2.(1)が「取壊し」「廃棄」を定義している部分です。いずれも法律より下の定めです。
ここで申し上げたいのは、廃棄に何の制限もかからない、ということではありません。交付規程の定めは、補助金適正化法7条1項・同条3項に基づいて交付決定に附された条件(講学上の附款)として働きます。条件に違反すれば、同法11条1項を介して同法17条1項の取消事由となり、取消しがされれば同法18条1項の返還命令につながります。もっとも、それは22条違反とは別の道筋であり、効果も違います。17条1項は「取り消すことができる」という定め方で、取消しをするかどうかは交付主体の判断に委ねられています。「法に基づき」の一語は、この区別を読者から見えなくするものであると考えております。交付規程の条項が補助条件に取り込まれているかどうかという見方そのものは、Q&A「交付規程に違反したと言われたら」で述べています。
なお、22条の承認の対象をもっと広く捉える整理が示されていることは承知しております。最三小判令和3年3月2日民集75巻3号317頁の解説は、承認の対象を「補助事業等により取得した財産を補助事業者等において補助目的に沿って管理しなくなること」であると解し、条文の列挙はその具体例として挙げられているもののように思われるとしています(荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)86頁)。この整理によれば、廃棄も承認の対象となり得るという読み方の余地は否定し切れません。もっとも、その場合でも、条文の文言そのものに廃棄・取壊し・転用が置かれていないこと、これらを処分に取り込んでいるのが交付規程と取扱基準であることは変わりません。廃棄が22条の「処分」に当たるのかという論点そのものは、コラム「補助金で取得した設備の廃棄は「処分」か――東京地判平成2年1月30日」が正面から扱っていますので、ここでは立ち入りません。
(2)納付を、当然の義務として書いている部分
交付規程の定め方は、次のとおりです。
引用(中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程24条6項)「中小機構は、補助事業者が処分制限財産を処分するときは、様式第12-5による納付通知書により、当該処分制限財産に係る補助金額を限度として、納付させることができるものとし、補助事業者は当該納付命令にしたがって納付しなければならない。なお、当該処分については、補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成16・6・10会課第5号)の各規定を踏まえ取り扱うものとする。」
二つのことが書かれています。一つは、納付の義務が、様式第12-5による納付通知書という処分を経て生じるものとされていることです。同規程8条も、24条6項に基づく納付命令を「財産の処分による収入の納付命令」と呼んでいます。もう一つは、その処分について、同項自身が、名前を挙げた取扱基準の「各規定」を踏まえて取り扱えと定めていることです。「納付する必要があります」という書き方は、この二つを落としたものであると考えております。
(3)参考例の結論が、事例と合っていません
前記の参考例には、四つの事例が並んでいます。その④は、表題が「補助事業により取得した資産を廃棄した場合」で、事実も「その後、取得した厨房機器が不要になったことから廃棄した。」というものです。ところが、同じ頁の下に置かれた結論は、次のようになっています。
引用(同参考例6頁「「財産処分」となる参考例④」の結論部分)「補助事業により取得した資産を、補助事業以外に使用する場合は、事前に事務局から「財産処分」の承認を得ることが必要です。」
廃棄は、「補助事業以外に使用する」ことではありません。この一文は、目的外使用(転用)の事例である参考例①の結論と同じ文です。廃棄の事例に、使用の規律がそのまま当てられています。条文の列挙に廃棄がないという前記(1)の点が、公式の資料の側に現れたものであると考えております。
3 納付は、承認に付される「条件」から生じます
取扱基準は、承認をするときの原則を、次のように定めています。
引用(平成16・06・10会課第5号 3.(1)(PDF2頁))「補助事業者等からの財産処分の申請について補助金適正化法第22条の承認をする場合には、本取扱い4.で定める金額を国庫に納付する旨の条件(以下「国庫納付条件」という。)を付さなければならない。」
「条件」です。納付の義務は、法律の規定からそのまま生じるのではなく、承認に条件が付されることによって生じる、という組み立てになっています。文献の説明も同じです。
引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』302頁(株式会社全国会計職員協会、2016)。注番号は省いています)「これらの承認をなすにあたって交付行政庁は、当該承認が独立の行政行為であるところから、例えば「補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すること」等の条件を付すことも可能である。」
同書は、この承認を、禁止の解除の効果をもつ行政行為であり、講学上の許可に相当するものといいうる、としています(同304頁注(12))。承認に付されるこの種の条件は、講学上は附款(負担)と呼ばれるものです。附款の限界と、そこに法律の根拠が要るのかという点は、コラム「残存簿価相当額の納付を求められたら」と、コラム「財産処分の承認を受けたら、補助金を返さなければならないのか」で述べています。
同304頁注(13)は、さらに踏み込んで、「補助金等の全部に相当する金額を納付すべき旨の承認条件は、本法施行令第一四条第一項第一号において処分制限解除原因とされている収益納付条件と酷似するが、事業完了により相当の収益発生の認められない場合について付される点で、その性格を異にする」としています。ここは押さえておいていただきたいところです。補助金適正化法7条2項が定める収益納付の条件は、補助事業等の完了により相当の収益が生ずると認められる場合のものです。これに対し、財産処分に伴う納付の条件は、収益が生じていない場面で付されます。性格の違う条件が、同じ「納付」という言葉で呼ばれています。
条件である以上、限界もあります。補助金適正化法7条4項は、交付の決定に附する条件について、公正なものでなければならず、交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであってはならない、と定めています。直接には交付決定の条件についての規定ですが、承認の附款についても同じ趣旨が及ぶと考えております。なお、本補助金に補助金適正化法が及ぶのは、中小機構法16条による準用です。
事務局自身も、別の問いでは「条件に」と書いています
これは当方だけの整理ではありません。同じ「よくあるご質問」の中で、担保権の設定についての問いには、次のように書かれています。
引用(事業再構築補助金「よくあるご質問」(faq0052)。問いは「補助事業で建設する建物に担保権を設定したい。」。2026年10月23日閲覧)「補助事業により建設した施設等の財産に対し、抵当権などの担保権を設定する場合は、設定前に、事前に事務局の承認を受けることが必要です。補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に国庫納付をすることを条件に認められます。なお、根抵当権の設定を行うことは認められません。」
「条件に認められます」。担保の場面では、納付が承認に付される条件であることが、そのとおりに書かれています。これは、取扱基準3.(3)が、担保に供する処分について担保権実行時に国庫納付する旨の条件を付して承認することとしている部分の反映です。同じ資料の中で、担保の場面では「条件」と書き、廃棄等の場面では「納付する必要があります」と書く。書き分けられていること自体が、後者の書き方が正確でないことを示していると考えております。担保の場面の詳細は、Q&A「補助金で買った設備や建物を、銀行の担保に入れることはできるのか」で述べています。
4 取扱基準には、国庫納付を求めない場合が書かれています
交付規程24条6項が「各規定を踏まえ取り扱う」としている取扱基準は、原則(3.(1))だけで終わっていません。
引用(平成16・06・10会課第5号 5.(1)柱書(PDF4頁))「次に掲げる財産処分に該当する場合には、財産処分の承認申請手続にかかわらず、別紙様式1(以下「報告書」という。)を大臣等に提出することによって、補助金適正化法第22条の承認を受けたものとみなし、国庫納付は求めないこととする。ただし、報告書において記載事項の不備など必要な要件が具備されていない場合は、この限りでない。
また、大臣等は必要に応じて、報告書により承認とみなした財産の活用状況について補助事業者等から報告を受け、又は確認をすることができる。」
その対象として挙げられているのは、①が「地方公共団体が行う財産処分であって、次のいずれかに該当するもの。」、②が「災害又は火災(補助事業者等の責めに帰することのできない事由による場合に限る。)により使用できなくなった場合若しくは立地上又は構造上危険な状態にある場合の取壊し又は廃棄」、③が「補助目的たる事業の遂行に支障を来さない範囲で、一時的に(当該年度を超えない範囲で)行う転用又は貸付け」です。①だけが「地方公共団体が行う」と限定されており、②と③にはその限定がありません。そして、取扱基準が定める報告書の様式自身が、該当項目の欄に「・地方公共団体及びその他の者 → 5.(1)② 5.(1)③」と書いています。②と③が地方公共団体以外の者にも及ぶことは、条文の体裁からも、様式からも読み取れます。
さらに、5.(2)は、承認申請をして承認を受ける場面について、「次に掲げる財産処分の承認に当たっては、本取扱いで定める国庫納付条件を付さないことができる。」と定め、その②で地方公共団体以外の者が行う財産処分を掲げています。承認申請を出した以上は納付が決まる、という読み方は、この5.(2)を読まない読み方であると考えております。5.(2)②の各号が何を要件とし、何を要件としていないのかは、Q&A「財産処分の承認を申請したら、残存簿価相当額を納めることになるのか」で詳しく述べていますので、ここでは繰り返しません。
付け加えておきますと、取扱基準は、そもそも財産処分に当たらない場合も定めています。2.(2)②は、「補助目的たる事業を遂行するために必要な、処分制限財産の機能の維持、回復又は強化を図るための改造を行う場合」を挙げ、この場合は財産処分に該当せず、取扱基準に定める手続を経ることを要しないとしています。また、3.(2)の注※1は、国庫納付条件に代えて再処分条件を付すものとして、補助目的たる事業を第三者に遂行させるための譲渡等が考えられる、としています。一時的な転用・貸付け(5.(1)③)の扱いは、Q&A「補助金で入れた設備・施設を別の用途にも使いたい」で述べています。
災害・火災の場面と、立地上又は構造上危険な状態にある場合については、交付規程の側にも、報告書の提出で承認を受けたものとみなすことができるとする定め(24条5項。様式第12-4)があります。この場面の扱いは、Q&A「災害や火災で使えなくなった設備、危険で取り壊した建物」で詳しく述べていますので、ここでは繰り返しません。
国の各省庁の間の申合せも、同じ方向を向いています
補助金等適正化中央連絡会議決定事項(平成20年4月10日)は、その柱書で、地方公共団体が補助対象財産を財産処分する場合の承認について定めたうえ、「なお、地方公共団体以外の者の補助対象財産についても、下記の趣旨を踏まえて、適切に対処すること。」としています。そして記一で、概ね十年経過した補助対象財産については補助目的を達成したものとみなしたうえで、当該財産処分の承認については原則として報告等をもって国の承認があったものとみなす制度(包括承認制)を導入するとともに、国庫納付を求めないこととする、としています。記二は、概ね十年経過前であっても、災害による損壊等、補助事業者等の責に帰することのできない事由による財産処分や、市町村合併、地域再生等の施策に伴う財産処分については、一と同様とするとしています(以上は、小滝・前掲307〜308頁が全文を引用しているものです)。
公平のために、記一の続きも引いておきます。同項は、「なお、補助目的の達成や補助対象財産の適正な使用を確保する観点から、有償の譲渡・貸付の場合に国庫納付を求めること、当該補助対象財産に係る行政需要への対応状況の提出を求めることなど、必要最小限の条件を付することができるものとする。」とも書いています。国庫納付を求めうる場合として挙げられているのは、有償の譲渡・貸付けです。設備を廃棄する、取り壊すという場面は、これに当たりません。
もっとも、この決定事項は、各省庁の間の申合せであって、中小機構の交付規程の上位にある規範ではありません。本体は地方公共団体に向けたもので、地方公共団体以外の者については「下記の趣旨を踏まえて、適切に対処すること」が及ぶにとどまります。そのうえで、同じ方向を向いた取扱いが、国の側で繰り返し確認されてきたという意味をもつものであると考えております。
次のような場合は、ご回答になる前にご相談ください
- よくあるご質問や手引きの記載を示されて、残存簿価相当額の納付を求められている
- 設備の廃棄・取壊しについて、財産処分の承認申請を出すかどうかを迷っている
- 承認の通知に国庫納付の条件が付されていて、その根拠が書かれていない
関連ページ: 財産処分の承認を申請したら、残存簿価相当額を納めることになるのか(Q&A)/残存簿価相当額の納付を求められたら(コラム)
5 公式が書いているところと、書いていないところ
ここで、公平を期すために申し上げておかなければならないことがあります。事務局は、みなし承認の仕組みそのものは公表しています。事業再構築補助金の「財産処分」のページには、「災害等による財産処分報告」という独立の欄が置かれています。
引用(事業再構築補助金「財産処分」のページ(事業化状況報告)。https://jigyou-saikouchiku.go.jp/jigyouka/zaisanshobun.html 、2026年10月23日閲覧)「処分制限財産が災害又は火災(補助事業者等の責めに帰すことができない事由による場合に限る。)により使用できなくなった場合、若しくは立地上又は構造上危険な状態にある場合の取壊し又は廃棄を行った場合は、「様式第12-4 財産処分報告書」を提出することにより、財産処分の承認を受けたものとみなします。
本報告で登録する項目は、処分予定日、処分価格、撤去前後の写真、保険金等の収入があった場合の通帳(写)等です。報告内容により「罹災証明書」等の提出をお願いすることもあります。」
交付規程24条5項の文言は「みなすことができるものとする」ですから、このページの「みなします」という書き方は、規程より事業者に有利です。前記の手引き64頁も、同じ場面について、財産処分報告を行うことで承認を受けたものとみなすことができると書いています。みなし承認までは、公式の資料に出ています。
出てこないのは、その先です。取扱基準5.(1)柱書が、まさに同じ場面(同②)について定めている「国庫納付は求めないこととする」という部分が、よくあるご質問にも、参考例にも、手引きにも、この「財産処分」のページにも、一度も出てきません。「会課」「国庫納付条件」「免除」「様式第12-4」「承認を受けたものとみなす」という語は、事業再構築補助金のよくあるご質問の全体を通じて出てきません(2026年10月23日、公表されているデータにより確認)。「国庫納付」という語が出るのは、前記3に引いた担保権の問いだけです(「国庫に納付」という言い方であれば、補助事業以外で用いた場合についての問い(Q24)にもあります)。
それどころか、同じページは、様式第12-4の報告で登録する項目として「処分価格」と「保険金等の収入があった場合の通帳(写)」を挙げています。これらは、国庫納付額を算定するための資料(取扱基準4.(2)参照)にほかなりません。国庫納付を求めないこととされている場面の入口で、納付額の算定資料を集める作りになっているということです。同じページの「財産処分の流れ」も、「全体の流れは「申請」→「承認」→「処分」→「報告」→「納付」と進んでいきますが、その各ステップで、所定の様式を用いた手続きが必要となります。」としており、納付で終わらない経路が図の上に用意されていません。
手引きの側は、取扱基準の一部だけを取り込んでいます。手引き5頁(PDF6頁)は、本補助金の交付が「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成 16・06・10 会課第5号)」等の定めによる、と自ら書いています。そして66頁(PDF67頁)は、納付額について「「納付額」 = 「処分価額 または 残存簿価相当額」 × 「補助率」」とし、3者以上の見積りが取得されている場合について「提出された見積額のうち最も高い金額を、本補助金における鑑定評価額として取り扱います。」とし、担保権が実行された場合は有償譲渡が行われたものとみなすことまで書いています。取扱基準の4.(国庫納付額の算定)を、ほぼそのまま再現したものです。他方、5.(1)・5.(2)に対応する記載は、どこにもありません。3.(1)と4.は採り、5.は採らない、という形になっています。
公式の説明は、公正な第三者による解説ではありません
ここまで見てきたことを、位置づけとともに申し上げます。中小機構・中小企業庁・中央会及び各事務局は、補助金を交付し、取消しや納付命令をする側です。争いになれば、相手方になります。その立場の者が書いた説明は、公正な第三者による解説ではなく、紛争の一方当事者の見解(いわばポジショントーク)です。公式の説明だからと鵜呑みにするのは非常に危険である、と考えております。
そのうえで、前記1に引いた説明について申し上げます。この説明は、交付規程24条6項が参照している取扱基準の各規定を踏まえたものとはいえず、同基準の理解が浅いと言わざるを得ません。同項が参照しているのは、取扱基準の「各規定」です。原則を定めた3.(1)と算定を定めた4.を採り、5.(1)・5.(2)を採らないという取扱いには、文言の上で理由を見出しにくいと考えております。
これに対しては、交付規程24条6項は「従う」ではなく「踏まえ」と書いているにすぎない、という反論がありえます。取扱基準は経済産業省の通達であり、その名宛人も、同基準1.(2)が定めるとおり「大臣等」であって中小機構ではありません。もっとも、踏まえるとは、少なくとも考慮することです。考慮した形跡のない取扱いは、交付規程自身が課した枠を外れることになると考えております。交付する側の資料が、取扱基準の3.(1)と4.は取り込みながら5.は取り込んでいないことは、前記のとおり、公表されている資料から確かめられます。
もっとも、申し上げておかなければならない留保もあります。取扱基準は通達であり、行政内部のものです。「通達にこう書いてあるから納付は不要だ」と言い切れる性質のものではありません。5.(2)の定め方も「付さないことができる」です。承認に当たって考慮されるべき事項が公にされているもの、という位置づけで用いることになると考えております。ですから、次の6で申し上げるのは、当たる事情を資料とともに先に示しておく、という進め方です。
6 この説明を示されたときに、どう動くか
よくあるご質問や手引きを示されたとき、選択肢は、承認申請を出すか出さないかの二つではありません。第三の道があります。該当しそうな取扱基準の条項と、交付規程24条5項の様式第12-4を示したうえで、国庫納付条件を付さない取扱い、又は報告書による承認のみなしを求める、という進め方です。取扱基準の報告書(別紙様式1)に対応するのが、交付規程の様式第12-4です。
そのために、次のものを、申請や報告をされる前にそろえておいてください。
- 取得財産等管理台帳(様式第7)。まず、その財産の処分制限期間が既に経過していないかを確かめます。経過していれば、そもそも処分の制限は及びません(施行令14条1項2号)。期間の数え方は、コラム処分制限期間は何年かで述べています。
- 処分の理由を示す資料。災害・火災であれば、その事実と、事業者の責めに帰することができない事由によるものであることが分かるもの。立地上又は構造上危険な状態であれば、その状態が分かるもの。維持する意義が乏しくなった、又は維持管理が困難になったという事情であれば、その財産を用いる事業の需要の推移と、その財産の維持管理に現に要している費用が分かるものです。
- 機能の維持・回復・強化のための改造にとどまる場合は、改造の内容と、補助目的たる事業の遂行に必要であることが分かるもの(取扱基準2.(2)②)。
- 事業を第三者に引き継いでもらう場合は、その計画(取扱基準3.(2)※1)。
- 廃棄せずに手元に置いておく選択もあります。取り外して保管している場合の管理義務の問題は、Q&A「取り外して保管している設備」で述べています。
そのうえで、申請書・報告書の処分理由の欄に、取扱基準のどの定めに当たると考えるのかを、事情とあわせて書き添えておくことになると考えております。取扱基準の別紙様式1の記載要領も、「処分理由」欄について、財産処分する理由を5.(1)との関連が明確に分かるように記入する、としています。交付する側が事情を知らなければ、判断の材料がありません。報告書による承認のみなしには、記載事項の不備がないことという要件も付いています(前記4のただし書)。何をどう書くかが、入口を決めます。
承認の通知(様式第12-2)を受け取られたときは、国庫納付の条件が付されているかどうかと、付されている場合に根拠として何が書かれているかを確かめてください。納付通知書(様式第12-5)が届いた場合の期限にも注意が要ります。様式第12-5自体は納付期限を「本書発信日より30日以内」としている一方、よくあるご質問のQ16は「通知日より30日以内に一括して納付いただく必要があります。」としており、起算点の書き方がそろっていません。受け取られた日を基準に、早めにご検討いただくのがよいと考えております。争うことのできる期間も、そこから進み始めます。納付額の算定そのものは、コラム「補助事業を続けられないとき――手続の順番、返還額の計算、返還が生じない選択肢」で扱っています。納付の求めを受けた場合の対応は、自主返納の求めのページで述べています。
よくあるご質問や手引きの記載を示されて納付を求められている事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方、認定支援機関の方は、承認申請書・報告書をお出しになる前にご相談ください。交付決定通知書、交付規程、取得財産等管理台帳(様式第7)、事務局から受け取った書面があれば、どの定めに当たる事案なのかを具体的に検討できます。
根拠(条文・公式資料・裁判例)
- 事業再構築補助金「よくあるご質問」「財産処分について」Q1(faq0151。問いは「財産処分について教えてほしい。」。2026年10月23日閲覧)。同欄は全24問。同欄のQ5(faq0155)は機械の故障等により処分制限財産を廃棄する場合に事前の承認申請を求めるもの、Q16(faq0166)は様式第12-5の「通知日より30日以内に一括して納付いただく必要があります。」とするもの、Q24(faq0174)は補助事業以外で用いた場合に「残存簿価相当額等を国庫に納付いただく必要がございます」とするもの
- 同「よくあるご質問」Q(faq0052。「補助事業で建設する建物に担保権を設定したい。」への回答。「補助事業により建設した施設等の財産に対し、抵当権などの担保権を設定する場合は、設定前に、事前に事務局の承認を受けることが必要です。補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に国庫納付をすることを条件に認められます。なお、根抵当権の設定を行うことは認められません。」。2026年10月23日閲覧)。なお、よくあるご質問の全体を通じて、「会課」「国庫納付条件」「免除」「様式第12-4」「承認を受けたものとみなす」の語は出てきません(同日、公表されている faq.json により確認)
- 事業再構築補助金「財産処分」のページ(事業化状況報告)。「財産処分の流れ」として「全体の流れは「申請」→「承認」→「処分」→「報告」→「納付」と進んでいきますが、その各ステップで、所定の様式を用いた手続きが必要となります。」とし、別に「災害等による財産処分報告」の欄を置いて「……「様式第12-4 財産処分報告書」を提出することにより、財産処分の承認を受けたものとみなします。」「本報告で登録する項目は、処分予定日、処分価格、撤去前後の写真、保険金等の収入があった場合の通帳(写)等です。報告内容により「罹災証明書」等の提出をお願いすることもあります。」とするもの。2026年10月23日閲覧
- 事業再構築補助金「補助事業により取得した資産について「財産処分」となる参考例」(令和8年5月・事業再構築補助金事務局)6頁(参考例④「補助事業により取得した資産を廃棄した場合」。事実は「その後、取得した厨房機器が不要になったことから廃棄した。」であるのに、同頁下の結論は「補助事業により取得した資産を、補助事業以外に使用する場合は、事前に事務局から「財産処分」の承認を得ることが必要です。」とするもの)、7頁(「◆事務局の承認を得ずに処分(目的外使用や廃棄等)をした場合、交付決定を取り消される場合があります。◆事例のケース以外にも処分と判断される場合があります。」。このほかに問合せ先を案内する◆が1つあります)。掲載ページ(事業化状況報告「財産処分」)の更新日は2026年5月11日。2026年10月23日閲覧。PDFは https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/zaisanshobun_sankourei.pdf
- 中小企業新事業進出促進補助金「補助事業の手引き」(2026年8月17日第1.8版。中小企業新事業進出補助金事務局。 https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_hojo_tebiki.pdf 。2026年10月23日閲覧)5頁(PDF6頁。本補助金の交付は補助金適正化法、同施行令、中小機構法、「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成 16・06・10 会課第5号)」及び交付規程その他の法令の定めによる、とするもの)、64頁(PDF65頁。根拠規定を「交付規程第24 条」とし、災害・火災又は立地上若しくは構造上危険な状態の場合は財産処分報告を行うことで承認を受けたものとみなすことができるとしたうえで、「処分制限財産を処分制限期間内に処分しようとするときは、残存簿価相当額又は譲渡額等により算出した金額を、当該処分制限財産に係る補助金額を限度に納付しなければなりません。」とするもの)、65頁(PDF66頁。「見積額(譲渡等による処分時に、3者以上の業者から処分価格の見積書を取得した場合は、見積価格の最も高い額)または残存簿価相当額を基に所定の計算式により算出した補助金の全部または一部に相当する金額を事務局が指定する口座に納付していただきます。」)、66頁(PDF67頁。納付額の考え方。「「納付額」 = 「処分価額 または 残存簿価相当額」 × 「補助率」」、3者以上の見積額のうち最も高い金額を鑑定評価額として取り扱うこと、担保権が実行された場合は有償譲渡が行われたものとみなすこと)。この手引きが根拠規定として挙げる「交付規程第24 条」は中小企業新事業進出促進補助金交付規程のものです
- 補助金適正化法22条(「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」。「破棄」「廃棄」「取壊し」「転用」は列挙されていません)
- 補助金適正化法7条1項(交付の決定をする場合において、交付の目的を達成するため必要があるときは、次に掲げる事項につき条件を附するものとする)、同条2項(補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては、交付の目的に反しない場合に限り、その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる)、同条3項(前二項の規定は、これらの規定に定める条件のほか、法令及び予算で定める交付の目的を達成するため必要な条件を附することを妨げるものではない)
- 補助金適正化法7条4項(「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」)
- 補助金適正化法11条1項(補助事業者等は、法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に従い、善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならない)、同法17条1項(交付の決定の内容又はこれに附した条件に違反したときは、交付の決定の全部又は一部を取り消すことが「できる」)
- 補助金適正化法18条1項(交付の決定を取り消した場合において、当該取消に係る部分に関しすでに補助金等が交付されているときは、期限を定めてその返還を命じなければならない)
- 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令14条1項(22条ただし書の政令で定める場合。1号は「補助事業者等が法第七条第二項の規定による条件に基き補助金等の全部に相当する金額を国又は補助実施法人に納付した場合」、2号は補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定める期間を経過した場合)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構法15条1項6号、16条(補助金適正化法の準用)
- 「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(平成16・06・10会課第5号。経済産業省大臣官房会計課。最終改正令和元年5月7日。全9頁)1.(2)(PDF1頁。この取扱いの名宛人を「経済産業大臣(補助金適正化法第26条の規定により事務を委任されている者を含む。以下「大臣等」という。)」とするもの)、2.(1)(PDF2頁。財産処分の定義として転用・譲渡・交換・貸付け・担保に供する処分・取壊し・廃棄の七つを掲げるもの)、2.(2)②(PDF2頁。「補助目的たる事業を遂行するために必要な、処分制限財産の機能の維持、回復又は強化を図るための改造を行う場合」は財産処分に該当せず、本取扱いに定める手続を経ることを要しないとするもの)、3.(1)(PDF2頁。「補助事業者等からの財産処分の申請について補助金適正化法第22条の承認をする場合には、本取扱い4.で定める金額を国庫に納付する旨の条件(以下「国庫納付条件」という。)を付さなければならない。」)、3.(2)※1(PDF3頁。「「大臣等が適当であると個別に認める場合」としては、国庫納付条件に代えて再処分条件を付すものとして補助目的たる事業を第三者に遂行させるための譲渡等が、国庫納付条件と併せて再処分条件を付すものとして一時的な有償貸付け等が、考えられる。」)、4.(2)(PDF3頁。転用、無償譲渡、無償貸付け、交換、取壊し又は廃棄の場合の国庫納付額は残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額とするもの)
- 同取扱基準5.(1)柱書・ただし書・なお書き(PDF4頁。「次に掲げる財産処分に該当する場合には、財産処分の承認申請手続にかかわらず、別紙様式1(以下「報告書」という。)を大臣等に提出することによって、補助金適正化法第22条の承認を受けたものとみなし、国庫納付は求めないこととする。ただし、報告書において記載事項の不備など必要な要件が具備されていない場合は、この限りでない。」「また、大臣等は必要に応じて、報告書により承認とみなした財産の活用状況について補助事業者等から報告を受け、又は確認をすることができる。」)、5.(1)①(PDF4頁。「地方公共団体が行う財産処分であって、次のいずれかに該当するもの。」)、5.(1)②(PDF4頁。「災害又は火災(補助事業者等の責めに帰することのできない事由による場合に限る。)により使用できなくなった場合若しくは立地上又は構造上危険な状態にある場合の取壊し又は廃棄(以下「取壊し等」という。)。」)、5.(1)③(PDF4頁。「補助目的たる事業の遂行に支障を来さない範囲で、一時的に(当該年度を超えない範囲で)行う転用又は貸付け。」。ただし、貸付けの場合は管理協定の締結・原則無償貸付けという条件を付した上で行うものに限るとされています)、別紙様式1(報告書。PDF7頁。該当項目欄は「・地方公共団体及びその他の者 → 5.(1)② 5.(1)③」)、別紙様式1記載要領4(PDF8頁。「「処分理由」欄:財産処分する理由について、5.(1)との関連が明確に分かるように記入する。」)
- 同取扱基準5.(2)柱書(PDF4頁。「次に掲げる財産処分の承認に当たっては、本取扱いで定める国庫納付条件を付さないことができる。」)、5.(2)②(PDF5頁。地方公共団体以外の者が行う財産処分であって、a.5.(2)①a.又はb.に該当する財産処分、b.社会経済情勢の変化等により処分制限財産を維持する意義が乏しくなった、又は補助事業者等の資金繰りの悪化等により処分制限財産を維持管理することが困難になったと認められる場合の取壊し等、c.経過年数が10年以上である財産処分のうち国又は地方公共団体に対して行う無償譲渡等、e.中小企業者が研究開発を主たる目的とする補助事業等の成果を活用して実施する事業に使用するために行う設備の転用)
- 中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程(令和3年6月15日規程令3第13号。令和7年6月30日施行の改正までのもの。2026年10月23日閲覧)24条1項(「取得財産等のうち、処分(補助金の交付の目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、担保に供する処分、廃棄等をいう。)を制限する財産(以下「処分制限財産」という。)は、取得価格又は効用の増加価格が単価50万円(税抜)以上の機械、器具及びその他の財産とする。」)、同条3項(処分しようとするときは、あらかじめ様式第12-1による承認申請書を提出し、その承認を受けなければならない)、同条5項(災害又は火災(補助事業者等の責めに帰すことができない事由による場合に限る。)により使用できなくなった場合若しくは立地上又は構造上危険な状態にある場合の取壊し又は廃棄を行った場合は、様式第12-4による財産処分報告書を提出することにより、財産処分の承認を受けたものと「みなすことができるものとする」)、同条6項(「中小機構は、補助事業者が処分制限財産を処分するときは、様式第12-5による納付通知書により、当該処分制限財産に係る補助金額を限度として、納付させることができるものとし、補助事業者は当該納付命令にしたがって納付しなければならない。なお、当該処分については、補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成16・6・10会課第5号)の各規定を踏まえ取り扱うものとする。」)、同8条(24条6項の規定に基づく納付命令を「財産の処分による収入の納付命令」と呼ぶもの)、様式第12-5(納付期限を「本書発信日より30日以内」とするもの)
- 小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)302頁(「これらの承認をなすにあたって交付行政庁は、当該承認が独立の行政行為であるところから、例えば「補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すること」等の条件を付すことも可能である。」)、304頁注(12)(取得財産の補助目的外処分の承認は、禁止の解除の効果をもつ行政行為であり、講学上の許可(Erlaubnis)に相当するものといいうるとするもの)、同頁注(13)(「補助金等の全部に相当する金額を納付すべき旨の承認条件は、本法施行令第一四条第一項第一号において処分制限解除原因とされている収益納付条件と酷似するが、事業完了により相当の収益発生の認められない場合について付される点で、その性格を異にする」)、308頁(補助事業者等が本条の規定に違反して補助目的外の処分を行ったときは、17条1項及び3項の規定に基づき、既往に遡って交付決定が取り消されることとなるとするもの)
- 同書306頁(平成20年に補助金等適正化中央連絡会議決定事項において「概ね十年経過した補助対象財産については、補助目的を達成したものとみなす」こととされたとするもの)、307〜308頁(補助金等適正化法第二十二条の規定に基づく各省各庁の長の承認について(平成20年4月10日・補助金等適正化中央連絡会議決定事項)の引用。柱書は、地方公共団体が補助対象財産を財産処分する場合の承認について定めたうえで「なお、地方公共団体以外の者の補助対象財産についても、下記の趣旨を踏まえて、適切に対処すること。」とするもの。記一は、概ね十年経過した補助対象財産については補助目的を達成したものとみなし、当該財産処分の承認については原則、報告等をもって国の承認があったものとみなす制度(包括承認制)を導入するとともに国庫納付を求めないこととしたうえ、「なお、補助目的の達成や補助対象財産の適正な使用を確保する観点から、有償の譲渡・貸付の場合に国庫納付を求めること、当該補助対象財産に係る行政需要への対応状況の提出を求めることなど、必要最小限の条件を付することができるものとする。」とするもの。記二は、概ね十年経過前であっても、災害による損壊等、補助事業者等の責に帰することのできない事由による財産処分や、市町村合併、地域再生等の施策に伴う財産処分については、一と同様とするもの)
- 荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)86頁(補助金適正化法22条の承認の対象は、補助事業等により取得した財産を補助事業者等において補助目的に沿って管理しなくなることであると解され、同条が列挙する行為は、補助目的に沿って管理しなくなる具体例として挙げられているもののように思われるとするもの)。最三小判令和3年3月2日民集75巻3号317頁の解説
※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。
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