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弁護士 岸上大起

「残存簿価相当額」は、当社の帳簿の簿価ではないのでしょうか――圧縮記帳を考慮せず、法人と個人事業主で償却方法が違う計算のこと

このページの結論

設備を廃棄するので財産処分の手続をしたところ、「残存簿価相当額」を基にした納付額を示されました。ところが、当社の固定資産台帳の簿価とはかけ離れた金額です。圧縮記帳をしていたからだと言われましたが、公式の説明には「会計上の帳簿に残っている資産価値」と書かれています。この金額は正しいのでしょうか。

「残存簿価相当額」は、御社の帳簿の簿価ではありません。手引きは、これを「会計上の帳簿に残っている資産価値のこと」と定義していますが、同じ頁で「圧縮記帳は考慮しません」としています。圧縮記帳(法人税法42条1項)は、補助金で固定資産を取得した法人が帳簿価額を減額する処理ですので、これを考慮しないで取得価額から計算すれば、出てくる金額は、圧縮記帳をした事業者の帳簿のどこにも載っていないものになります。定義と計算が食い違っており、私見としては、この定義は正確ではないと言わざるを得ません。

償却方法も、御社が現に採っている方法ではなく、法人か個人事業主かで決められています。理由として挙げられているのは「一般的であることから」の一語で、法人税法施行令53条・所得税法施行令125条の法定償却方法に対応しますが、これらは「償却の方法を選定しなかつた場合」の定めです。耐用年数の途中で処分する場合、定率法による残存簿価相当額は定額法によるそれより小さくなりますので、同じ機械を同じ時期に処分しても、個人事業主のほうが納付額が大きくなります。もっとも、手引きは「個人事業主が「定率法で計算する」旨を申告してきた場合は、これを妨げるものではありません。」としています。この一文は「よくあるご質問」には出てきません。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 公式の説明を、一字一句で見ます

財産処分の納付額は、「残存簿価相当額」に補助率を乗じて求めるのが基本です。では、その「残存簿価相当額」とは何なのか。公式の説明は、二つのことを言っています(以下、公式資料の閲覧日はいずれも2026年10月23日です)。まず、定義です。

中小企業新事業進出補助金の「補助事業の手引き」(2026年8月17日・第1.8版)の67頁(PDF68頁)は、こう書いています。

引用(新事業進出補助金「補助事業の手引き」67頁「(イ)「残存簿価相当額」について」)「残存簿価相当額は、資産を処分する時点において、会計上の帳簿に残っている資産価値のことです。」「「残存簿価相当額」 = 「取得価額」 - 「減価償却費(累計額)」」「➢ 圧縮記帳は考慮しません。」(※原文は箇条書きです。引用に当たり記号をそのまま残しました。)

事業再構築補助金の「よくあるご質問」も、「財産処分について」の欄のQ11(faq0161)で、同じ定義式を掲げています。

引用(事業再構築補助金「よくあるご質問」Q11)「残存簿価相当額とは、資産(財産)の取得価格から、処分時点までの減価償却費(累計)を差し引いた金額です。/(計算式)/ 残存簿価相当額 = 取得価額(税抜) - 減価償却費(累計金額)」(※原文は改行で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)

次に、計算です。同じ「よくあるご質問」のQ14(faq0164)は、問いを「機械装置について圧縮記帳している場合、減価償却費はどのように計算されますか。」とし、こう答えています。

引用(同「よくあるご質問」Q14)「機械装置等は原則、圧縮記帳など独自に採用いただいている会計基準に関わらず定率法の償却率を用いて減価償却費が計算されます。」

そして、事業再構築補助金「補助事業の手引き」(1.2版・第12回〜第13回補助金交付候補者・補助事業者向け・令和8年3月)の35頁と36頁が、その計算の中身を定めています。

引用(事業再構築補助金「補助事業の手引き」35頁)「※ 残存簿価相当額算定にあたっては以下の計算によります。なお、この算定にあたって、圧縮記帳は考慮しません。/残存簿価相当額 = 取得価額(税抜き) - 減価償却費(累計金額)/なお、減価償却費の計算方法は建物の場合は定額法、機械装置等の場合は定率法を原則として、以下のとおりとします。」(※原文は改行で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)
引用(同36頁)「法人が採用する機械装置等の減価償却の方法は「定率法」が一般的であることから、補助事業者が独自に採用する会計基準(圧縮記帳等)に関わらず、原則として「イ」に定率法の償却率を用いて減価償却費を計算してください。また、建物及び建物付属設備の減価償却方法は「定額法」が一般的であることから、原則として「イ」に定額法の償却率(耐用年数省令別表第八)を用いて計算してください。」
引用(同36頁)「ただし、個人事業主の場合は「定額法」採用が一般的であることから定額法の償却率を用いて計算してください。」

新事業進出補助金の手引きも、68頁(PDF69頁)で同じ振り分けを置いています。

引用(新事業進出補助金「補助事業の手引き」68頁「(ア) 減価償却方法の原則」)「事業者・資産種別の原則/⚫ 法人の場合/➢ 機械装置・器具備品:定率法/➢ 建物・建物附属設備:定額法/⚫ 個人事業主の場合/➢ 定額法」(※原文は箇条書きです。引用に当たり「/」で区切りました。)

以上をまとめると、公式の説明は、「残存簿価相当額」を「会計上の帳簿に残っている資産価値」と定義したうえで、その額を、事業者の帳簿を見ずに、取得価額から、事業者が法人か個人事業主かで決めた償却率で計算する、と言っていることになります。

2 「会計上の帳簿に残っている資産価値」という定義は、正確ではありません

圧縮記帳とは何か。補助金で固定資産を取得した法人について、法人税法が置いている仕組みです。

引用(法人税法42条1項。国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)「内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(以下第四十四条までにおいて「国庫補助金等」という。)の交付を受けた場合(その国庫補助金等の返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合に限る。)において、当該事業年度終了の時までに取得又は改良をしたその交付の目的に適合した固定資産につき、当該事業年度においてその交付を受けた国庫補助金等の額に相当する金額(……以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。」(※引用に当たり、括弧書きの一部を「……」で省略しました。)

「その帳簿価額を損金経理により減額し」とあります。圧縮記帳をすれば、その資産の帳簿価額は、補助金の額の分だけ減ります。以後の減価償却も、減った後の金額を基礎にして行われます。補助金で設備を買った事業者がこの処理を採るのは、例外ではありません。この条文は、まさにその場面のために置かれているものです。

そうしますと、「圧縮記帳は考慮しません」という計算から出てくる金額は、圧縮記帳をした事業者の帳簿には、どこにも載っていない金額になります。固定資産台帳を開いても、貸借対照表を見ても、その数字は出てきません。それにもかかわらず、新事業進出補助金の手引き67頁は、これを「会計上の帳簿に残っている資産価値のこと」だと説明しています。私見としては、この定義は正確ではないと言わざるを得ません。

食い違いは、「よくあるご質問」の中でも起きています。Q11は、「残存簿価相当額 = 取得価額(税抜) - 減価償却費(累計金額)」という式だけを示しています。圧縮記帳のことには触れていません。圧縮記帳をした事業者がこのQ11だけを読めば、自分の帳簿の減価償却費の累計額を当てはめて計算します。圧縮記帳を考慮しないことは、別のQ14にしか書かれていません。しかも、Q14の問いは「機械装置について圧縮記帳している場合」という聞き方です。あらかじめ圧縮記帳が問題になることに気づいた人だけが、たどり着ける場所に置かれています。

3 この算定方法は、どこに定められているのか

納付の根拠は、交付規程にあります。中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程24条6項は、次のとおりです。

引用(同交付規程24条6項)「中小機構は、補助事業者が処分制限財産を処分するときは、様式第12-5による納付通知書により、当該処分制限財産に係る補助金額を限度として、納付させることができるものとし、補助事業者は当該納付命令にしたがって納付しなければならない。なお、当該処分については、補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成16・6・10会課第5号)の各規定を踏まえ取り扱うものとする。」

ここで挙げられている「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(平成16・06・10会課第5号。経済産業省大臣官房会計課。最終改正令和元年5月7日。全9頁)は、国庫納付額の算定を、4.で定めています。

引用(同取扱い4.(2)。同PDF3頁)「(2)転用、無償譲渡、無償貸付け、交換、取壊し又は廃棄の場合の国庫納付額は、残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額とする。ただし、鑑定評価を行う場合には、鑑定評価額に補助率を乗じた金額と前記の金額で高い方とする。」

「残存簿価相当額」という語は、この通達の4.(1)と4.(2)に出てきます。ところが、通達は、この語を定義していません。当方で同通達の全9頁を通読しましたが、「圧縮」の語、償却方法を指す「定率法」「定額法」の語は、一度も出てきません。法人と個人事業主を分ける定めも、ありません。

交付規程にも、ありません。交付規程24条6項が定めているのは、様式第12-5による納付通知書によって、当該処分制限財産に係る補助金額を限度として納付させることができる、ということと、会課第5号の各規定を踏まえて取り扱う、ということだけです。

つまり、圧縮記帳を考慮しないこと、法人は定率法、個人事業主は定額法とすること、償却率は減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第八・別表第十を用いること、足掛け月数で数えて月未満を切り上げること――納付額を決めるこれらの取扱いは、いずれも手引きと「よくあるご質問」にしか書かれていません。

交付規程24条6項は、これを「納付命令」と呼んでいます。納付を命じる行為であり、その金額は、相手方の権利義務を決めます。補助金適正化法7条4項は、「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」と定めています。私見としては、納付額の算定方法が、法令にも交付規程にも、交付規程が踏まえるものとして挙げた通達にもなく、手引きの段階で初めて現れることについては、7条4項の公正との関係で、検討の余地があると考えております。手引きの記載が補助条件に取り込まれているかどうかという見方は、Q&A「交付規程に違反したと言われたら」で述べています。

4 法人は定率法、個人事業主は定額法――「一般的であることから」

手引き36頁が、法人には定率法、個人事業主には定額法を用いる理由として挙げているのは、「一般的であることから」の一語です。ここで、この振り分けが何に対応しているのかを確かめます。

引用(法人税法施行令53条。減価償却資産の法定償却方法)「法第三十一条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却の方法を選定しなかつた場合における政令で定める方法は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める方法とする。/……二 平成十九年四月一日以後に取得をされた減価償却資産 次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める方法/イ 第四十八条の二第一項第一号イ及び第二号(減価償却資産の償却の方法)に掲げる減価償却資産 定率法」(※引用に当たり、改行を「/」で区切り、一部を「……」で省略しました。)
引用(所得税法施行令125条。減価償却資産の法定償却方法)「法第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却の方法を選定しなかつた場合における政令で定める方法は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める方法とする。/……二 平成十九年四月一日以後に取得された減価償却資産 次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める方法/イ 第百二十条の二第一項第一号イ及び第二号(減価償却資産の償却の方法)に掲げる減価償却資産 定額法」(※引用に当たり、改行を「/」で区切り、一部を「……」で省略しました。)

法人の法定償却方法が定率法、個人事業主の法定償却方法が定額法です。手引きの振り分けは、これに対応しています。「一般的であることから」というのは、根拠のない思いつきではありません。その点は、はっきり申し上げておきます。

問題は、どちらの条文も、冒頭に同じ限定を置いていることです。「償却の方法を選定しなかつた場合における政令で定める方法」です。法定償却方法は、事業者が償却方法を選ばなかったときに当てはまる、補いの定めです。法人も、法人税法施行令48条の2が定める方法の中から定額法を選ぶことができ、個人事業主も、所得税法施行令120条の2が定める方法の中から定率法を選ぶことができます。現に選定して申告している事業者がいる以上、法定償却方法であることは、その事業者が現に用いている方法を見ないことの理由にはなりません。

そして、どちらの方法を用いるかで、金額が変わります。定率法は、未償却残高に一定率を乗じて償却する方法ですから、前半の償却額が大きくなります。耐用年数の途中で処分する場合、定率法による残存簿価相当額は、定額法によるそれより小さくなります。残存簿価相当額が小さければ、納付額も小さくなります。

結果はこうなります。同じ機械を、同じ日に取得し、同じ日に処分しても、法人であれば定率法で、個人事業主であれば定額法で計算され、個人事業主のほうが納付額が大きくなります。事業の実体が同じで、設備が同じで、処分の時期が同じでも、事業の法形式が違えば納付額が違う、ということです。

私見としては、この取扱いは、7条4項の「公正なものでなければならず」との関係で、検討の余地があると考えております。納付の趣旨は、処分制限財産が補助目的に供されなくなったときに、まだ使い切られていない補助金相当分を取り戻すことにあります。使い切られていない分がどれだけ残っているかは、法人か個人事業主かで変わるものではありません。

5 手引きには逃げ道が書かれていて、「よくあるご質問」には書かれていません

ここまでが批判です。もっとも、公式の説明をよく読むと、事業者の側に有利な一文が置かれています。手引き36頁は、先に引いた「ただし、個人事業主の場合は「定額法」採用が一般的であることから定額法の償却率を用いて計算してください。」の直後に、こう続けています。

引用(事業再構築補助金「補助事業の手引き」36頁)「個人事業主が「定率法で計算する」旨を申告してきた場合は、これを妨げるものではありません。また、法人税法施行令第 48 条の2に基づき、機械装置・器具備品について定額法で計算している法人が「定額法で計算する」旨を申告してきた場合も、これを妨げるものではありません。」

新事業進出補助金の手引き68頁にも、同じ内容が置かれています。

引用(新事業進出補助金「補助事業の手引き」68頁)「➢ 「法人税法施行令第48条の2」に基づき、法人が定額法を採用している場合は、定額法を用いても差し支えありません。/➢ 個人事業主が定率法による計算を希望する場合は、それを妨げません。」(※原文は箇条書きです。引用に当たり「/」で区切りました。)

読み方は、次のとおりです。まず、個人事業主は、定率法による計算を申し出ることができます。妨げない、と書かれています。前記4のとおり、耐用年数の途中で処分するのであれば、定率法のほうが残存簿価相当額は小さくなります。つまり、申し出た個人事業主は納付額が小さくなり、申し出なかった個人事業主は大きいままになります。

次に、法人については、定額法で計算している法人が定額法を申し出ることを妨げない、という書き方です。定額法のほうが残存簿価相当額は大きくなりますから、こちらは納付額が大きくなる方向の申出です。公式の説明が用意している「申出」は、法人については事業者に不利な方向のものだけで、事業者に有利な方向の申出――現に定率法で償却している個人事業主が、自分の帳簿どおりの計算を求めること――は、個人事業主の側にだけ置かれています。

そして、この一文は、「よくあるご質問」には出てきません。Q14は、「機械装置等は原則、圧縮記帳など独自に採用いただいている会計基準に関わらず定率法の償却率を用いて減価償却費が計算されます。」と述べて、手引きを見るよう案内するだけです。Q11も、定義式を示すだけです。申出ができることは、どちらにも書かれていません。

中小機構・中小企業庁・各事務局の説明は、公正な第三者による解説ではなく、補助金をめぐる紛争の一方当事者の見解です。通説が説いていない立場を強く主張しているものもあります。公式の説明だからと鵜呑みにするのは非常に危険です。本件について申し上げれば、次のとおりです。「残存簿価相当額」という語は、見た目が会計の用語です。手引きは、これを「会計上の帳簿に残っている資産価値」と説明しています。それを示された事業者は、会計の約束事に従って出てきた数字だと受け取ります。しかし、その数字は、圧縮記帳を考慮せず、事業者が現に採っている償却方法も見ずに、事業の法形式だけで決めた償却率で計算されたものです。帳簿のどこにも載っていません。

申し上げているのは、公式の説明に従わなくてよい、ということではありません。申し上げているのは、示された金額は検算できるものであり、検算の前提となる取扱いの中には、申し出なければ適用されないものがある、ということです。

次のような場合は、納付の前にご相談ください

  • 財産処分の納付額を示されたが、自社の固定資産台帳の簿価とかけ離れている
  • 圧縮記帳をしていた設備について、取得価額から計算した金額を求められている
  • 個人事業主として、定額法で計算した納付額を示されている
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 財産処分の承認と残存簿価相当額の納付(Q&A)/残存簿価相当額の納付を求められたら(コラム)

6 示された納付額を、どう検算するか

納付通知書(事業再構築補助金では様式第12-5)を受け取られたとき、あるいは承認申請の前に見込みを立てられるときは、次の順に確かめていただくのがよいと考えております。

  • (1)どの補助金の、どの版の手引きによる計算なのかを特定する。算定方法は手引きに書かれており、手引きは版ごとに書き方が変わります。本稿で引いたのは、事業再構築補助金の1.2版(第12回〜第13回向け・令和8年3月)と、新事業進出補助金の第1.8版(2026年8月17日)です。お手元の補助金の公募回に対応する手引きの、該当頁を押さえてください。「よくあるご質問」のQ10(faq0160)も、「各公募回により掲載ページが異なりますのでご注意ください。」としています。
  • (2)計算の材料を、固定資産台帳と突き合わせる。必要なのは、取得価額(税抜き)、取得年月日、処分(予定)年月日、耐用年数、償却率、そして事業年度の末日です。手引きは、月数を「足掛け月数」で数え、月未満を切り上げ、事業年度をまたぐ場合は事業年度ごとに1か月未満の日数を1か月として処理するとしています。事業年度の末日を取り違えると、月数がずれます。
  • (3)どちらの償却方法で計算されているかを確かめ、必要なら申し出る。個人事業主の方で、耐用年数の途中で処分されるのであれば、定率法による計算を申し出ることをご検討ください。手引き36頁が「これを妨げるものではありません。」としており、新事業進出補助金の手引き68頁も「それを妨げません。」としています。どちらが有利かは、取得からの経過月数によりますので、両方で計算してから申し出てください。
  • (4)端数の方針を示す。手引き35頁は、「1円未満の取扱いは補助事業者の会計方針に準じます。倒産などで連絡不通等「方針不明」の場合は切り上げとします(+1 円)。」としています。36頁は、「端数処理における切上げ・切捨て・四捨五入の取扱いは補助事業者が償却資産明細・固定資産台帳等で明確に切上げ・切捨て・四捨五入の方針を示している場合は、当該方針に準拠して計算します。」としています。方針を示さなければ切り上げになるという書き方ですので、固定資産台帳等で方針を示してください。金額としては小さいものですが、示せるものを示さないままにしておく理由はありません。
  • (5)上限を超えていないかを見る。交付規程24条6項は、「当該処分制限財産に係る補助金額を限度として」としています。会課第5号4.(1)も、処分制限財産に係る補助金額を上限としています。計算結果がこの額を超えている納付通知書であれば、それだけで争う余地があります。
  • (6)そもそも納付が生じる場面なのかを、先に確かめる。検算は、納付が生じることを前提にした作業です。その前提自体が動く場合があります。会課第5号5.(1)は、一定の財産処分について報告書の提出によって22条の承認を受けたものとみなし、国庫納付は求めないこととしています。同5.(2)は、一定の財産処分の承認に当たって国庫納付条件を付さないことができるとしています。この点は、Q&A「『財産処分を行った場合、補助金を納付する必要があります』はそのとおりなのか」とQ&A「災害・火災で使えなくなった設備の廃棄」で扱っています。金額を詰める前に、こちらを確かめてください。

なお、処分制限期間が経過していれば、そもそも承認も納付も要りません。補助金適正化法施行令14条1項2号が、補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して定める期間を経過した場合を、22条ただし書の政令で定める場合としています。期間の数え方は、コラム「処分制限期間は何年か」で述べています。納付額の検算よりも先に、期間を数えていただくのが順序です。

財産処分の納付額を示されて金額に納得がいかない事業者の方、圧縮記帳をしていた設備について取得価額からの計算を求められている方、個人事業主として定額法による納付額を示されている方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、納付の前にご相談ください。納付通知書、交付規程、該当する公募回の手引きの頁、固定資産台帳(償却資産明細)、取得財産等管理台帳があれば、計算の検算まで含めて具体的な検討ができます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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