執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)
1 公式の説明――ものづくり補助金「公募要領(第23次公募)」43頁
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)の「公募要領(第23次公募)」(全国中小企業団体中央会。令和8年2月6日)は、43頁(PDF48頁)に「(5) 補助事業完了後の実績報告等」という項目を置いています。以下、公式資料の閲覧日はいずれも2026年10月23日です。まず、書かれていることをそのまま引きます。
引用(公募要領(第23次公募)43頁)「なお、本補助事業の完了した日の属する会計年度(国の会計年度である4 月~3 月)の終了後5 年間、毎会計年度終了後60 日以内に本補助事業に係る事業化等の状況を事業化状況・知的財産権等報告書を報告しなかった場合には、補助金返還を求めることがあります。また、虚偽報告があった場合には、補助金返還を求めることがあります。」
原文のとおりです。「報告書を報告しなかった場合」と、助詞が重なっています。同じ頁のすぐ上の項は「事業化状況・知的財産権等報告書により報告するとともに」と書いていますので、同じ頁の中で文が崩れていることになります。もっとも、ここで申し上げたいのは文章の作りではありません。書かれている中身です。読む人には、報告書を出していなければ補助金の返還を求められる、と読めます。
報告の義務そのものは、交付規程が定めています。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金交付規程(制定・令和7年2月25日、最終改訂・令和8年8月5日。以下「交付規程」といいます)の23条1項です。
引用(交付規程23条1項。同規程5頁)「補助事業者は、補助金全額の交付を受けた日以降、最初に迎える4月1日から60日以内の日を初回として、以降5年間(合計6回)直近1年間の事業化並びに付加価値額向上及び賃金引上げ状況等について、様式第13による報告書を全国中央会に提出しなければならない。」
義務であることは、そのとおりです。問題は、これを守らなかったときに何が起きると定められているのか、という点です。
2 交付規程は、報告の未提出を返還事由として定めていません
交付規程で「補助金返還」という見出しが付いているのは、25条と25条の2です。順に引きます。
引用(交付規程25条1項。同規程6頁)「全国中央会は、様式第13による報告書により、補助事業者が別紙3の基本要件に係る返還要件に該当することを確認したときは、補助金の返還を求めることができるものとする。ただし、免除要件に該当する場合は返還を求めない。」
返還の要件は、別紙3に送られています。別紙3(同規程12頁)の【補助金返還】(交付規程第25条)の表が返還要件として挙げているのは、二つだけです。賃金の増加要件(1人あたり給与支給総額目標値)を達成できなかった場合と、事業所内最低賃金水準要件(事業所内最低賃金目標値)を達成できなかった場合です。25条の2も同じ形で、別紙3の特例要件(大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例措置)に係る返還要件を指しています。報告書を出していないという場合は、どちらの表にも出てきません。
別紙3の末尾には、次の一文が置かれています。
引用(交付規程別紙3末尾。同規程12頁)「※ 上表のほか、公募要領に定める基本要件に違反していることが判明した場合、補助金の返還を求めることができるものとする。」
ここで拾われているのも「公募要領に定める基本要件に違反していること」です。報告書の未提出は、基本要件の違反ではありません。そうしますと、25条・25条の2から返還が出てくる場面には、報告の未提出は入らないことになります。
残る経路は一つです。取消しです。交付規程19条1項の柱書と1号は、次のとおりです。
引用(交付規程19条1項柱書・1号。同規程4頁)「全国中央会は、次の各号の一に該当する場合には、交付決定の全部若しくは一部を取消しすることができる。/(1)補助事業者が、法令、本規程又は法令若しくは本規程に基づく全国中央会の処分若しくは指示に違反した場合」(※原文は改行で区切られています。引用に当たり「/」で区切りました。)
そして、同条2項が、取消しをした場合に既に交付されている補助金の返還を命ずるものとしています。報告書を出していないことから返還にたどり着くには、この順序をたどるしかありません。言い換えますと、公募要領43頁が「補助金返還を求めることがあります」と一行で書いているところには、実際には交付決定の全部又は一部の取消しという行政処分が挟まっています。返還は、その効果です。
この違いは、争うときに効いてきます。返還を求められた事業者が検討しなければならないのは、返還額の計算ではなく、交付決定の取消しという処分が成り立つのかどうかです。19条1項の柱書も「全部若しくは一部を取消しすることができる」という定め方であって、全部の取消しが当然に導かれる書き方にはなっていません。取消しの範囲の問題と、加算金・延滞金の計算は、Q&A「事業化状況報告を出していなかった――それだけで交付決定の全部を取り消され、全額の返還と加算金を命じられるのか」で正面から扱っていますので、本稿では立ち入りません。本稿が取り上げるのは、公式の説明がどう書かれているか、という一点です。
3 法律が報告義務違反に与えた制裁は、三万円以下の罰金です
補助金適正化法は、報告をしないという不作為について、罰則を置いています。
引用(補助金適正化法31条)「次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。/一 第十三条第二項の規定による命令に違反した者/二 法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者/三 第二十三条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者」(※原文は号ごとに改行されています。引用に当たり「/」で区切りました。)
31条2号です。法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかった者は、三万円以下の罰金に処する。これが、立法が報告の不提出に与えた評価です。しかも、小滝敏之『補助金適正化法解説』419頁によれば、31条の法定刑について、政府原案にあった懲役刑は国会審議の過程で削除修正されています。報告をしないという形式的な義務違反は、罰金だけでよい、という判断が立法の段階でされているわけです。
これに対して、公募要領43頁が書いているのは、補助金の返還です。ものづくり補助金の補助金額は、事業類型によりますが、千万円の単位になることが珍しくありません。同じ不作為について、法律が三万円以下の罰金と評価したものを、交付の条件の側で数千万円の返還に結びつけてよいのか。私見としては、ここには均衡の問題があると考えております。
補助金適正化法は、交付決定に附する条件について、限界を定めています。
引用(補助金適正化法7条4項)「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない。」
7条4項の「必要な限度」です。報告書の提出は、補助事業の成果を把握し、政策効果を検証するために置かれた手続です。報告を得るという目的を達成する手段は、督促することと、13条1項の遂行命令や、交付規程18条1項の報告の徴収のように、是正を求めることです。交付規程18条1項は、全国中央会及び地域事務局が、補助事業の適正な遂行を確保するため、必要があるときは報告を求め、立ち入り、帳簿書類を検査し、関係者に質問することができるとし、補助事業者は協力しなければならないとしています。これらの手段を尽くす前に、交付決定そのものを取り消して全額の返還に進むことが「必要な限度」にとどまっているのかは、検討の余地があると考えております。
4 一時的な不作為で補助関係を消滅させることはできない――文献と裁判例
義務違反があれば直ちに取消しができる、という考え方は、文献にも裁判例にも支えがありません。まず、文献です。
引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』244頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「取消権の行使にあたっては、交付決定の内容違反が極めて広範な取消事由であるだけに、補助目的達成の可否について形式的、一時的にではなく、補助関係の全過程を通じて総合的に判定のうえ行うこととすべきであろう」「一時的な不作為をもって直ちに補助関係を消滅させることは当を得ないものというべきである」「したがって、これらの命令処分をまっては所期の目的が達成されえないような、相手方の重大な義務違反を責めるに足る主観的事情があると認められる場合に、取消権を発動することが相当であると解される」
「一時的な不作為をもって直ちに補助関係を消滅させることは当を得ない」。報告書を期限までに出していないという場面は、まさにこの一時的な不作為です。同書246頁の注は、同じ向きの見解を二つ引いています。
引用(同書246頁注(4)が引く遠藤博也『行政行為の無効と取消』(東京大学出版会、1968)186頁)「原則として、法令違反の事実をもってただちに取消しうるのではなく、まず他の処分等によって行政目的実現に努力すべきであって、相手方の態度その他の事情から、このような方法によっては行政目的実現が不可能であるという場合にかぎって、取消が認められると解すべきであろう」
引用(同書246頁注(5)が引く碓井光明「補助金」現代行政法体系10巻財政(1984)247頁)「事業遂行命令や是正措置命令により容易に目的を達しえたとみられる事業について、いきなり交付決定の取消をなすことは、裁量権の濫用になるものと思われる。」
裁判例もあります。同書246頁注(6)が引く名古屋高判平成5年2月23日(訟月39巻11号2247頁、判タ859号260頁)です。
引用(名古屋高判平成5年2月23日)「補助金等の交付決定の取消権の行使については、補助事業者の義務違反(条件違反行為)があるというだけで直ちにこれを行い得るものと解すべきではなく、補助目的遂成の可否について補助関係の全過程を通じて総合的に判定し、補助金等交付の初期の目的を達成することが困難となった時点において初めてその取消権を行使すべきものと解するのが相当である。」
同判決には上告がされていますが、上告審の裁判は公刊物に見当たりません。同判決と第一審(名古屋地判平成4年4月23日)の読み方は、コラム「補助金の交付決定は、どのようなときに取り消すことができるのか――裁判例紹介」で扱っています。
整理しますと、こうなります。報告書を出していないという事実があっても、そこから出てくるのは交付決定の取消事由に当たりうるという評価までです。実際に取消権を行使できるかどうかは、補助関係の全過程を通じて総合的に判定して決まります。補助事業そのものは計画どおり遂行され、設備は現に稼働し、賃上げの要件も満たしているのに、報告書の提出だけが遅れている――そういう場面で、補助金交付の当初の目的を達成することが困難になったと言えるのかどうか。そこが争点になります。
5 同じ不作為に、公募要領の外で二つの制裁が重ねられています
報告書の未提出に結びつけられている不利益は、返還だけではありません。同じ事務局の他の資料に、二つ置かれています。一つは、「よくあるご質問」(令和8年4月2日版)7頁「2.補助対象者について」No.10です。過去に採択された事業者が次の公募の対象になるかという問いに対する回答の中で、対象外となる場合の一つとして、次が挙げられています。
引用(よくあるご質問7頁「2.補助対象者について」No.10)「・申請締切日時点において、ものづくり補助金の交付決定を受けたにもかかわらず、「事業化状況・知的財産権等報告書」を未提出の事業者」
もう一つは、「補助事業の手引き」(23次締切用。令和8年8月7日)10頁(PDF11頁)の、交付決定についての注3です。
引用(補助事業の手引き10頁(注3))「平成27~31年度、令和元年度補正以降のものづくり補助金の補助事業者が、新たに本事業に採択され、過年度の「事業化状況・知的財産権等報告書」を提出していないことが判明した場合は、採択を取り消します。」
前者は、次の公募に申請できないという取扱いです。後者は、新しい補助金の採択を取り消すという取扱いです。「取り消します」と言い切っています。報告書を出していないという一つの不作為に、過去の補助金の返還、次の公募からの排除、新しい補助金の採択の取消しという三つの不利益が重ねられている形です。
私見としては、後二つについては、根拠を確かめる必要があると考えております。交付規程は、報告の義務(23条1項)と、交付決定の取消し(19条)を定めていますが、他の年度の補助金の採択の可否について定めた条項は置いていません。公募の対象者の範囲は、公募要領と別紙1が定めるところであり、そこに事務局の裁量の余地があることは否定しません。もっとも、申請できる者の範囲が「よくあるご質問」の回答や手引きの注で広げられているのであれば、どの条項に基づく取扱いなのかは、問われてよいはずです。
6 「現地確認ができない場合は補助対象とはなりません」も、同じ形です
公募要領43頁には、もう一つ、同じ構造の記述が並んでいます。
引用(公募要領(第23次公募)43頁)「本事業終了後の補助金交付額確定にあたり、補助対象物件や帳簿類の現地確認ができない場合については、当該物件等に係る金額は補助対象とはなりません。」
補助対象経費について、交付規程が定めているのは次のとおりです。
引用(交付規程4条2項)「補助対象経費は補助事業の実施期間(以下「事業実施期間」という。)内において発生した経費とし、事業類型ごとの補助対象経費、補助金の額及び補助率等は別紙2の通りとする。」
経費が補助対象になるかどうかを分けているのは、事業実施期間内に発生した経費であるか、別紙2の区分に当たるかです。現地確認ができたかどうかは、要件になっていません。現地確認は、交付規程18条1項が定める是正のための措置――立入検査です。検査に協力する義務の問題と、経費が補助対象に当たるかどうかの問題は、別のものです。経費が現に支出され、事業実施期間内に発生したことが帳簿と証拠書類で示せるのであれば、確認の方法が立入りでなかったことによって経費の性質が変わるわけではありません。
この記述は、確認の便宜という事務局側の事情を、補助対象経費そのものの要件に格上げしたものです。私見としては、この書き方は、交付規程4条2項が何を定めた条項であるかの理解が浅いと言わざるを得ません。もっとも、検査に協力しないでよいということではありません。報告をせず、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者には、31条3号が罰則を置いています。立入検査の限度については、Q&A「立入検査を受けることになったら」で述べています。
7 公式の説明は、一方当事者の見解です
中小機構・中小企業庁・全国中小企業団体中央会・各事務局の説明は、公正な第三者による解説ではなく、補助金をめぐる紛争の一方当事者の見解です。通説が説いていない立場を強く主張しているものもあります。公式の説明だからと鵜呑みにするのは非常に危険です。
本件について申し上げれば、次のとおりです。交付規程で返還を定めた25条・25条の2は、別紙3の基本要件・特例要件に係る返還要件に該当する場合を返還事由としており、報告書の未提出はそこに入りません。返還にたどり着くには、19条1項1号による交付決定の取消しを経なければならず、同項の柱書は「全部若しくは一部を取消しすることができる」という定め方です。そして、法律が報告の不提出に与えた制裁は、31条2号の三万円以下の罰金であり、政府原案の懲役刑は国会審議の過程で削除されています。文献は「一時的な不作為をもって直ちに補助関係を消滅させることは当を得ない」とし、裁判例も、義務違反があるというだけで直ちに取消権を行使し得るものではないとしています。それにもかかわらず、公募要領43頁は、一行で「補助金返還を求めることがあります」と書いています。
もっとも、ここで申し上げているのは、報告を出さなくてよい、ということではありません。報告は交付規程23条1項が定めた義務です。提出していない状態を放置すれば、その不作為自体が19条1項1号に当たると判断される余地があります。督促を受けているのであれば、まず出すことが先です。申し上げているのは、公募要領の一行から、全額の返還が当然に出てくるわけではないということです。
次のような場合は、回答の期限が来る前にご相談ください
- 事業化状況・知的財産権等報告書を出せていないままになっている
- 未提出を理由に、交付決定の取消しや補助金の返還を告げられた
- 未提出を理由に、次の公募に申請できない、採択を取り消すと言われている
関連ページ: 事業化状況報告を出していなかった――取消しの範囲・加算金(Q&A)/取消しの話が出たときに、先にしておくこと(コラム)
8 報告が出せていないことに気づいたら
順序が大事です。次の四つを、この順でお願いしたいと考えております。
- (1)まず、提出する。交付規程23条1項の義務は、期限を過ぎたことで消えるものではありません。提出していない状態が続いていること自体が、19条1項1号の評価に影響します。期限後の提出の方法は補助金・年度によって違いますので、事業化状況・知的財産権等報告システムの画面と、届いている案内の記載を確かめてください。出せない事情があるのであれば、その事情を書面で伝えて記録に残してください。
- (2)督促の記録をそろえる。督促がいつ、どの方法で来ていたのか(あるいは来ていなかったのか)は、取消権の行使が「必要な限度」にとどまっているかを判断する材料になります。メール、郵便、電子申請システムの通知、電話の記録を、日付が分かる形でそろえてください。督促を受けずに取消しの通知が来た場合は、そのことが記録に残ります。
- (3)補助事業が現に続いていることを、日付の分かる資料で示す。報告をしていないことと、補助事業を続けていないことは別です。設備が稼働していること、売上が立っていること、賃上げの要件を満たしていることは、それぞれ資料で示せます。取得財産等管理台帳、稼働の記録、賃金台帳、決算書がその材料です。補助金交付の当初の目的が達成されているのであれば、そのことを先に示しておくのが筋だと考えております。
- (4)届いた書面に挙げられている条項を、交付規程の原文で確かめる。通知に書かれている条項が25条なのか、19条1項1号なのか、19条2項なのかで、検討することが変わります。採択の時期によって当たる別紙3の版が違う点にもご注意ください。交付規程の附則2条は、「別紙3については、本規程の適用日以前に採択された事業についは、従前のとおりとする。」としています(原文のとおりです)。お手元の交付決定通知書の日付と、交付規程の版を合わせて確かめてください。
加算金についても一つ申し上げます。交付規程19条3項は、同条1項1号から3号まで又は6号の規定による取消しをした場合に返還を命ずるときは、補助金の受領の日から納付の日までの期間に応じて年利10.95パーセントの割合で計算した加算金の納付を併せて命ずるものとしています。報告の未提出が1号に当たるとされれば、加算金が付く建てつけです。年数が経っていれば、加算金の額は小さくありません。加算金・延滞金の計算と免除の余地は、Q&A「加算金・延滞金は必ず付くのか」で述べています。返還額だけを見て判断なさらないでください。
なお、提出した報告の数字に誤りがあった場合は、出していない場合とは別の検討になります。公募要領43頁は、虚偽報告があった場合にも返還を求めることがあるとしています。訂正の機会をどう使うかは、Q&A「提出した報告書の数字が違っていた」で述べています。
事業化状況・知的財産権等報告書を出せていないままになっている方、未提出を理由に交付決定の取消しや返還を告げられた方、次の公募に申請できないと言われている方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、回答の期限が来る前にご相談ください。交付決定通知書、届いている通知や督促の書面、交付規程の該当頁、報告の提出状況が分かる記録があれば、具体的な検討ができます。
根拠(条文・公式資料・裁判例)
- 補助金適正化法31条(柱書=次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。1号=13条2項の規定による命令に違反した者、2号=法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者、3号=23条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者)
- 補助金適正化法17条1項(各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる)
- 補助金適正化法7条4項(補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであつてはならない)
- 補助金適正化法13条(1項=各省各庁の長は、補助事業等が補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件に従つて遂行されていないと認める場合においては、当該補助事業者等に対し、これらに従つて当該補助事業等を遂行すべきことを命ずることができる。2項=各省各庁の長は、補助事業者等が前項の命令に違反したときは、当該補助事業者等に対し、当該補助事業等の遂行の一時停止を命ずることができる)
- 補助金適正化法18条1項(補助金等の交付の決定の取消しをした場合において、補助事業等の当該取消しに係る部分に関し、既に補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならない)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金交付規程(制定・令和7年2月25日、最終改訂・令和8年8月5日。附則により令和8年8月5日から施行し、令和8年8月7日から適用。全国中小企業団体中央会。23次締切用。2026年10月23日閲覧)23条1項(「補助事業者は、補助金全額の交付を受けた日以降、最初に迎える4月1日から60日以内の日を初回として、以降5年間(合計6回)直近1年間の事業化並びに付加価値額向上及び賃金引上げ状況等について、様式第13による報告書を全国中央会に提出しなければならない。」。同規程5頁)、25条1項(「全国中央会は、様式第13による報告書により、補助事業者が別紙3の基本要件に係る返還要件に該当することを確認したときは、補助金の返還を求めることができるものとする。ただし、免除要件に該当する場合は返還を求めない。」。同規程6頁)、25条の2(別紙3の特例要件に係る返還要件についての同旨の定め。同規程6頁)、別紙3【補助金返還】(交付規程第25条)(返還要件として挙げられているのは「賃金の増加要件」の未達成と「事業所内最低賃金水準要件」の未達成の二つで、末尾に「※ 上表のほか、公募要領に定める基本要件に違反していることが判明した場合、補助金の返還を求めることができるものとする。」とするもの。同規程12頁)、19条1項(柱書=「全国中央会は、次の各号の一に該当する場合には、交付決定の全部若しくは一部を取消しすることができる。」。1号=「補助事業者が、法令、本規程又は法令若しくは本規程に基づく全国中央会の処分若しくは指示に違反した場合」。同規程4頁)、19条2項(取消しをした場合において、既に当該取消しに係る部分に対する補助金が交付されているときは、期限を付して当該補助金の全部又は一部の返還を命ずるとするもの)、19条3項(1項1号から3号まで又は6号の規定による取消しをした場合において返還を命ずる場合には、年利10.95パーセントの割合で計算した加算金の納付を併せて命ずるものとするもの)、18条1項(是正のための措置。報告の徴収・立入検査・質問と、補助事業者の協力義務)、4条2項(補助対象経費は補助事業の実施期間内において発生した経費とし、事業類型ごとの補助対象経費、補助金の額及び補助率等は別紙2の通りとするもの)、附則2条(「別紙3については、本規程の適用日以前に採択された事業についは、従前のとおりとする。」。原文のとおり)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金「公募要領(第23次公募)」(全国中小企業団体中央会。令和8年2月6日。2026年10月23日閲覧)43頁(PDF48頁。「(5) 補助事業完了後の実績報告等」。「なお、本補助事業の完了した日の属する会計年度(国の会計年度である4 月~3 月)の終了後5 年間、毎会計年度終了後60 日以内に本補助事業に係る事業化等の状況を事業化状況・知的財産権等報告書を報告しなかった場合には、補助金返還を求めることがあります。また、虚偽報告があった場合には、補助金返還を求めることがあります。」「本事業終了後の補助金交付額確定にあたり、補助対象物件や帳簿類の現地確認ができない場合については、当該物件等に係る金額は補助対象とはなりません。」。直前の項は「事業化状況・知的財産権等報告書により報告するとともに」としており、同じ頁の中で助詞が揃っていません)
- 同補助金「補助事業の手引き」(23次締切用。令和8年8月7日。2026年10月23日閲覧)7頁(PDF8頁。「補助事業者の義務」(2)②「事業化状況及び賃金引上げ状況」。報告の方法を「事業化状況・知的財産権等報告システムにより報告する」とするもの)、10頁(PDF11頁。(2)交付決定の注3。「平成27~31年度、令和元年度補正以降のものづくり補助金の補助事業者が、新たに本事業に採択され、過年度の「事業化状況・知的財産権等報告書」を提出していないことが判明した場合は、採択を取り消します。」)
- 同補助金「よくあるご質問」(令和8年4月2日版。2026年10月23日閲覧)7頁「2.補助対象者について」No.10(過去にものづくり補助金に採択された事業者も本事業の対象となるとしたうえ、対象外となる場合の一つとして「・申請締切日時点において、ものづくり補助金の交付決定を受けたにもかかわらず、「事業化状況・知的財産権等報告書」を未提出の事業者」を挙げるもの)
- 小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)244頁(「取消権の行使にあたっては、交付決定の内容違反が極めて広範な取消事由であるだけに、補助目的達成の可否について形式的、一時的にではなく、補助関係の全過程を通じて総合的に判定のうえ行うこととすべきであろう」「一時的な不作為をもって直ちに補助関係を消滅させることは当を得ないものというべきである」「したがって、これらの命令処分をまっては所期の目的が達成されえないような、相手方の重大な義務違反を責めるに足る主観的事情があると認められる場合に、取消権を発動することが相当であると解される」)、245頁(取消権の行使は交付行政庁の裁量事項に属するものというべきであるとするもの)、246頁注(4)(遠藤博也『行政行為の無効と取消』(東京大学出版会、1968)186頁の「原則として、法令違反の事実をもってただちに取消しうるのではなく、まず他の処分等によって行政目的実現に努力すべきであって、相手方の態度その他の事情から、このような方法によっては行政目的実現が不可能であるという場合にかぎって、取消が認められると解すべきであろう」を引くもの)、246頁注(5)(碓井光明「補助金」現代行政法体系10巻財政(1984)247頁の「事業遂行命令や是正措置命令により容易に目的を達しえたとみられる事業について、いきなり交付決定の取消をなすことは、裁量権の濫用になるものと思われる。」を引くもの)、246頁注(6)(名古屋高判平成5年2月23日の判示の引用)、419頁(31条の法定刑について、政府原案の懲役刑が国会審議の過程で削除修正された経緯。各号の犯罪の主体は補助事業者等(3号にあっては間接補助事業者等も含まれる。)であり、各号の罪はいずれも身分犯であるとするもの)
- 名古屋高判平成5年2月23日(訟月39巻11号2247頁、判タ859号260頁。白雲保育園補助金破産財団債権確認訴訟控訴審判決。「補助金等の交付決定の取消権の行使については、補助事業者の義務違反(条件違反行為)があるというだけで直ちにこれを行い得るものと解すべきではなく、補助目的遂成の可否について補助関係の全過程を通じて総合的に判定し、補助金等交付の初期の目的を達成することが困難となった時点において初めてその取消権を行使すべきものと解するのが相当である。」と判示したもの。上告がされているが、上告審の裁判は公刊物に見当たらない)
※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。
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※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。