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弁護士 岸上大起

「不正受給」と言われたら、何が「偽りその他不正の行為」に当たるのか――裁判例紹介:東京地判令和元年11月7日

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

「不正受給」という言葉は、実務で届く文書の中で、ほとんど説明なしに使われます。実地調査や事業化状況報告の確認を経て、「提出された書類の記載が事実と異なっていた」「本来受けることのできない給付を受けた」と告げられ、だから支給決定・交付決定を取り消す、だから全額を返還せよ、という形です。しかし、「不正受給」は、それ自体が法令の条文に置かれた取消事由ではありません。何がどの条項の、どの要件に当たるのかを確かめないまま、「不正受給」という評価の言葉だけで返還の結論まで運ばれてしまうことがあります。

本稿で取り上げる東京地判令和元年11月7日(平成29年(行ウ)第500号、判例タイムズ1497号204頁)は、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金及び高年齢者雇用開発特別奨励金)について、事業主が偽りその他不正の行為によって助成金の支給を受けたとして、原状回復義務に基づき合計1408万6230円の返還義務を負うとした事例です。労働者に実際に交付した労働条件通知書には契約期間の定めと更新条項が書かれていたのに、助成金の支給申請には、これとは別に作成した「期間の定めなし」と記載した労働条件通知書を添付していた、という事案です。

この判決が読む価値をもつのは、結論ではなく、組み立てのほうです。裁判所は、まず支給要件を充足していたかを独立に判断し、そのうえで、支給要領の取消条項にいう「偽りその他不正の行為によって助成金の支給を受けた場合」に当たるかを判断しました。そして、助成金の支給をめぐる法律関係を贈与契約と捉え、取消条項を贈与契約の約定解除の定めと位置づけ、返還義務の根拠を民法の原状回復義務(545条1項)に求めています。「不正受給だから返還」ではなく、「支給要件を欠いていた」+「故意に偽りの証明を行った」+「約定解除権の行使」+「原状回復義務」という四つの段を踏んでいるのです。

本稿では、この四つの段を順に追ったうえで、補助金適正化法に基づく補助金――事業再構築補助金やものづくり補助金のように、交付決定・額の確定・処分制限という仕組みをもつ補助金――の場合に、同じ言葉がどう違って働くのかを整理します。適正化法で「偽りその他不正の手段」という文言が置かれているのは29条(罰則)であり、交付決定の取消しの根拠である17条1項には、この文言はありません。ここを混ぜないことが、争う側の出発点になります。

あわせて、行政が公表している「不正受給」の説明が、根拠である支給要領の定義から「故意に」という要件と例外のただし書を落としていることを指摘します。これは言葉のあやの問題ではありません。故意の有無は、この判決でも正面から争われた点です。公表される説明がそこを落としているのは、事業者に反論の糸口を与えない書き方であると言わざるを得ません。

1 「不正受給」と言われたら、まず何を分けて考えるか

(1)「不正受給」は、取消事由の名前ではありません

はじめに、言葉を整理します。

補助金適正化法で「偽りその他不正の手段」という文言が置かれているのは、29条1項です。

引用(補助金適正化法29条1項)

「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」

これは罰則です。刑事罰の構成要件であって、交付決定の取消しの根拠ではありません。交付決定の取消しの根拠は、同法17条1項です。

引用(補助金適正化法17条1項)

「各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。」

ここに「偽り」という言葉は出てきません。取消事由は、①補助金等の他の用途への使用、②交付決定の内容又はこれに附した条件への違反、③その他法令又はこれに基づく処分への違反の三つです。この三類型の読み方は、補助金の交付決定の取消し・返還請求で扱っています。

つまり、適正化法の体系では、「不正受給」は罰則の側の言葉であり、取消しの側では、告げられた事実が17条1項の三類型のどれに当たるのかを別に示さなければなりません。「不正受給だから取消し」は、条文の形に合っていないのです。

(2)雇用関係助成金では、根拠の置き場所が違います

これに対して、本稿で紹介する判決が扱った特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険法62条1項を根拠とする雇用安定事業として支給されるものです。雇用保険法施行規則が支給要件を概括的に定め、その具体化は厚生労働省職業安定局長の通達である支給要領に委ねられています。取消しの根拠も、支給要領の取消条項です。

同じ「偽りその他不正の行為」という言葉が使われていても、置かれている場所が、法律(罰則)なのか、省令なのか、通達なのか、交付規程なのかによって、その言葉がどう働くかは変わります。本稿が二つを並べて論じるのは、この違いを押さえておくためです。

(3)問いは二つに分かれます

以上から、「不正受給」と告げられたときに立てるべき問いは、二つに分かれます。

一つ目は、その行為が本当に「偽り」に当たるのか、という問いです。

二つ目は、仮に当たるとして、それがどの条項のどの要件を満たし、どの範囲の返還義務を生むのか、という問いです。

本判決は、この二つを分けて答えた判決として読むことができます。

2 事案――申請用に、別の労働条件通知書を作っていた

(1)助成金の種類と、その支給要件

特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険法施行規則109条・110条1項により、特定就職困難者雇用開発助成金(判決の略語で「特困金」)と高年齢者雇用開発特別奨励金(同じく「高奨金」)から成ります。障害者や高年齢者などの対象労働者を雇い入れた事業主に支給されるもので、特困金は対象労働者1名につき最高で240万円が助成されます。

支給要件の中心にあるのが、雇用の継続性です。施行規則110条2項1号イは、対象労働者を公共職業安定所等の紹介により「継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主であること」を要するとし、特困金支給要領は、これを「対象労働者を特困金の支給終了後も引き続き相当期間雇用することが確実である」こと(判決の略語で「雇用継続性要件1」)と具体化していました。高奨金については、「1年以上継続して雇用することが確実である」こと(同じく「雇用継続性要件2」)とされていました。

(2)事業の性質と、二重の契約

事業主は、就労継続支援A型事業所の指定を受けた特定非営利活動法人でした。A型事業は、雇用契約に基づく就労が可能な障害者と雇用契約を締結して就労の機会を提供する事業であり、事業所と利用者との間では、雇用契約とは別に、A型事業の利用契約が締結されます。この利用契約に係るサービス利用料は訓練等給付費の支給対象となり、その支給決定には有効期間が定められています。

そのため、判決が認定したところによれば、A型事業所では、この有効期間に合わせて半年や1年といった期間の有期雇用契約が締結されることもありました。そして、特困金の審査の運用においても、有期雇用であるというだけで直ちに雇用継続性要件1を満たさないものとするのではなく、契約更新の回数に制限がなく、労働者が希望すれば契約を更新することを前提として雇用契約を締結しているなど、実質的に無期雇用と同等と評価できるかどうかで個別に判断することとされていました。

ここは読み落としてはならないところです。 行政側も、有期雇用を一律に排除する運用はしていなかったのです。争点は、「有期だったか」ではなく、「実質的に無期と同等と評価できたか」でした。

(3)二通の労働条件通知書

事業主が対象労働者に実際に交付した労働条件通知書には、契約期間について「『就労継続支援A型事業所利用契約書』に基づいた期間の定めあり」との記載があり、概ね半年間の契約期間が記載され、「契約更新の有無」欄には、雇用契約の更新はA型事業利用契約書の内容・進捗状況を参考にしてその都度判断する旨の記載がありました。

他方、助成金の支給申請に添付された労働条件通知書には、「期間の定めなし」と記載されていました。高奨金の対象労働者についても、実際に交付された通知書には1年未満の契約期間と更新条項が記載されていたのに、申請に添付された通知書には、原則として最低2年間は雇用を継続する旨が記載されていました。

実地調査を経た聴取の際、事業主の側は、次のとおり申し立てています(判決は、職員が聴取結果を記載した「雇用関係助成金に関する申立事項聴取書」に事業主の理事が署名押印したものとして、この内容を認定しています)。

引用(東京地判令和元年11月7日・第2の2(3)ア(イ))

「雇用助成金の支給要件では『有期雇用契約者の場合は支給対象外』のため,本来の労働条件では,支給要件に該当しませんでした。そこで,申請代行を依頼していたC5の指導のもと,雇用助成金支給要件に該当するように,対象労働者の労働条件のうち,雇用期間に係る項目を本来の「雇用期間の定め有」から「雇用期間の定め無し」に書き換え,また更新条項の項目を変更または消去して雇用助成金の支給要件に合うよう,通知書を別途作成し,雇用助成金の申請には当該通知書(写)を添付いたしました。」

申請代行を依頼した者の指導のもとで、申請用の書類を別に作った、という申立てです。この点は、後記5(4)で改めて取り上げます。

(4)訴訟の形

管轄の労働局長は、平成27年8月17日付けで支給決定の全部を取り消し、全額の返還を通知し、あわせて取消しの日から3年間は雇用助成金の支給を行わない旨を通知しました。

訴訟の形は、取消訴訟ではありません。事業主の側が、まず返還債務の不存在確認を求める訴えを提起し、これに対して国が、行政事件訴訟法4条の公法上の当事者訴訟として、助成金の返還を求める反訴を提起しました(事業主は確認の訴えを取り下げています)。

この形そのものが、本判決の性格を示しています。 支給決定の取消しが行政処分として争われたのではなく、返還義務があるかどうかが、民事の債務の存否として争われたのです。なぜそうなるのかは、次章の枠組みから出てきます。処分として争う場合との違いは、補助金の交付決定の取消しに処分性はあるかで扱っています。

3 判決の枠組み――助成金は贈与契約、取消しは約定解除、返還は原状回復

(1)なぜ贈与契約なのか

判決は、まず、雇用保険法と同法施行規則が支給要件を概括的に定めるにとどめている理由から説き起こします。

引用(東京地判令和元年11月7日・第3の2(3)ア)

「このように,雇用保険法及び同法施行規則が,政府が行う雇用安定事業として雇用助成金の支給を定めながら,支給要件等について概括的に定めるにとどめているのは,雇用助成金の支給が非権力的な給付行政の性質を有し,雇用助成金の支給をめぐる法律関係が,事業主による申込(支給申請)と行政主体による承諾(支給決定)により成立する贈与契約の性質を有するものであることを前提に,具体的な支給要件等や支給の手続等に関しては,別途通達等で定めることを予定したものと解される。」

支給が非権力的な給付行政の性質をもつこと、支給申請が申込、支給決定が承諾であること、両者により贈与契約が成立すること。――ここから、支給要件や手続を通達で定めることが法の趣旨に沿うという結論が導かれています。

(2)取消条項は、約定解除の定めである

次が、この枠組みの核心です。

引用(東京地判令和元年11月7日・第3の2(3)ア)

「そして,本件各支給要領は,偽りその他不正の行為により本来受けることのできない雇用助成金の支給を受け,又は受けようとした事業主に対しては,支給を取り消す旨を定めている(本件取消条項。関係法令等(5)ウ)が,これは,雇用助成金の支給に係る贈与契約の内容を構成するものであり,贈与契約の約定解除に係る要件(不正受給)及び手続(支給決定の取消し)について定めたものというべきである。」

支給要領の取消条項は、贈与契約の内容を構成する。そして、約定解除の要件(不正受給)と手続(支給決定の取消し)を定めたものである。――通達にすぎない支給要領が、なぜ事業主を拘束するのか。その説明が、ここで与えられています。契約の内容になっているから、というのです。

(3)返還義務の根拠は、民法の原状回復義務である

結論部分です。

引用(東京地判令和元年11月7日・第3の4)

「そして,本件取消条項に基づく本件各取消決定は,契約の規定により当事者の一方が解除権を有する場合(民法540条)に当たるところ,当該解除権に基づき契約が解除された場合には,原状回復義務(同法545条1項)が発生し,さらに金銭を返還する時は,その受領の時から利息の支払義務(同条2項)が生じるものである。」

返還義務の根拠は、原状回復義務(民法545条1項)です。そして、金銭の返還であるため、受領の時からの利息(同条2項)が付きます。判決は、支給日の各翌日から支払済みまで年5分の割合による利息の支払義務を認めました。

(4)補助金適正化法の場合との違い

ここで、適正化法に基づく補助金と比べておきます。

適正化法の場合、交付決定の取消し(17条1項)と返還命令(18条1項)は行政処分であり、返還すべき額に付されるのは、民法の利息ではなく、同法19条1項の加算金です。その割合は年10・95パーセントとされており、交付の日から計算されます。民法所定の年5分とは、金額が大きく違います。加算金・延滞金の仕組みは加算金・延滞金とは何か、返還額の計算は補助金の返還額はどう計算するのかにまとめています。

また、適正化法の返還命令は処分ですから、争うには審査請求や取消訴訟という形を取ることになり、出訴期間の制約を受けます(補助金の取消しを争う出訴期間はいつまでか)。本判決の事案のように、返還債務の存否として争える場面とは、争い方そのものが変わるのです。

同じ「助成金・補助金の返還」でも、根拠条項の置き場所が違えば、返還額の計算も、争い方も、争える期間も変わります。 届いた文書がどの制度のものかを最初に確かめる必要があるのは、このためです。

4 当てはめ――何が決め手になったのか

(1)まず、支給要件の充足が独立に判断されました

判決は、取消条項の当てはめに入る前に、そもそも支給要件を満たしていたかを判断しています。そして、雇用継続性要件1について、次の解釈を示しました。

引用(東京地判令和元年11月7日・第3の2(1)ア)

「雇用継続性要件1にいう特困金の支給終了後も引き続き相当期間雇用することが確実であるといえるためには,事業主と対象労働者との間で締結される雇用契約が,無期雇用である場合や,有期雇用については,契約更新の回数に制限がなく,対象労働者が希望すれば契約が更新される場合など,契約締結時において,その契約が相当期間にわたり継続すると確実に見込まれることが客観的に明らかであることを要するものというべきである。したがって,単に相当期間にわたり契約が更新される可能性があるというだけでは,雇用継続性要件1を満たすものとはいえない。」

基準時は契約締結時であり、「客観的に明らかである」ことを要する。そして、「更新される可能性がある」というだけでは足りない。――この解釈のもとで、判決は、実際に交付された通知書の文面と、A型事業利用契約書の条項(更新は訓練等給付費の支給決定にかかっていること、事業者がやむを得ない理由がある場合に解約できること)を照らし合わせ、通常人が読めば、雇用契約の更新の有無は主として利用契約の更新の有無にかかっていると理解されるとして、要件の充足を否定しました。

判決は、さらに、契約更新に関する実際の運用も見ています。扱いにくいと考える労働者や有用な作業能力を有しないと考える労働者については雇用契約関係から離脱させるという運用であったと推認し、「対象労働者が希望すれば契約更新がされるなど,契約締結時にその契約が相当期間にわたり継続すると確実に見込まれることが客観的に明らかであったとは,到底いうことができない」としています。

文面と運用の両方が見られたことに注意していただきたいところです。 書類の体裁を整えるだけでは足りず、実際の運用が書類と合っているかが問われています。

(2)「別に作成した」ことが当てはめの中心に置かれました

そのうえでの、取消条項の当てはめです。

引用(東京地判令和元年11月7日・第3の2(3)イ)

「被告は,本件対象労働者の雇用が雇用継続性要件1及び2の各要件を充足するものではなく,本来は本件特困金及び本件高奨金の支給を受けることができなかったにもかかわらず,①本件特困金については,本件特困金対象労働者に対して本件期間制限条項や本件更新条項1が記載された本件交付済通知書1を交付していながら,岡山労働局長に対して本件申請書1及び2を提出するに当たって,これとは別に作成した本件提出通知書1及び2に「期間の定めなし」と記載して提出するなどして,雇用継続性要件1を充足しているかのような偽りの証明を行い,②本件高奨金については,対象労働者に対して,契約更新について,知識,技能等の取得状況などを判断した上で更新することがある旨の本件更新条項2を記載した本件交付済通知書2を交付していながら,岡山労働局長に対して本件申請書3を提出するに当たっては,これとは別に作成した本件提出通知書3に,原則として最低2年間は雇用を継続する旨の2年間雇用継続条項を記載して提出するなどして,雇用継続性要件2を充足しているかのような偽りの証明を行ったものと認められるから,故意に偽りの証明を行うことにより,本来受けることのできない本件助成金を受けたものであり,本件取消条項に定める「偽りその他不正の行為によって助成金の支給を受けた場合」に該当するものというべきである。」

長い一文ですが、構造は明快です。前提として「本来は支給を受けることができなかった」ことを置き、そのうえで、労働者に交付した書類と「これとは別に作成した」書類を提出した行為を、「要件を充足しているかのような偽りの証明」と評価し、「故意に偽りの証明を行うことにより,本来受けることのできない助成金を受けた」と結論づけています。

ここから読み取れることが二つあります。

第一に、支給要件を欠いていたことが、当てはめの前提に置かれています。「本来受けることのできない」給付を受けたという評価は、要件を欠いていたという判断に支えられています。要件を満たしていたのであれば、書類の記載に不正確なところがあっても、この評価には届きません。

第二に、決め手は「別に作成した」ことです。記載が事実と食い違っていたというだけでなく、交付済みの書類とは別の書類を申請用に作っていた、という点が、「偽りの証明」の認定を支えています。

(3)行政側の指導が原因だという主張は通りませんでした

事業主は、無期雇用と記載した通知書を提出したのは審査担当者の指示ないし誘導によるものであって、故意に不正に受給しようとしたものではない、と主張しました。判決は、これを採用しませんでした。

引用(東京地判令和元年11月7日・第3の2(3)ウ)

「しかし,認定事実(6)のとおり,C7は,本件申請書1において引用する本件求人票1の「雇用期間の定めなし」の記載と本件訂正前通知書における本件期間制限条項の記載とが明らかに矛盾するため,これらのうちいずれが正しい記載であるのかを確認するために,本件申請書1の提出事務を代行していたC6に連絡を取り,本件訂正前通知書に本件期間制限条項が記載されていることを指摘した(第1措置)と認めるのが相当である(C7において,事実と異なることを知りながら,被告に対し無期雇用の記載をするよう指示ないし誘導する根拠は,およそ見出し難い。)。」

審査担当者の行為は、求人票の記載と通知書の記載が矛盾していたので、どちらが正しいのかを確認する趣旨であった、と認定されています。そして、担当者が事実と異なることを知りながら誘導する動機は見出し難い、とされました。信義則違反の主張も、同じ理由で退けられています。

この部分は、実務上もっとも注意を要するところです。 窓口から書類の訂正を促されたという事実は、それだけでは反論になりません。訂正を促した趣旨が「記載の矛盾の確認」であったと認定されれば、訂正に応じた側が「正しいのはこちらです」と示したことになってしまいます。

ここから引き出せる備えは、ひとつしかありません。窓口から指摘や訂正の求めを受けたときに、何をどう聞かれ、何をどう答えたのかを、その場で記録に残すことです。電話で受けた指摘であれば、日時・相手の所属と氏名・指摘の内容・こちらの回答を書き留め、できるかぎり書面やメールで確認を取る。訂正に応じる場合は、何を根拠に訂正するのかを添えて提出する。この判決の事案では、訂正の経過は残っていましたが、「どちらが正しいのか」をめぐるやり取りの中身は残っていませんでした。

5 故意は要るのか――支給要領の定義と、公表されている説明のずれ

(1)支給要領の定義

本判決が当てはめた取消条項について、支給要領は、不正受給の意義を次のように定めていました。判決が関係法令等として認定した文言です。

引用(東京地判令和元年11月7日・第2の1(5)ウ、特困金支給要領1302)

「詐欺,脅迫,贈賄等刑法各本条に触れる行為を含むことは勿論であるが,刑法上犯罪を構成するに至らない場合であっても,故意に支給申請書に虚偽の記載を行い,又は偽りの証明を行うことにより,本来受けることのできない助成金を受け,又は受けようとすることをいう。ただし,支給申請書の記載誤りが故意によらない軽微なものと認められる場合にはこれに該当しない。」

この定義は、二つの限定を置いています。

一つは、「故意に」です。刑法上の犯罪を構成しない場合を含めるとしつつ、故意を要件として残しています。

もう一つは、ただし書です。支給申請書の記載誤りが故意によらない軽微なものと認められる場合には該当しない、とされています。

判決は、この定義を「本件取消条項に該当する不正受給について具体的な解釈の指針を示したもの」と位置づけ、高奨金についても同じ解釈が妥当するとしました。そして、当てはめの結論でも、「故意に偽りの証明を行うことにより」と書いています。故意の認定を省いていないのです。

(2)ところが、公表されている説明は「故意に」を落としています

厚生労働省が公表している雇用調整助成金の不正受給に関する案内では、不正受給は次のように説明されています。

引用(厚生労働省「雇用調整助成金 不正受給」)

「事業主等が偽りその他不正の行為により本来受けることのできない助成金の支給を受け,又は受けようとすることをいいます。」

(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/kochokin_husei.html 令和8年10月23日閲覧。引用は同ページの表記のままです。)

支給要領の定義と読み比べていただきたいところです。「故意に支給申請書に虚偽の記載を行い,又は偽りの証明を行うことにより」という中核の部分が、落ちています。ただし書も、ありません。残っているのは、「偽りその他不正の行為により本来受けることのできない助成金の支給を受け」という外枠だけです。

そして、同じページは、不正受給が認定された場合の措置として、不正受給額のほかに不正受給額の2割相当額(違約金)と年3分の延滞金を合わせた額の返還を求めること、不正受給日から5年間は雇用関係助成金を受給できないこと、そして次のことを記載しています。

引用(厚生労働省「雇用調整助成金 不正受給」)

「自主申告ではない不正受給事案については,例外なく事業主名等を公表します。」

この二つを並べると、問題がはっきりします。 返還に2割の違約金と延滞金が加わり、5年間の不支給が続き、事業主名が公表される。そこまでの効果が結びつけられている概念について、公表されている説明が、根拠である支給要領の定義から「故意に」という要件と「軽微な記載誤り」の例外を落としているのです。

これは、言葉を短くまとめた結果という以上の意味をもちます。事業者が最初に読むのは、要領ではなく、この種の案内です。そこに「故意に」と書かれていなければ、記載が事実と食い違っていたという指摘を受けた事業者は、「食い違いがあった以上、不正受給だ」と受け止めます。反論すべき点がどこにあるのかが、わからなくなります。制裁の重さを並べて示す一方で、その制裁を免れる要件を落とした説明をしていることは、事業者が反論する糸口を狭める書き方であると言わざるを得ません。

当職としては、助成金・補助金の返還を告げられた事業者が最初に確かめるべきことは、案内のページではなく、根拠となる要領・交付規程・公募要領の条項そのものである、と考えております。本判決が「故意に偽りの証明を行うことにより」と書いているのは、要領の定義にその文言があるからです。そこを押さえていなければ、故意を争う余地があったことにすら気づけません。

(3)故意は、何についての故意なのか

もっとも、「故意」を争うことは容易ではありません。本判決が認定したのは、申請用に別の書類を作ったという行為そのものです。別の書類を作る行為に故意がないことは、通常は考えにくいでしょう。

したがって、実際に争える場面は、次のようなものに絞られます。記載が事実と食い違っているとされているが、食い違いではなく評価の相違にすぎない場合。要件の当てはめについて行政と理解が分かれていたにすぎず、事実を偽ったわけではない場合。記載誤りが軽微であり、かつ故意によらないものである場合(要領のただし書が正面から働く場面です)。

逆に言えば、「事実と異なる記載があるかどうか」ではなく、「事実をどう評価して記載したか」のレベルで争う余地があるかどうかが、分かれ目になります。

(4)だれの故意が問われるのか

本判決の事案では、申請の代行を依頼した者の指導のもとで申請用の書類を作ったという申立てがされていました。判決は、この点を独立の争点として扱っていません。事業主自身の行為として認定し、結論を出しています。

補助金適正化法の側には、両罰規定が置かれています。

引用(補助金適正化法32条1項)

「法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、」

この規定は、代理人や従業者の違反行為について法人等にも罰金刑を科す趣旨のものです。刑事責任の場面で、代理人の行為が法人に及ぶ仕組みが置かれているということです。

申請を支援者・代行者に任せていた場合に、その者の行為がどこまで事業者自身の「故意」として扱われるのかは、争いの余地のあるところです。支援者が関与していたことをもって悪質と評価されることへの反論は、認定支援機関の関与を悪質と言われたらの考え方とも関わりますが、少なくとも、だれが何を知っていて、だれが何を作ったのかを、事実として分けて主張することが出発点になります。申請を外部に任せていた事業者が、提出書類の控えを自ら保管していなかったために、後から事実関係を再構成できなくなる例は少なくありません。

6 補助金適正化法の「偽りその他不正の手段」はどこが違うのか

(1)「偽りその他不正の手段」の意義

適正化法29条1項の「偽りその他不正の手段」について、小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)391頁から392頁までは、「不当に補助金等の交付又は間接補助金等の交付若しくは融通を受ける原因力を有する手段で不正なものを総称する概念」と解されるとし、「偽り」はその例示であるとしています。例として挙げられているのは、災害に便乗して無関係の事業を含めて補助申請を行う場合、同一工事につき二以上の所管交付行政庁に補助申請をする二重申請、事業費を過大に見積もった水増し申請、架空工事を真実と称する申請などです。

(2)行政規則に反するだけの手続違反は含まれません

ここが、適正化法の側のもっとも重要な限定です。小滝・前掲392頁から393頁までは、同法1条が「補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止」を目的として掲げ、不当な申請や不当な使用までは規定していないことを踏まえて、29条1項の「不正の手段」を限定的に解釈すべきであるとし、次のように述べています。本条は「偽り」(虚偽)に相当するような「不正の手段」が行使され、それによって現実に補助金等の交付を受けた場合に適用されるべきものであり、法令違反に至らない行為――単に、補助金等交付要綱などの行政規則に反するだけの手続き違反的なもの――についてまでその罪責を問う趣旨のものではない、と。

交付規程や公募要領に書かれていることに反したというだけでは、「偽りその他不正の手段」には届かないということです。 交付規程違反がそのまま補助条件違反に当たるかという問題は、交付規程違反は補助条件違反に当たるのかで扱っています。同じ発想が、「不正」の評価についても働きます。

同書392頁注10は、碓井光明『公的資金助成法精義』(2007)232頁の指摘を引いています。二重申請のみで「不正」の評価を受けるとはいえないように思われる、交付要綱等に同一事業について重ねて申請することはできない旨の定めがあっても、それは単に手続上の自主規制を加えているにすぎない、二重に交付を受けうる状態になったときに辞退しないという不作為が「不正の手段」と評価されるべきものと思われる、という指摘です。

(3)資格のある事業に正当な金額を受けた場合は含まれません

小滝・前掲393頁は、構成要件要素たる不正の手段と補助金等の交付を受けることとの間に相当因果関係が存在しなければならないとし、仮に不正の手段が講じられても、もともと補助金等の交付を受ける資格のある事業に対して正当な金額を受給した場合は補助金等不正受交付罪を構成しないと解すべきであるとしています。正当に受給しうべき金額以上の過大交付を受けた場合には、当該超過部分についてのみ罪が成立する、という整理です。

この点は、最高裁が示しています。

引用(最二小決平成21年9月15日・刑集63巻7号783頁)

「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項の文理及び趣旨に照らせば,補助金等不正受交付罪は,不正の手段と因果関係のある受交付額について成立するものと解するのを相当とする。 そして,因果関係については,不正の手段の態様,補助金交付の目的,条件,交付額の算定方法等を考慮して判断することが相当である。」

この事件は、牛肉在庫緊急保管対策事業と市場隔離牛肉緊急処分事業を悪用し、対象外の又は実在しない牛肉を上乗せした量に対する補助金の交付を受けたというものでした。第一審と控訴審は、交付を受けた補助金の全額について罪の成立を認めましたが、最高裁は、不正の手段と因果関係のある受交付額は上乗せした牛肉に係る部分であり、全額について成立するものではないとして、法令の解釈適用を誤ったものといわざるを得ないとしました(もっとも、罪の成否には影響せず、量刑も不当とはいえないとして、上告は棄却されています)。

全額か、一部か。 刑事の場面で最高裁がこの線を引いたことは、行政上の返還の範囲を考えるうえでも押さえておく価値があります。17条1項は「全部又は一部を取り消すことができる」と定め、18条1項は返還命令の対象を「当該取消しに係る部分」に限っています。取消しの範囲が違反の程度と見合っているかという問いは、補助金の交付決定は、どのようなときに取り消すことができるのかでも取り上げています。

(4)錯誤は要りません

もう一点、小滝・前掲394頁は、不正の手段と補助金等の交付との間には、詐欺罪におけるごとく欺罔行為によって錯誤が生じ、その錯誤に基づいて補助金等が交付されたというような関係を要しないとしています。

「行政側も分かっていたはずだ」「審査の過程で指摘されなかった」という主張は、この点に照らすと、それだけでは「不正の手段」の評価を覆すものにはなりません。本判決が、審査担当者からの指摘があったという事業主の主張を退けたことも、同じ方向を向いています。行政側が気づかなかったことではなく、提出した内容が事実と違っていたかどうかが問われるのです。

(5)二つの制度を並べると

以上を整理すると、次のようになります。

雇用関係助成金では、根拠は支給要領の取消条項であり、その定義に「故意に」が置かれています。返還義務は贈与契約の約定解除による原状回復義務であり、受領の時からの利息が付きます。争い方は、債務の存否をめぐる当事者訴訟になり得ます。

補助金適正化法に基づく補助金では、取消しの根拠は17条1項の三類型であり、「偽りその他不正の手段」は罰則(29条)の文言です。返還命令は処分であり、加算金(19条1項、年10・95パーセント)が付きます。争い方は、審査請求・取消訴訟であり、出訴期間の制約を受けます。

同じ「不正受給」という言葉が使われていても、どちらの制度の話なのかで、確かめるべき条項も、争い方も変わります。 届いた文書の根拠条項を特定することが、最初の仕事になります。

7 事業者が争えるところ

ここからは、前記の判決・文献を踏まえた当職の整理です。「不正受給」を告げられた場面で、何を確かめ、何を主張するかを順に挙げます。

(1)支給要件・交付要件を、本当に欠いていたのか

本判決の組み立てからすれば、ここが最初の関門です。判決は、取消条項の当てはめの前提として、支給要件を欠いていたことを独立に認定しました。要件を満たしていたのであれば、「本来受けることのできない」給付を受けたという評価には届きません。

したがって、告げられた事実が要件のどの部分に関わるのかを特定し、その要件を本当に欠いていたのかを、要領・交付規程・公募要領の文言に戻って検討することになります。本判決の事案でも、行政側の運用は、有期雇用を一律に排除するものではありませんでした。「形式が違う」ことと「要件を欠く」ことは、同じではないのです。

(2)記載が事実と違うのか、評価が違うのか

次に、指摘されている記載の食い違いが、事実の食い違いなのか、評価の相違なのかを分けます。

事実の食い違いであれば、争うのは難しくなります。本判決が重く見たのは、交付済みの書類とは「別に作成した」書類を提出したという、事実のレベルの食い違いでした。

他方、要件の当てはめについて行政と理解が分かれていただけであれば、話は違います。前記6(2)の、行政規則に反するだけの手続違反的なものは「不正の手段」に含まれないという限定は、この場面で働きます。

(3)故意は、だれの、何についてのものか

要領の定義には「故意に」があり、本判決もそれを認定しています。そこで、だれが何を知っていたのかを、事実として分けて主張することになります。代表者・担当者・支援者・代行者のうち、だれが書類を作り、だれが内容を確認し、だれが提出したのか。要件の理解について、どのような助言を受けていたのか。

あわせて、記載誤りが故意によらない軽微なものである場合には該当しないというただし書が、正面から使える場面かどうかを検討します。

(4)範囲は、全部か、因果関係のある部分か

最高裁が刑事の場面で示した「不正の手段と因果関係のある受交付額」という考え方、そして適正化法17条1項の「全部又は一部」、18条1項の「当該取消しに係る部分」という文言を踏まえれば、全部取消しが当然であるとは限りません。

複数の対象・複数の経費区分・複数の支給対象期からなる給付のうち、一部についてのみ事実と異なる記載が指摘されている場合、その部分と全体との関係を主張する余地があります。取消しの裁量という枠組みでの整理は、補助金の交付決定の取消しに裁量はあるのかで扱っています。

(5)手続は踏まれているか

適正化法に基づく取消しの場合、事前の通知・弁明の機会がどう扱われるかは、取消しの前に弁明の機会は与えられるのかで扱っています。納付命令という形で来た場合の整理は、補助金の納付命令とは何かにまとめています。

そして、処分の形で来ているのであれば、不服申立ての期間があります。処分かどうかの見分け方は補助金の交付決定の取消しに処分性はあるか、期間については補助金の取消しを争う出訴期間はいつまでかをご覧ください。

(6)記録を残す

前記4(3)で述べたとおり、窓口とのやり取りの記録は、後から作れません。指摘を受けた日時、相手の所属と氏名、指摘の内容、こちらの回答。提出した書類の控え(添付書類を含みます)。代行者に任せた場合は、代行者から受け取った控え。訂正に応じた場合は、その根拠。

本判決の事案で、事業主の「指示・誘導があった」という主張が通らなかったのは、やり取りの趣旨を示す材料が残っていなかったからです。取消しの通知が届く前にしておくべきことにも、同じ趣旨をまとめています。

8 まとめ

東京地判令和元年11月7日は、特定求職者雇用開発助成金について、事業主が偽りその他不正の行為によって助成金の支給を受けたとして、原状回復義務に基づき1408万6230円の返還義務を負うとした事例です。

判決の組み立ては四つの段から成ります。第一に、支給要件(雇用継続性要件)を欠いていたこと。第二に、労働者に交付した労働条件通知書とは別に作成した通知書を申請に添付した行為が、「要件を充足しているかのような偽りの証明」に当たり、故意に偽りの証明を行うことにより本来受けることのできない助成金を受けたものであること。第三に、支給要領の取消条項は贈与契約の約定解除の要件と手続を定めたものであり、支給決定の取消しによって贈与契約が解除されたこと。第四に、返還義務の根拠は原状回復義務(民法545条1項)であり、受領の時からの利息(同条2項)が付くこと。

そして、この判決が当てはめた支給要領の定義には、「故意に」という要件と、「記載誤りが故意によらない軽微なものと認められる場合にはこれに該当しない」というただし書が置かれています。ところが、公表されている不正受給の説明には、この二つが入っていません。制裁の重さを並べる一方で、それを免れる要件を落とした説明をしていることは、事業者が反論する糸口を狭める書き方であると言わざるを得ません。

補助金適正化法に基づく補助金については、さらに注意が必要です。「偽りその他不正の手段」は29条(罰則)の文言であり、交付決定の取消しの根拠である17条1項には、この文言はありません。取消しの根拠は三類型への当てはめであり、「不正受給だから取消し」は条文の形に合っていません。そして、「不正の手段」の意義については、法令違反に至らない行為――交付要綱などの行政規則に反するだけの手続違反的なもの――までを含む趣旨ではないという限定(小滝・前掲392頁から393頁まで)があり、成立する範囲についても、最二小決平成21年9月15日が「不正の手段と因果関係のある受交付額」という線を引いています。

「不正受給」と告げられたときに確かめるべきことは、三つです。その給付の根拠はどの制度で、取消しの根拠条項はどれなのか。支給要件・交付要件を本当に欠いていたのか。そして、指摘されている食い違いは、事実の食い違いなのか、評価の相違なのか。

ご相談をお考えの事業者の方へ

「不正受給」という言葉で文書が届いた段階、あるいは実地調査の後に書類の記載について照会を受けた段階で、「記載が違っていた以上、仕方がない」と判断してしまう前に、確かめていただきたいことがあります。根拠となる要領・交付規程・公募要領のどの条項が挙げられているのか、要件を本当に欠いていたのか、返還を求められている範囲が指摘された事実と見合っているのか。

交付決定通知書・支給決定通知書、交付規程・公募要領、提出した申請書類とその添付書類の控え、行政機関とのやり取りの記録、届いている通知書類があれば、具体的な検討ができます。処分の形で来ている場合は不服申立ての期間がありますので、早い段階でご相談ください。

士業の先生方へ

申請の支援や代行をされている先生方にとって、この判決は読み落としにくい裁判例であろうと存じます。申請用に別の書類を作ったという事実が「偽りの証明」の認定を支え、支援者の指導のもとで行ったという申立てが残っていても、事業主自身の行為として認定されています。

申請段階での要件の当てはめ、提出書類の控えの保管、窓口とのやり取りの記録の残し方。この三つは、後から作れません。顧問先が返還を告げられた場面で、法律構成の部分だけを分担してお引き受けすることもできます。中小企業診断士・行政書士・税理士・社会保険労務士の先生方からのご相談も承っております。連携の形は士業の先生方へにまとめております。

※ 本稿は一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。本稿の第5節(2)及び第7節は、当職の見解を含みます。具体的な対応は、通知書類・交付規程等の資料に基づく個別の検討が必要です。

※ 本稿は、執筆時点の法令・公表資料に基づく一般的な整理であり、当職の私見を含みます。個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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