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弁護士 岸上大起

コンサル・支援機関の助言に従ったのに取消しになった――その業者に責任を問えるのか

このページの結論

補助金の申請と報告を支援業者に頼み、その指示どおりに進めてきました。ところが交付決定を取り消され、補助金の返還を命じられました。助言が誤っていたのだと思いますので、その業者に払わせたいのですが、請求できるのでしょうか。

請求できる場合はありますが、順序があります。まず取消しそのものを争い、返還すべき額が確定した段階で責任追及に入るのが落ち着いた進め方であると考えております。問題になるのは、助言の内容の誤りと、契約を結ぶ前の情報提供義務の違反です。契約締結前の説明の誤りについて、着手金のほか誤った説明を前提に支出した費用の全額を損害と認めた裁判例があります(東京地判令和7年12月4日)。

報酬が高いことそれ自体を理由に契約を無効とすることは、株式会社が金額の明記された書面に署名して結んだ契約では難しいとされた例があります(東京地判令和4年2月22日)。他方、同じ型の契約について暴利行為の可能性に触れた例もあり(東京地判令和4年6月8日)、額だけを攻めるよりも、説明が誤っていた・適格性を偽ったという点で組むほうが筋が通ります。契約締結前の説明の誤りは不法行為で構成されますので、3年の時効が働きます。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 順序があります――取消しを争うことが先で、請求はその後です

申請や報告の進め方について支援業者の助言に従ってきたのに、交付決定を取り消され、補助金の返還を命じられた。助言が誤っていたのだから、その業者に払わせたい。――このようなご相談は、実際にございます。結論から申し上げますと、請求できる場合はありますが、進め方に順序があります。

順序の一つめは、取消しそのものを争うかどうかを決めることです。取消しの対象となる事実があるのか、あるとしてどこまで取り消されるのかは、それ自体が争える問題です。指摘されている事実が補助金適正化法17条1項の三つの取消事由のどれに当たるとされているのかという見方は、交付決定の取消し・返還請求と補助金の交付決定の取消しに裁量はあるのかで述べています。

二つめは、返還すべき額が確定し、実際に返還した段階で、はじめて損害の額が固まります。取消しを争わずに返還してしまうと、後から支援業者に請求する場面で、取消しが正当であったことを前提に話を進めることになり、また、取消しを争えば結論が変わり得たのではないかという反論を受ける余地も生じます。逆に、支援業者への請求を急いで先に進めると、取消しを争う期間(審査請求・取消訴訟の期間)が過ぎてしまうことがあります。期間の数え方は、取消しの通知に不服があるとき、どこに言えばよいのかと取消しから6か月を過ぎたら、取消訴訟は起こせないのかをご覧ください。

私見としては、二つを同時に走らせるのではなく、取消しを争う手続を先に立て、支援業者に対する請求はその結果を踏まえて組むのが落ち着いた進め方であると考えております。もっとも、後述する時効の期間が先に来てしまう場合には、順序を入れ替える必要が出てまいります。

2 責任の根拠は二つに分かれます――契約の前と後

支援業者に対する請求の根拠は、大きく二つに分かれます。

一つは、契約を結んだ後の、受任者としての義務の違反です。委任(準委任)の受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。この義務に違反して損害が生じたときは、債務不履行による損害賠償を請求することができます(民法415条1項。債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでないとされています)。

もう一つは、契約を結ぶ前の段階の、情報提供義務の違反です。契約を結ぶかどうかを決める時点で、そもそもその事業が補助金の対象になるのか、どの枠で申請できるのかという説明が誤っていた場合です。この場合は、契約上の義務が未だ発生していませんので、信義誠実の原則(民法1条2項)に基づく契約締結前の義務の違反として、不法行為による損害賠償(民法709条。故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う)で組むことになります。

さらに、対象にならないことを知りながら契約させた場合には、詐欺による取消し(民法96条1項)と、支払った金員の返還を求める構成が立ちます。

どの根拠で組むかによって、主張すべき事実も、時効の期間も変わります。以下、実際の裁判例を三つ挙げて、どこで結論が分かれているかを見てまいります。いずれも地方裁判所の判断であり、控訴審の裁判は公刊物に見当たりません。

3 制度の説明が誤っていた場合――ルールの変更を伝えなかった例

東京地判令和7年12月4日(令和6年(ワ)第23254号。判例秘書登載)は、補助金・助成金のコンサルティング業務委託契約を結んだ事業者が、契約前に受けた説明が誤っていたとして、支出した費用の賠償を求めた事案です。判決は、着手金のほか、事前に支出した開発費用を含めて、請求額全部の支払を命じました。

事案の骨格はこうです。その補助金では、交付決定前に補助事業を開始した場合は原則として補助金の対象とならないこととされ、一部の申請枠についてだけ、事務局に事前着手届が受理されれば例外が認められる仕組みになっていました。ところが業者は、事業者からの問合せに対し、その補助金については事前着手が可能であるから着手金の支払は問題ないと回答しました。事業者はこれを前提に支出を進め、申請は不採択となりました。

判決は、まず、契約を結ぶ前の時点でも業者に義務があるとしました。

引用(東京地判令和7年12月4日・争点(1)について)「本件業務委託契約は、本件補助金を受給するためのコンサルティング契約なのであるから、そもそも被告との間で本件業務委託契約を締結するか否かを決定するに当たって、原告の状況が本件補助金を受給できる可能性があるのかを確認する必要があるのであり、これを善管注意義務と呼ぶかは措くとして、被告に契約締結前の信義則上の情報提供義務があるというべきであり、原告が本件プロジェクトに関して本件補助金の受給について検討するに当たり、必要な情報を正確に説明する義務を負っていたというべきである。」

業者側は、公募要領が公表されていて事前着手が原則として不可であることは公知であり、事業者も相当程度の知識を有していたと反論しました。この反論を、判決は次のように退けています。実務でよく出てくる反論ですので、そのまま引用します。

引用(東京地判令和7年12月4日・争点(2)について)「被告自身がメールマガジンで、制度が複雑化しているので、どの類型で申請すべきかや、そもそも申請対象となるのかといったことを一度被告に相談してほしいなどとしているとおり、公募要領を一読すれば内容を容易に理解できるのであれば、そもそも被告の業務は不要なのであり、事業者が公募要領の内容を把握していたとして、実際には当該事業者が行う事業がどの類型に該当するのか、様々な要件があるが実務上該当性があるのか、例外があり得るのかといった点について専門的な検討を要するからこそ被告の業務が成り立つといえる。」

公募要領に書いてあるのだから事業者の自己責任である、という言い方は、業者自身が営業の場面で述べていたことと食い違う、という筋です。業者が配信していた案内の文面が、そのまま義務の重さを決める材料になっています。

なお、この判決は、契約締結前の情報提供義務の違反による損害賠償請求権は不法行為に基づく損害賠償請求権と構成すべきものであるとして、不法行為に基づく請求を認めています。契約前の説明の誤りを問題にする場合は、債務不履行ではなく不法行為で組むという整理です。後述する時効の期間に直結しますので、押さえておく必要があります。

4 初めから対象にならない事業であった場合――詐欺とされた例

東京地判令和4年6月8日(令和3年(ワ)第4116号、令和3年(ワ)第25895号。判例秘書登載)は、申請支援サービスの業者が成功報酬を請求した本訴と、事業者が着手金の返還等を求めた反訴が併合された事案です。判決は、本訴請求を棄却し、反訴請求を認容しました。

事案は、国内に本社及び実施場所を有する事業者に限り、海外の支店・工場等での事業の実施は認めないとされていた補助金について、海外での生産を前提とする事業について申請支援の契約が結ばれたというものです。事業計画の申請は採択されたものの、その後の交付申請の段階で、事務局の担当者から、実施場所の点でも、作成する金型を量産に用いる点でも補助金の対象にならないと説明され、事業者は交付申請を辞退しました。

判決は、業者が自ら申請支援を業として行っていると主張していることを踏まえ、契約締結の段階でその事業が対象になるかどうかを判断できたはずであるとして、次のように述べました。

引用(東京地判令和4年6月8日・争点(1)について)「そうすると、原告代表者は、被告の実施しようとしていた事業が本件補助金の対象事業になりえないことを知りながら、補助金をもらうことができるなどと述べて本件契約の締結へと被告代表者を欺罔したものであり、詐欺があったといわざるを得ない。」

ここで効いているのは、対象にならないことが制度の建て方から明らかであったという点です。判決は、この点について、その補助金に関する知識があれば当然にそのような事業であると理解できるものであるといえると述べています。言い換えれば、判断の難しい論点について見通しを誤ったという話ではなく、入口の要件を外していたという事案です。

また、採択されたことをもって報酬を請求できるという業者側の主張についても、この判決は、採択はされたが対象外であるとして辞退に至った経過を認定したうえで、本訴請求を棄却しています。採択の通知が出たこと自体が報酬の根拠になるかどうかは、次に述べる判決と結論が分かれており、契約の文言の違いによるものと考えております。

5 報酬が高いことそれ自体では、争いにくいという判断があります

東京地判令和4年2月22日(令和2年(ワ)第30321号、令和3年(ワ)第769号。判例秘書登載)は、申請支援の業務委託契約が公序良俗に反して無効であるとして着手金の返還を求めた請求を棄却し、他方で、業者からの成功報酬の請求を認容した事案です。報酬は採択額の20パーセントに消費税を加えた額と定められ、着手金は返還しない、採択の発表後に申込者の都合で補助金の受給に至らなかった場合でも返還しないという条項が置かれていました。実際にも、事業者は交付決定を受けた後に事業の廃止の承認申請を行い、補助金の交付を受けていませんでしたが、判決は報酬の支払義務を認めています。

報酬の額について、判決は、高額であるという評価自体は否定していません。

引用(東京地判令和4年2月22日・争点に対する判断(1)エ)「本件各契約上の報酬額が高額であるとの評価を受けてもやむを得ないものであるとしても,暴利であるとは認められず,委任者にとって一方的に不利な内容であると認めることも困難である。」

結論を支えているのは、事案の次の事情です。請求をした側がいずれも営利を目的とする株式会社であって、消費者契約法の適用を受ける立場にはないこと。着手金・報酬の額と不返還の条項が申込書に明記され、署名のうえ交付されていたこと。契約内容に不服があれば契約を結ばない判断ができ、業者と契約せずに申請することが妨げられる事情もなかったこと。そして、情報やツールの提供、事業計画書の添削といった、対価に対応する業務が実際に行われていたことです。

ですから、この判決を「報酬の高さは争えない」とだけ読むのは正確ではありません。株式会社が、金額の明記された書面に署名して結んだ契約について、業務の提供もあった事案では暴利とは認められなかった、という範囲の判断です。実際、前記の東京地判令和4年6月8日は、同じ型の契約について、傍論ながら次のように述べています。

引用(東京地判令和4年6月8日・争点(1)について)「(原告が提供するサービスの内容に照らして、着手金と報酬の合計額が多額に過ぎ、暴利行為・公序良俗違反の可能性も十分にあり得るが、ここではこれ以上検討しない。)」

二つの判決を並べると、報酬の額だけを正面から攻めるのは見通しが立ちにくく、説明が誤っていた・適格性を偽ったという点で組むほうが筋が通る、ということになります。

もっとも、報酬の高さが全く意味を持たないわけではありません。東京地判令和4年2月22日は、補助金の申請に要する費用の負担について、次のように述べています。

引用(東京地判令和4年2月22日・争点に対する判断(1)エ)「ものづくり補助金においては,補助金交付申請の支援に対する報酬は補助対象経費には該当しないとされているが,その申請に必要な費用は,結局は補助金の受給者が負担することになるから,申請に高額な費用が必要となる場合,少なくとも補助金交付事業の効果という点から見る限り,補助金交付事業の趣旨に沿わない面があることは否定することができない。」

同じ判決は、行政側の文書の内容も認定しています。認定経営革新等支援機関(中小企業等経営強化法31条による認定を受けた者。判決が適用した条文は令和元年法律第21号による改正前の同法26条です)に対する注意喚起の通知です。

引用(東京地判令和4年2月22日・前提事実(7))「中小企業庁及び金融庁は,平成25年11月27日,認定経営革新等支援機関に対し,一部の認定経営革新等支援機関による不適切な行為に関する情報が当局に寄せられているとして,不適切な行為を慎むよう注意喚起する旨を通知した(以下「本件通知」という)。本件通知は,不適切な行為に当たる行為として,補助金申請に関与する際に,作業等にかかる費用等と乖離した成功報酬等の費用を中小企業・小規模事業者等に請求すること,認定経営革新等支援機関であることを示しながら,補助金申請代行等のPRや営業活動を行うことなどを例示している」

この通知について、同判決は、法令に当たらないとはいえ、作業等にかかる費用等と乖離した成功報酬等の費用を請求することを不適切な行為として掲げているのも、申請に高額な費用が必要となることが補助金交付事業の趣旨に沿わない面があるという趣旨を踏まえたものと見られる、と位置づけています。法令ではありませんので、これに反したことが直ちに契約の無効を導くものではありません。他方で、作業の内容と報酬の額が離れていることを示す事情として使う余地はあると考えております。

なお、同判決は、認定を受けていない者が申請支援の業務を行うこと自体は中小企業等経営強化法に違反するとはいえないとし、認定を受けていると装った事実も認められないとして、詐欺の主張も退けています。認定の有無は、それだけで結論を決めるものではないという整理です。

次のような場合は、お返事をされる前にご相談ください

  • 支援業者の助言に従って申請・報告をしたのに、交付決定の取消しや返還を告げられている
  • 対象にならない事業であったことが後から分かり、支払った着手金・成功報酬の返還を求めたい
  • 採択の通知だけを理由に成功報酬を請求されているが、補助金は受けられていない
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 交付決定の取消し・返還請求(対応ページ)/支援機関の支援を受けた申請を悪質と言われたら(Q&A)

6 何が損害になるか――因果関係の整理が結論を分けます

三つの判決で認められた金額の幅は、そのまま損害の立て方の幅です。前記の東京地判令和4年6月8日では、支払済みの着手金と弁護士費用が損害とされました。他方、東京地判令和7年12月4日では、着手金に加えて、誤った説明を前提に支出した開発費用の全額が損害とされています。差を生んでいるのは、どこまでが説明の誤りとつながっているかという整理です。

後者の判決は、支出が損害となるための条件を、次のように示しました。

引用(東京地判令和7年12月4日・争点(4)について)「確かに、本件支出が損害となるためには、本件補助金が受給できなければ、本件プロジェクトを継続できないとの事情が必要であり、特別損害と解すべきものといえる。」

そして、業者側が、採択率が低いことは説明していた、事業の継続を中止したのは事業者の判断であると主張した点について、判決は、採択率が低いという説明をしたと認められる客観的な証拠はないとし、業者が事業者の財務状況と開発の規模を聞いていたことから、補助金が得られなければ事業を進められないことを少なくとも認識し得たとしました。

ここから言えることは、次の二つです。一つは、補助金が得られることを前提に何を決めたのかを、業者に伝えていた事実として示せるかどうかが効くということです。もう一つは、業者がどこまで事情を把握していたかが、特別損害の範囲を決めるということです。開発の規模や財務の状況を伝えていたやり取りが残っているかどうかで、結論が変わり得ます。

ご相談の場面で出てくる型は、おおむね次のものです。いずれも、助言の内容そのものよりも、何をどこまで伝えたうえで何と言われたのかという経過のほうが争点になります。

  • 使い道を分ければ二つの補助金を受けられると言われ、後から重複受給を指摘された(重複受給の線引きは「重複受給」を理由に取消しと言われたらで述べています)。
  • 申請の都合で新しい会社をつくるよう言われ、その会社では交付申請が通らなかった。
  • 見積書・見積依頼書の内容と、実際に発注・施工された内容が食い違っており、検査の場面で指摘された。
  • 事務局の担当者から言われたとおりに進めたと説明されたが、その指示が書面で残っていない(事務局の指示の扱いは「記載のない細部は事務局の指示に従う」と書かれているときで述べています)。

7 時効と、お手元でそろえていただきたいもの

時効の期間は、どの根拠で組むかによって変わります。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき、又は不法行為の時から二十年間行使しないときに、時効によって消滅します(民法724条)。これに対し、債務不履行による損害賠償の請求権は債権ですので、権利を行使することができることを知った時から五年間、権利を行使することができる時から十年間行使しないときに、時効によって消滅します(民法166条1項)。

先に述べたとおり、契約締結前の説明の誤りは不法行為で構成されますので、三年の期間が働きます。取消しを争う手続を進めている間に、この三年が過ぎてしまうことがあり得ます。取消しの結論を待つかどうかは、この期間を見ながら決める必要があると考えております。

三年の起算点である「損害及び加害者を知った時」がいつかは、事案によります。説明が誤っていたことを知った時点、取消しの通知を受けた時点、返還を終えた時点のいずれと見るかで結論が変わり得ますので、争いになる前提で組んでおくのが安全であると考えております。期間が迫っている場合には、支援業者に対して先に請求をしておく、あるいは期間の進行を止める手当てを講じておくという進め方もございます。

ご相談の際に、次のものがお手元にあると、具体的な検討ができます。

  • 支援業者との契約書・申込書・同意書(着手金と成功報酬の額、採択後に受給に至らなかった場合の扱い、不返還の条項の有無を確かめます)。
  • 契約を結ぶ前のやり取り(メール、チャット、案内の文面、説明会の資料)。前記の判決で決め手になったのは、いずれも契約前のメールと業者自身の案内の文面です。
  • 助言を受けて進めた内容と、その時期が分かる資料(発注書、契約書、請求書、領収書、振込の記録)。
  • 申請に用いた事業計画書と、業者が添削した前後の版。
  • 事務局・交付主体からの通知(不採択の通知、交付決定通知書、取消しの事前通知、取消通知、返還命令)。
  • 補助金が得られることを前提に何を決めたのかを、業者に伝えていたやり取り(開発や設備の規模、資金の手当て、他の補助金との関係)。

顧問先・支援先についてこのような問題が起きている士業・支援機関の先生方は、士業・支援機関・お取引先企業の方へをご覧ください(連携の形は顧問先の補助金トラブルと弁護士との連携で述べています)。取消しの通知が届く前にできることは、交付決定の取消しの前に行われることで述べています。

支援業者の助言に従って申請・報告をしたのに取消しや返還を告げられている方、対象にならない事業であったことが後から分かって着手金・成功報酬の返還を求めたい方、補助金を受けられていないのに成功報酬を請求されている方は、お返事をされる前にご相談ください。支援業者との契約書・申込書、契約を結ぶ前のやり取り、助言を受けて進めた発注・支払の記録、交付主体からの通知があれば、具体的な検討ができます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

  • 補助金適正化法17条1項(交付の決定の取消し)。取消事由は、補助金等の他の用途への使用、交付の決定の内容又はこれに附した条件への違反、法令又はこれに基く処分への違反の三つです
  • 民法644条(受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う)、415条1項(債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない)。e-Gov法令検索の法令データ(329AC0000000089)で原文を確認しました
  • 民法1条2項(権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない)、709条(故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う)、96条1項(詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる)、90条(公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする)
  • 民法724条(不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき(1号)、又は不法行為の時から二十年間行使しないとき(2号)に、時効によって消滅する)、166条1項(債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき(1号)、又は権利を行使することができる時から十年間行使しないとき(2号)に、時効によって消滅する)
  • 東京地判令和7年12月4日(令和6年(ワ)第23254号。判例秘書登載)。補助金・助成金のコンサルティング業務委託契約について、契約締結前の信義則上の情報提供義務があるとして、着手金33万円のほか、事前着手が可能であるという誤った説明を前提に支出した1000万円を含む1033万円全額の賠償を命じた事案。判決は、「これを善管注意義務と呼ぶかは措くとして、被告に契約締結前の信義則上の情報提供義務があるというべきであり、原告が本件プロジェクトに関して本件補助金の受給について検討するに当たり、必要な情報を正確に説明する義務を負っていたというべきである」とし、公募要領が公表されていて公知であるとの反論については、業者自身が案内で相談を呼びかけていたことを挙げて退けた。支出が損害となるには補助金が受給できなければ事業を継続できないという事情が必要であり特別損害と解すべきものとしつつ、業者が事業の規模と財務状況を聞いていたことから、これを認識し得たとした。契約締結前の情報提供義務違反による損害賠償請求権は不法行為に基づく損害賠償請求権と構成すべきものとしている。控訴審の裁判は公刊物に見当たらない(上訴審未確認)
  • 東京地判令和4年6月8日(令和3年(ワ)第4116号、令和3年(ワ)第25895号。判例秘書登載)。申請支援サービス提供契約に基づく成功報酬190万0800円の請求(本訴)と、着手金21万6000円等の返還請求(反訴)が併合された事案。海外での生産を前提とする事業について、実施場所の点でも、作成する金型を量産に用いる点でも補助金の対象事業となり得ないものであったと認定し、「原告代表者は、被告の実施しようとしていた事業が本件補助金の対象事業になりえないことを知りながら、補助金をもらうことができるなどと述べて本件契約の締結へと被告代表者を欺罔したものであり、詐欺があったといわざるを得ない」として、本訴請求を棄却し、反訴請求(着手金21万6000円及び弁護士費用2万1600円)を認容した。あわせて、「原告が提供するサービスの内容に照らして、着手金と報酬の合計額が多額に過ぎ、暴利行為・公序良俗違反の可能性も十分にあり得るが、ここではこれ以上検討しない。」と述べている。控訴審の裁判は公刊物に見当たらない(上訴審未確認)
  • 東京地判令和4年2月22日(令和2年(ワ)第30321号、令和3年(ワ)第769号。判例秘書登載)。申請支援の業務委託契約(着手金32万4000円、報酬は採択額の20%+消費税、着手金及び採択報酬を返還しない旨の条項つき)が公序良俗に反し無効であるとして着手金の返還を求めた請求を棄却し、業者からの報酬請求を認容した事案。「本件各契約上の報酬額が高額であるとの評価を受けてもやむを得ないものであるとしても,暴利であるとは認められず,委任者にとって一方的に不利な内容であると認めることも困難である」とした。理由として、請求者がいずれも営利を目的とする株式会社で消費者契約法の適用を受ける立場にないこと、金額と不返還条項が申込書に明記され署名のうえ交付されていたこと、契約をしない判断ができたこと、情報・ツールの提供や事業計画書の添削という対価に対応する業務が行われていたことを挙げる。交付決定後に事業者自ら事業の廃止の承認申請を行い補助金の交付を受けていない点も、廃止の理由が専ら事業者側の事情によるものであるとして結論を左右しないとした。あわせて、認定経営革新等支援機関の認定を受けていない者が申請支援の業務を行うことが中小企業等経営強化法に違反するとはいえないとし、認定を受けていると装った事実も認められないとして詐欺の主張を退けている。控訴審の裁判は公刊物に見当たらない(上訴審未確認)
  • 東京地判令和4年2月22日の前提事実(7)が認定する、中小企業庁及び金融庁の平成25年11月27日付け通知(「本件通知は,不適切な行為に当たる行為として,補助金申請に関与する際に,作業等にかかる費用等と乖離した成功報酬等の費用を中小企業・小規模事業者等に請求すること,認定経営革新等支援機関であることを示しながら,補助金申請代行等のPRや営業活動を行うことなどを例示している」)。同判決は、この通知が法令に当たらないとしつつ、申請に高額な費用が必要となる場合、補助金交付事業の効果という点から見る限り、補助金交付事業の趣旨に沿わない面があることは否定することができないと述べている(通知そのものの原本は当方で確認しておらず、同判決が認定した内容として引用しています)
  • 中小企業等経営強化法31条1項・2項(認定経営革新等支援機関の認定と経営革新等支援業務)。東京地判令和4年2月22日が適用したのは、令和元年法律第21号による改正前の同法26条です

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

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※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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