執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)
1 返還を求められることと、刑罰とは、別の話です
補助金の返還を求められている場面で、「不正受給です」という言い方をされることがあります。この言葉は、法律の言葉ではありません。法律の側では、交付決定を取り消して返還を求めるという行政の手続と、刑罰を科するという手続とが、別々の条文に、別々の要件のもとに置かれています。
交付決定を取り消すことができる場合は、補助金適正化法17条1項が定めています。挙げられているのは、①補助金等の他の用途への使用、②交付の決定の内容又はこれに附した条件への違反、③その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分への違反の三つです。取り消した場合に返還を命じるのが同法18条1項です。取消事由の中身については、交付決定の取消し・返還請求のページで述べています。
ここで押さえておきたいのは、この三つの取消事由のどれも、「偽りその他不正の手段により交付を受けた」ことを要件としていない、ということです。他方、刑罰の側の中心規定である29条1項は、「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け」た者を処罰する規定です。要件が重なっていませんので、取消しを受けたということから、刑罰の条文の要件が満たされることにはなりません。
お手元の公募要領や手引きに、交付決定の取消しと罰則とを続けて書いた記載があることがあります。その記載が現行の条文と合っているかどうかは、コラム「ものづくり補助金の交付決定の取消し・返還請求は、取消訴訟で争えるのか」で述べています。
2 罰則の条文は三つで、法定刑も主体も違います
補助金適正化法の罰則は、第六章に置かれています。事業者に関わるのは、29条、30条、31条の三つです。
引用(補助金適正化法29条。e-Gov法令検索・法令ID 330AC0000000179、2026年10月23日閲覧)「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。」
2項は、事情を知りながら交付又は融通をした側を処罰する規定です。文献は、1項は詐欺罪の特別規定としての意義をもち、2項は背任罪の特別罪たる意義をもつものと解されるとしており(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』387頁(株式会社全国会計職員協会、2016))、2項が主として想定しているのは交付する側の職員です。以下では、1項の話をします。
30条は、11条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用をした者を、三年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処するものです。「他の用途への使用」が何を指すのかは、Q&A「補助金の『目的外使用』とは何か」で述べています。
31条は、三万円以下の罰金です。1号は遂行の一時停止命令(13条2項)に違反した者、2号は法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかった者、3号は23条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者です。文献は、政府原案では「六月以下の懲役又は三万円以下の罰金」とされていたが、国会審議の過程で懲役刑の部分が削除修正されたという経緯を挙げています(同書419頁)。
主体の範囲も違います。同書419頁は、31条各号の罪の主体は、それぞれの行為規範の名宛人である補助事業者等(3号にあっては間接補助事業者等も含まれる。)であり、各号の罪はいずれも一定の立場にある者だけが主体となる罪(身分犯)であるとしています。同書420頁は、30条の罪と31条各号の罪の主体はこれらに限定されているが、29条1項の罪の主体はそうではない、と整理しています。
同書419頁は、あわせて、31条2号が「報告をしなかつた者」とだけ定めていることについて、虚偽の実績報告それ自体を処罰する規定は置かれなかった、という説明を引いています(同頁注(1)。安原美穂「いわゆる補助金適正化法について」31頁)。もっとも、虚偽の実績報告に基づいて事業の完了後の精算による支払(精算払)を受けたという場合には、別に29条1項の問題が生じえます。31条2号に当たらないことと、29条1項に当たらないこととは、別の話になります。
法定刑の文言について、一つ申し添えます。29条1項の「拘禁刑」は、令和4年法律第68号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)による改正後の文言で、令和7年6月1日から施行されています。お手元の公募要領や手引きが「懲役」と書いていることがありますが、現行の条文の文言は拘禁刑です。改正の施行前にした行為についての罰則の適用は、別に確かめることになります。
どの補助金にどう及ぶかは、建て付けによって違います。中小機構が交付する補助金(事業再構築補助金・新事業進出補助金など)については、独立行政法人中小企業基盤整備機構法16条が、補助金適正化法の規定を「罰則を含む。」ものとして準用しています。これに対し、国から補助金を受けた団体が事務局となって事業者に交付する補助金(ものづくり補助金など)については、事業者が受けるものが「間接補助金等」に当たり、29条1項の「間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者」として及びます。この建て付けの違いは、前記のコラム「ものづくり補助金の交付決定の取消し・返還請求は、取消訴訟で争えるのか」で述べています。
口頭で、年数や金額の数字だけを言われることがあります。三年という上限は30条のもの、五年と百万円は29条1項のもの、三万円は31条のものです。構成要件も、主体の範囲も違いますから、どの条文の話をされているのかは、分けて確かめる必要があります。
公訴時効の期間も違います。刑事訴訟法250条2項は、人を死亡させた罪であつて拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪について、長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪は七年(4号)、長期十年未満の拘禁刑に当たる罪は五年(5号)、長期五年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪は三年(6号)としています。そうすると、29条1項(長期五年の拘禁刑)は五年、後記6で述べる詐欺罪(長期十年の拘禁刑)は七年、30条(長期三年の拘禁刑)と31条(罰金のみ)は三年になります。返還請求権の時効とは別の数え方ですので、Q&A「補助金の返還請求に時効はあるのか」とあわせてご覧ください。
3 「不正の手段」と交付を受けたこととの間に、因果関係が要ります
29条1項は、「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け」た者、という形で構成要件を定めています。二つに分けて読みます。
まず、「交付を受け」るという部分です。文献は、これは現実の交付を受けることをいい、交付決定通知を受けるのみでは構成要件の充足がないというべきであるとし、現実の交付には概算払、前金払及び精算払のすべての場合が含まれ、これらの支払に係る小切手を受領したときをもって既遂となると解すべきであるとしています(小滝393頁)。交付決定を受けた段階、あるいは額の確定を受けた段階で「不正受給だ」と言われている場合には、まずこの点を確かめることになります。
次に、「により」という言葉です。不正の手段と、補助金等の交付を受けたこととの間に、因果関係が必要になります。この点について、最高裁の判断があります。
引用(最二小決平成21年9月15日刑集63巻7号783頁)「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項の文理及び趣旨に照らせば,補助金等不正受交付罪は,不正の手段と因果関係のある受交付額について成立するものと解するのを相当とする。
そして,因果関係については,不正の手段の態様,補助金交付の目的,条件,交付額の算定方法等を考慮して判断することが相当である。」
事案は、対象となる牛肉を保管又は処分した量に応じて補助金が交付される事業で、対象牛肉に、それ以外の又は実在しない牛肉を上乗せした合計量について補助金の交付を申請し、交付を受けたというものです。同決定は、不正の手段と因果関係のある受交付額は、対象牛肉以外の又は実在しない牛肉に係る受交付額であるとして、交付を受けた補助金全額について罪の成立を認めた第一審判決とこれを是認した原判決が、法令の解釈適用を誤ったものとしました(第一審=名古屋地判平成18年3月27日刑集63巻7号791頁)。
もっとも、この決定は、上告を棄却しています。同決定は、上記の誤りは同罪の成否には影響を及ぼさない上、原判決の認定判示したその余の量刑事情に照らすと、その誤りを是正し検討しても、原判決が是認した第1審判決の宣告刑は不当であるとはいえないとして、刑訴法411条を適用すべきものとは認められないとしています。金額の切り分けは、罪が成立するかどうかの話ではなく、どこまでが罪となるかの話であって、刑の重さが当然に変わる話でもないと考えております。
考慮要素として挙げられているのは、不正の手段の態様、補助金交付の目的、条件、交付額の算定方法等です。交付額の算定方法を考慮するという部分は、実務で効いてくると考えております。補助金は、補助対象経費に補助率を乗じて算定されるものが大半です。そうすると、算定方法に沿って、不正のない部分だけを取り出せるかどうかが問われます。この点は、後記4で述べます。
なお、同じ文献は、この因果関係について、「不正の手段と補助金等の交付との間には、詐欺罪におけるごとく欺罔行為によって錯誤が生じ、その錯誤に基づいて補助金等が交付されたというような関係を要しないことに注意すべきである」とも述べています(小滝394頁)。この違いは、後記6で触れます。
4 正当な額を切り分けられるなら、超過部分だけです
因果関係を要するという組み立てからは、次の帰結が導かれます。
引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』393頁(株式会社全国会計職員協会、2016))「構成要件要素たる不正の手段と補助金等の交付を受けることとの間に相当因果関係が存在しなければならない。したがって、仮に不正の手段が講じられても、もともと補助金等の交付を受ける資格のある事業に対して、正当な金額を受給した場合は、補助金等不正受交付罪を構成しないものと解すべきである。正当に受給しうべき金額以上の過大交付を受けた場合には、当該超過部分についてのみ本罪が成立するものと解すべきであろう。」
この整理は、古い裁判例に根があります。同書394〜395頁注(14)は、秋田地判昭和39年5月13日(昭和34年(わ)第21号)を引いています。同判決は、29条1項にいう不正の手段による受交付とは、不正手段によって本来交付の対象とならない事務又は事業について交付を受け、あるいは当該事業等に本来交付さるべき金額を超えた金額の交付を受けることを指すとしたうえで、次のように述べています。
引用(秋田地判昭和39年5月13日。小滝394〜395頁注(14)所引)「たとえ不正と目すべき手段が講じられても補助金等、間接補助金等を交付さるべき資格ある事業等について正当な金額の交付を受けた場合はこれに含まれないと解すべきである。蓋しこの場合に於ては、交付に係る補助金は国の財政目的に沿つて支出されたのであって、国に於て財政上の損失を生ずることがないからである。」
この事件では、刑事訴訟法336条により被告人両名に無罪が言い渡されています(同書巻末「二 判例」471頁)。同じ方向の判断として、金沢地判昭和45年3月16日(昭和43年(わ)第7号)があります。工事の入札につき競争入札を仮装した場合であっても、補助金等を交付されるべき資格ある事業等について正当な金額の交付を受ける場合はこれに含まれないとしたもので、この事件でも、公訴事実につき犯罪の証明がないとして刑事訴訟法336条により無罪が言い渡されています(同書395頁注(15)、同書巻末「二 判例」482頁)。もっとも、いずれも坪当たりの工事費の単価を基準に算定される公共事業の補助金の事案であり、上訴審の帰趨は確認できておりません。
近いところでは、牛海綿状脳症(BSE)の騒動によって打撃を受けた食肉業界を救済するための緊急保管対策事業に関する下級審判決が二件あります。いずれも、条件を付けたうえで、超過部分に限るとしたものです。大阪地判平成17年5月11日(平成16年(わ)第3551号)判時1918号126頁は、「両者が不可分であるなど特段の事情がない限り、その超過部分についてのみ」成立するとし、大阪地判平成17年5月27日(平成16年(わ)第2523号。同じ判例時報1918号に掲載)は、「正当に受給すべきであった補助金等の額が可分であれば、当該超過部分についてのみ」成立するとしています(同書395〜396頁注(16))。いずれも上訴審の帰趨は確認できておりません。
そうすると、分かれ目は「不正があったかどうか」ではなく、正当に受給しうべき額を切り分けられるかどうか、ということになります。
切り分けができず、全額について因果関係が認められた裁判例
反対の方向の裁判例もあります。しかも、前記の最高裁決定より後の事件です。京都地判平成25年10月10日刑集69巻8号898頁は、設備のうち一部の設置が完了していないのに、設置が完了した旨の内容虚偽の実績報告書を提出して補助金額を確定させ、交付を受けたという事案です。弁護人は、実績報告書が提出された時点で対象工事は相当程度完成していたから、交付された補助金全額について罪が成立することはないと主張しました。同判決は、これを退けています。
引用(京都地判平成25年10月10日刑集69巻8号898頁)「本件事業が完了したとする内容虚偽の本件実績報告書の提出がなければ,完成部分に関するものを含めて一切の補助金が交付されることはなかったものと認められる(なお,本件は概算払の場合ではない。)上,内容虚偽の本件実績報告書の提出は,交付すべき補助金の額の算定ないし確定を不可能ないしは著しく困難ならしめるものである。」
同判決は、これらの点からすれば被告人の不正行為と交付を受けた補助金全額との間に因果関係が存在するとして、補助金額1億1069万2000円の全額について29条1項違反の罪の成立を認め、代理人であった被告人を実刑に処しました。上告審である最二小決平成27年12月14日刑集69巻8号832頁も、これを前提として上告を棄却しています。
この判示の理由は、実績報告書が提出されて初めて額が確定し、支払がされるという手続の構造に置かれています。この構造は、実績報告を受けて額の確定をし、精算により支払うという建て付けの補助金と同じです。
もう一件、文献が強く批判しているものがあります。同書396頁注(17)によれば、宮崎地判平成17年4月28日(平成15年(わ)第300号)は、社会福祉法人の設立認可申請手続と補助金交付申請手続とを一体のものとみて、受交付された補助金全額について罪が成立すると判示し、控訴審・上告審においても支持されたとのことです(判決原本には当たれておりません)。同注は、両手続は法律上まったく別個独立の法律手続であるとして「大いに疑義があるといわざるをえない」とし、現実に所定の社会福祉施設が建設され、正当に補助金を受交付し得る部分が大半であったにもかかわらず全額について成立を認めたことを「問題であると指摘せざるをえない」としています。
私見としては、二つの型を分けてお考えいただくのがよいと考えております。不正のない部分の請求が、それ自体としては正当な請求であり、交付額の算定が経費ごと・設備ごと・数量ごとに積み上げられていて、その部分を取り出せる場合には、その部分について不正の手段との因果関係を否定できる余地があります。これに対し、実績報告の虚偽が事業の完了そのものに関わり、その報告がなければ額の確定も支払もされなかったという場合には、全額について因果関係が認められています。どちらの型かは、交付規程の額の確定と支払の定めを読んで決まると考えております。
次のような場合は、ご回答になる前にご相談ください
- 返還を求める書面に、罰則の条文が併せて挙げられている
- 実績報告の記載の一部を理由に、交付を受けた補助金の全額について「不正受給」と言われている
- 申請を手伝った立場で、代理人として責任を問われるのではないかと言われている
5 「不当」や、要綱・規程の手続違反だけでは足りません
もう一つ、構成要件の側からの限定があります。29条1項が処罰の対象としているのは「不正の手段」であって、「不当」な行為一般ではない、という点です。
文献は、補助金適正化法1条が「補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする」と定め、不当な申請や不当な使用についてまで規定していないことを手がかりに、「本法第二九条第一項の『不正の手段』を限定的に解釈すべきものと見るべきであろう」とし、「違法(不正)に至らない不当な手段や行為については、『その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図る』ための行政処分(交付決定の取り消しや返還命令等)の対象となり得るとはいえ、必ずしも刑事処分(刑事罰)の対象とすべきものとはされていないのである」と述べています(小滝392頁)。
そして、要綱・規程との関係について、次のように続きます。
引用(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』392〜393頁)「本条は、「偽り」(虚偽)に相当するような「不正の手段」が行使され、それによって現実に補助金等の交付を受けた場合に適用されるべきものであり、法令違反(法規違反)に至らない行為――単に、補助金等交付要綱などの行政規則に反するだけの手続き違反的なもの――についてまでその罪責を問う趣旨のものではない、と解すべきであろう。」
同じ考え方は、二重申請の場面にも及びます。同書394頁注(10)は、碓井光明『公的資金助成法精義』232頁(2007年)を引いたうえで、「まことに的確な指摘である」としています。
引用(碓井光明『公的資金助成法精義』232頁(2007年)。小滝394頁注(10)所引)「二重申請のみで『不正』の評価を受けるとはいえないように思われる。内定通知が交付申請に先行している場合は別として、補助金交付要綱等に、『同一事業について他の省庁又は団体の補助金交付申請と重ねて本事業として交付申請することはできない』旨の定めがあっても、それは、単に手続上の自主規制を加えているにすぎない。二重に交付を受けうる状態になったときに辞退しないという不作為が『不正の手段』と評価されるべきものと思われる。」
重複受給そのものの扱いは、コラム「重複受給を理由とする取消し」で述べています。
私見としては、「不正」と「不当」と「手続違反」は条文の上では別のものであり、要綱・交付規程の手続に反したというだけでは、29条1項の対象にはならないと考える余地があります。もっとも、交付規程の条項が交付決定に附された条件(補助条件)として取り込まれているのであれば、その違反は17条1項の取消事由になりえます。刑罰の対象にならないことと、取消しの対象にならないこととは、別の話です。取消しの側の問題は、前記のQ&A「交付規程に違反したと言われたら」で述べています。
6 詐欺罪で立件されることもあり、会社に及ぶ場合と及ばない場合があります
詐欺罪との関係
ここまでは、補助金適正化法29条1項の話です。同じ行為が、詐欺罪(刑法246条1項。「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。」)で起訴されることがあります。
29条1項を詐欺罪の特別規定と見る整理があり(小滝387頁)、そこから詐欺罪の適用は排除されるという主張がされてきました。しかし、福島地判令和元年5月10日(平成29年(わ)第133号、同第157号。判例秘書登載。上訴審の帰趨は確認できておりません)は、この主張を採らず、補助金等不正受交付罪が詐欺罪の特別規定であると解することは相当でないとして、交付を受けた補助金等の全額について欺罔行為との因果関係を認め、詐欺罪の成立を認めました。最高裁も、同じ方向です。
引用(最三小決令和3年6月23日刑集75巻7号641頁。原審=高松高判令和2年10月8日刑集75巻7号659頁)「被告人が人を欺いて補助金等又は間接補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律2条1項,4項)の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合,被告人の当該行為が同法29条1項違反の罪に該当するとしても,裁判所は当該事実について刑法246条1項を適用することができると解するのが相当である。」
そうすると、前記3・4で述べた切り分けが、詐欺罪の場面でもそのまま通るのかが問題になります。詐欺罪では錯誤が要件となりますので、議論の立て方が変わります。広島高判令和4年9月8日(令和4年(う)第28号。判例秘書登載。補助金の事案ではなく、会社間の業務委託料の水増し請求による詐欺の事案で、原判決を破棄自判したものです。上訴審の帰趨は確認できておりません)は、平成21年の最高裁決定について、29条1項違反の罪では詐欺罪とは異なり錯誤が要件とされていない一方で「偽りその他不正の手段」と「補助金等の受交付」との間に因果関係を要するから、偽りその他不正の手段がなくとも受給できる補助金部分の受交付は構成要件に該当しない、と説明したうえで、詐欺罪とは構成要件が異なり同列に論じることはできないとしています。
もっとも、詐欺罪でも、水増し部分に限って成立するとされた例があります。東京高判平成28年2月19日(平成27年(う)第1939号)判タ1426号41頁、東京高等裁判所判決時報刑事67巻2頁は、障害者の訓練等給付費の水増し請求の事案で、原判決を破棄自判しました。
引用(東京高判平成28年2月19日判タ1426号41頁)「詐欺罪は,内容虚偽の請求と因果関係のある就労継続支援等の提供をしなかった障害者に係る給付費について成立し,交付を受けた給付費全額について成立するものではないというべきである。」
前記の広島高判は、この東京高判について、給付費の請求や金額の算定において障害者単位の運用がされていることから、就労継続支援等の提供をした障害者に係る給付費の請求行為においてはそもそも欺く行為がなく、提供をしなかった障害者に係る給付費の請求行為がそれ自体欺く行為となる、と説明しています。
私見としては、詐欺罪の場面でも、分かれ目は前記4と同じところにあると考えております。請求と金額の算定が単位ごとに運用されていて、不正のない部分の請求がそれ自体として欺く行為に当たらないといえる場合には、水増し部分に限られる余地があります。これに対し、請求が一体で、その不正がなければ一円も交付されなかったという場合には、全額について因果関係が認められています。いずれにしても、29条1項について述べた「超過部分だけ」という整理を、そのまま詐欺罪の場面に持ち込むことはできないと考えております。
会社、代表者、申請を代わりに行った人
補助金適正化法32条1項は、法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、29条から31条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する、と定めています。行為者と法人の両方が罰せられる定め(両罰規定)です。
法人の側の責任の性質と、その限界について、最高裁の判断があります。
引用(最二小決平成27年12月14日刑集69巻8号832頁)「また,同条項は,「代理人」等の行為者がした違反行為について,事業主として行為者の選任,監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定した規定と解される(最高裁昭和26年(れ)第1452号同32年11月27日大法廷判決・刑集11巻12号3113頁参照)。このように,行為者のした違反行為について過失が推定され,事業主が処罰されるのは,事業主と行為者との間に,事業主が行為者の違反行為を防止できるような統制監督関係があることが前提とされていると解されるから,事業主が行為者を現に統制監督しておらず,統制監督すべき関係にもない場合には,同条項により事業主の過失を推定して事業主を処罰するという前提を欠き,同条項が適用されないこととなる。」
無過失責任ではなく、過失が推定される構造であり、統制監督関係がなければ適用されない、ということです。そして同決定は、統制監督関係の有無については、事業主から行為者に与えられた権限の性質・内容、行為者の業務履行状況、事業主の関与状況その他の事情を総合して判断すべきであるとしています。会社の側では、この三つの事情を示せるかどうかが要になると考えております。
「代理人」については、申請の業務を一括して委任された外部の者が、これに当たるとされています。同決定の事案は、会社の代表取締役から補助金の交付を受けるための業務に関し一括して委任を受け、各種書類を同社名義で作成・提出し、同社の担当者として関係省庁と折衝・連絡を行うとともに、これらの事務の遂行状況を代表取締役に報告していたというものです。同決定は、被告人は事業主である会社の統制監督を現に受け、又は受けるべき関係の下で会社の業務を代理したといえるとして、32条1項にいう「代理人」に当たるとしました。前記の京都地判が懲役刑を言い渡したのは、この代理人であった被告人に対してです。
もっとも、支援を受けて申請すること自体は、制度が予定している進め方です。問題になるのは、「偽りその他不正の手段」に当たる行為があり、その認識があったかどうかであって、申請を手伝ったという事実そのものではありません。この点は、Q&A「申請を認定支援機関に手伝ってもらった――『制度を知っていたはずだから悪質だ』と言われたら」で述べています。支援事業者に対する調査については、Q&A「立入調査は、支援した当社にも来るのか」をご覧ください。
7 罰則の話が出たときに、どう動くか
書面や面談で罰則の話が出たとき、まず申し上げたいのは、それ自体は処分でも告発でもないということです。そのうえで、次の順で確かめることをおすすめしております。
第一に、どの条文の話なのかを書面で確かめることです。29条1項なのか、30条なのか、31条なのかで、構成要件も、主体の範囲も、法定刑も、公訴時効の期間も違います(前記2)。数字だけを言われたときは、どの条文のどの要件に当たるとお考えかを書面でお示しいただきたいと求めてよいと考えております。もっとも、補助金等の交付に関する処分については、行政手続法の理由の提示の規定が適用されません(補助金適正化法24条の2)。理由を示す義務があることを前提に求められるわけではありませんので、期限を切って書面で求め、控えを残しておくことになります。
第二に、どの事実が「偽りその他不正の手段」とされているのかを特定することです。申請時の記載のどの部分か、実績報告の記載のどの部分か、交付要綱・交付規程の手続のどれか。前記5のとおり、要綱・規程の手続に反したというだけでは、29条1項の対象にはならないと考える余地があります。
第三に、交付額の算定が、経費ごと・設備ごと・数量ごとに積み上げられており、不正のない部分だけを取り出せるかどうかを確かめることです(前記4)。取り出せる場合には、その部分について因果関係を否定できる余地があります。他方、実績報告の虚偽が事業の完了そのものに関わり、その報告がなければ額の確定も支払もされなかったという場合には、全額について因果関係が認められています。「その事実がなければ交付を受けられなかった額はどこまでか」という問いの立て方をすると、精算払の補助金では全額という答えに傾きますので、交付規程の額の確定と支払の定めに戻って、どちらの型かを確かめることになります。
第四に、返還の手続と刑事の話とを、書面の上でも分けておくことです。返還の交渉の中で出す書面は、取消しや返還の当否についての主張として書かれるものですが、後になって「不正」を認めた資料として扱われることがありえます。急いで提出する前に、どの事実を認め、どの事実を争うのかを整理しておくことが要になると考えております。
第五に、立入検査(実地検査)への対応です。23条3項は、同条1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないと定めています。もっとも、これは権限の目的を限る規定です。文献は、23条が質問に対する答弁を強制している点について、憲法38条1項の保障が、純然たる刑事手続においてばかりではなく、実質上、刑事責任追求のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続にはひとしく及ぶとした最大判昭和47年11月22日刑集26巻9号554頁を引いたうえで、本法の質問権が刑事手続に係るものでないという理由で黙秘権を保障する憲法に違反することはありえないということはできない、としています(小滝419頁注(2))。他方で、報告をせず、虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁しなかった場合には、罰則の定めがあります(31条3号。前記2)。帳簿書類の提示と事実についての質問には協力したうえで、検査の場で法的な評価についての判断を迫られたときの考え方は、Q&A「補助金の立入検査(実地検査)は犯罪捜査なのか」で述べています。
第六に、記録を残すことです。罰則の話が出たときは、日時、相手方、言われた内容を、その日のうちに書き留めておいてください。後に、どの条文のどの要件が問題にされていたのかを確かめる手がかりになります。
告発と起訴の関係も、押さえておいていただきたいところです。刑事訴訟法239条は、何人でも、犯罪があると思料するときは告発をすることができるとし(1項)、官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発をしなければならないとしています(2項)。告発は、捜査機関に犯罪事実を申告するものであって、処分でも刑罰でもありません。また、同法248条は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができるとしています。告発がされたことと、起訴されることとは、別のことです。
現に捜査が始まっている場合や、告発がされた場合は、刑事事件を扱っておられる弁護士にご相談いただくのが適切です。当職がご一緒できるのは、取消し・返還の側の手続と、そこで出す書面の整理の部分です。この二つは、同じ事実を扱いながら別の土俵で進みますので、どちらの土俵の話をしているのかを、常に分けてお考えいただければと思います。
「不正受給だ」と言われている事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、ご回答や報告書をお出しになる前にご相談ください。お手元の通知書、交付規程、申請書と実績報告の控え、交付する側とのやり取りの記録があれば、どの条文のどの要件が問題にされているのかを具体的に検討できます。なお、当職がお受けするのは取消し・返還の側の手続であり、刑事事件の見通しや刑事弁護は扱っておりません。
根拠(条文・公式資料・裁判例)
- 補助金適正化法29条(1項=「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」。2項=「前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。」)。現行の「拘禁刑」は令和4年法律第68号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)による改正後の文言で、令和7年6月1日施行(e-Gov法令検索・法令ID 330AC0000000179、法令革新ID 330AC0000000179_20250601_504AC0000000068、2026年10月23日閲覧)
- 補助金適正化法30条(11条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する)
- 補助金適正化法31条(各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の罰金に処する。1号=13条2項の規定による命令に違反した者、2号=法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者、3号=23条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者)
- 補助金適正化法32条1項(法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する)
- 補助金適正化法17条1項(取消事由は、①補助金等の他の用途への使用、②交付の決定の内容又はこれに附した条件への違反、③その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分への違反の三つ。「偽りその他不正の手段により交付を受けた」ことは挙げられていません)
- 補助金適正化法18条1項(取消しに係る部分についての返還命令)
- 補助金適正化法23条3項(1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない)
- 補助金適正化法24条の2(補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分については、行政手続法2章及び3章の規定は、適用しない)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構法16条(「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律……の規定(罰則を含む。)は、前条第一項第六号及び第二項第三号の規定により機構が交付する助成金について準用する。」)
- 刑法246条1項(「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。」。e-Gov法令検索・法令ID 140AC0000000045、2026年10月23日閲覧)
- 刑事訴訟法250条2項(人を死亡させた罪であつて拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪についての公訴時効。4号=長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪は七年、5号=長期十年未満の拘禁刑に当たる罪は五年、6号=長期五年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪は三年)、239条(1項=何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。2項=官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない)、248条(犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる)。e-Gov法令検索・法令ID 323AC0000000131、2026年10月23日閲覧
- 最二小決平成21年9月15日刑集63巻7号783頁、判タ1318号127頁、判時2070号160頁(補助金等不正受交付罪は、不正の手段と因果関係のある受交付額について成立し、因果関係については、不正の手段の態様、補助金交付の目的、条件、交付額の算定方法等を考慮して判断すべきであるとしたもの。第一審判決とこれを是認した原判決が交付を受けた補助金全額について成立を認めた点を法令の解釈適用の誤りとしつつ、その誤りは同罪の成否には影響を及ぼさない上、宣告刑も不当とはいえないとして、上告を棄却しています。第一審=名古屋地判平成18年3月27日刑集63巻7号791頁)
- 京都地判平成25年10月10日刑集69巻8号898頁(バイオガス製造設備の一部の設置が完了していないのに完了した旨の内容虚偽の実績報告書を提出して補助金額を確定させ交付を受けた事案で、その提出がなければ完成部分に関するものを含めて一切の補助金が交付されることはなかったとして、交付を受けた補助金全額との間に因果関係が存在するとしたもの。上告審=最二小決平成27年12月14日刑集69巻8号832頁が上告を棄却しています)
- 最二小決平成27年12月14日刑集69巻8号832頁、判タ1422号84頁(補助金の交付を受けるための業務に関し一括して委任を受けた者が32条1項にいう「代理人」に当たるとされた事例。あわせて、同項は事業主の過失の存在を推定した規定と解され、事業主が行為者を現に統制監督しておらず、統制監督すべき関係にもない場合には同項が適用されないこととなるとし、統制監督関係の有無は、事業主から行為者に与えられた権限の性質・内容、行為者の業務履行状況、事業主の関与状況その他の事情を総合して判断すべきであるとしたもの。引用する大法廷判決=最大判昭和32年11月27日刑集11巻12号3113頁)
- 最三小決令和3年6月23日刑集75巻7号641頁、判タ1494号44頁、判時2517号82頁(人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合、当該行為が29条1項違反の罪に該当するとしても、裁判所は当該事実について刑法246条1項を適用することができるとしたもの。原審=高松高判令和2年10月8日刑集75巻7号659頁)
- 東京高判平成28年2月19日(平成27年(う)第1939号)判タ1426号41頁、東京高等裁判所判決時報刑事67巻2頁(障害者ごとに提供された就労継続支援等に関する資料を添付する態様で請求がされ、障害者ごとに審査して金額の算定がされる訓練等給付費について、詐欺罪は内容虚偽の請求と因果関係のある給付費について成立し、交付を受けた給付費全額について成立するものではないとして、原判決を破棄自判したもの。上訴審の帰趨は確認できておりません)
- 広島高判令和4年9月8日(令和4年(う)第28号。判例秘書登載)(会社間の業務委託料の水増し請求による詐欺の事案。平成21年最決について、29条1項違反の罪では詐欺罪とは異なり錯誤が要件とされていない一方で「偽りその他不正の手段」と「補助金等の受交付」との間に因果関係を要するとして、詐欺罪とは構成要件が異なり同列に論じることはできないとしたもの。原判決を破棄自判。上訴審の帰趨は確認できておりません)
- 福島地判令和元年5月10日(平成29年(わ)第133号、同第157号。判例秘書登載)(補助金等不正受交付罪が詐欺罪の特別規定であると解することは相当でないとし、交付を受けた補助金等の全額について欺罔行為との因果関係を認めて詐欺罪の成立を認めたもの。上訴審の帰趨は確認できておりません)
- 秋田地判昭和39年5月13日(昭和34年(わ)第21号)、金沢地判昭和45年3月16日(昭和43年(わ)第7号)。いずれも、補助金等を交付されるべき資格ある事業等について正当な金額の交付を受けた場合は29条1項に含まれないとし、刑事訴訟法336条により無罪を言い渡したもの(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』394〜395頁注(14)・395頁注(15)、同書巻末「二 判例」471頁・482頁)。いずれも坪当たりの単価を基準に算定される公共事業の補助金の事案で、上訴審の帰趨は確認できておりません
- 大阪地判平成17年5月11日(平成16年(わ)第3551号)判時1918号126頁(「両者が不可分であるなど特段の事情がない限り、その超過部分についてのみ」成立するとしたもの)、大阪地判平成17年5月27日(平成16年(わ)第2523号。同じ判例時報1918号に掲載)(「正当に受給すべきであった補助金等の額が可分であれば、当該超過部分についてのみ」成立するとしたもの)。小滝・前掲395〜396頁注(16)。いずれも上訴審の帰趨は確認できておりません
- 小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』(株式会社全国会計職員協会、2016)387頁(29条1項は詐欺罪の特別規定としての意義をもち、2項は背任罪の特別罪たる意義をもつものと解されるとするもの)、392〜393頁(1条の目的規定との関係から29条1項の「不正の手段」を限定的に解釈すべきとし、行政規則に反するだけの手続き違反的なものまで罪責を問う趣旨ではないとするもの)、393頁(「交付を受け」るとは現実の交付を受けることをいい、交付決定通知を受けるのみでは構成要件の充足がないとし、現実の交付は概算払・前金払・精算払のすべてを含むとするもの。相当因果関係・正当な金額・超過部分)、394頁(詐欺罪のような錯誤を要しないこと、注(10)碓井光明『公的資金助成法精義』232頁を「まことに的確な指摘である」とするもの、注(11)甲斐素直「財政法判例研究――補助金等適正化法二九条一項にいう『不正』について」会計と監査64巻9号41頁(2013年9月))、396頁注(17)(宮崎地判平成17年4月28日(平成15年(わ)第300号)が設立認可申請手続と補助金交付申請手続とを一体のものとみて受交付された補助金全額について成立を認め、控訴審・上告審においても支持されたとしつつ、「大いに疑義があるといわざるをえない」「問題であると指摘せざるをえない」とするもの。判決原本には当たれておりません)、419頁(31条の法定刑と、政府原案の懲役刑が国会審議の過程で削除修正された経緯。各号の犯罪の主体は補助事業者等(3号にあっては間接補助事業者等も含まれる。)であり、各号の罪はいずれも身分犯であるとするもの。注(1)虚偽の実績報告を処罰する規定が設けられなかった理由についての安原美穂「いわゆる補助金適正化法について」31頁の説明。注(2)最大判昭和47年11月22日刑集26巻9号554頁を引いて、本法の質問権が刑事手続に係るものでないという理由で黙秘権を保障する憲法に違反することはありえないということはできないとするもの)、420頁(30条・31条各号の主体は補助事業者等又は間接補助事業者等に限定されるが、29条1項の主体はそうではないとするもの)、422〜423頁注(6)(両罰規定と過失責任主義)
※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。
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