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弁護士 岸上大起

「争わずに早く返した方が、延滞金が付かないので得です」と言われたら

このページの結論

交付決定の取消しと返還を求められています。相手方から「争わずに早く返した方が、延滞金が付かないので得です」と言われました。そのとおりなのでしょうか。

延滞金が日数に応じて増え、争っている間も止まらないという部分は、そのとおりです(補助金適正化法19条2項、行政事件訴訟法25条1項)。しかし、その言葉は返還義務があることを前提にした比較であって、取消しが違法であれば、元本も加算金も延滞金も生じません。また、加算金は受領の日から付くものですので、早く返しても消えません。比べるべきは、早く返す額と遅く返す額ではなく、争って覆ったときの額(元本・加算金・延滞金はゼロ)、覆らなかったときの額、争わずに返す額の三つです。

元本1,000万円なら延滞金は1年で約109万5,000円(1日3,000円)です。争うことで増えるのは争った期間の延滞金と自社の弁護士費用、争って覆れば消えるのは元本と加算金と延滞金の全部ですので、覆る見込みで重み付けして決めることになります。納期日(交付規程で命令の日から20日以内が多い)と出訴期間(6か月)の両方を見ながら、確認書・誓約書に署名する前にご相談ください。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 言われる言葉の型

交付決定の取消しと返還の話が進むと、交付する側やその代理人から、次のような言葉が届くことがあります。電話で言われることもあれば、書面に書かれていることもあります。

  • 早く返した方が延滞金が付かないので、その方が有利ではないか、という言い方。
  • 延滞金と訴訟の費用の負担を避けて返す方が得策ではないか、返還を拒むことが得策か考え直してほしい、という言い方。

この言葉には、共通する組み立てがあります。返還義務があることを前提にしています。争った場合に増える負担(延滞金、訴訟の費用)だけを並べています。取消しの理由が正しいのかどうかには触れていません。つまり、「返すことは決まっている。あとは高く返すか安く返すかだ」という枠の中で、安い方を勧める言葉です。

この言葉のうち、延滞金が日数に応じて増えるという部分は、そのとおりです(後記2)。他方で、言われていない部分が二つあります。一つは、取消しが違法であれば、返還義務も延滞金も生じないことです(後記3)。もう一つは、加算金は、争うかどうかにかかわらず、補助金を受け取った日から付いているものであって、早く返しても消えないことです(後記2)。この言葉の型は、延滞金だけを挙げ、加算金には触れていません。

ですから、この言葉に対する答えは、「はい」でも「いいえ」でもなく、「取り消す理由は何か」という問い返しになります。理由が示されていなければ、延滞金の損得を考える前提が、まだ整っていません。取消しをするときに理由を示すことは法律上の義務です(補助金適正化法21条の2)。理由の示し方が不十分な取消しの考え方は、コラム「取消しの処分性と理由付記の不備」で述べています。

2 延滞金は納期日の翌日から日数に応じて増え、争っている間も止まらない

条文の定め

引用(補助金適正化法19条2項)「補助事業者等は、補助金等の返還を命ぜられ、これを納期日までに納付しなかつたときは、政令で定めるところにより、納期日の翌日から納付の日までの日数に応じ、その未納付額につき年十・九五パーセントの割合で計算した延滞金を国に納付しなければならない。」

要件は三つです。補助金等の返還を命ぜられたこと、納期日までに納付しなかったこと、そして、納期日の翌日から納付の日までの日数に応じ、未納付額について年10・95パーセントで計算されることです。「争っている間は止まる」という定めはありません。返還の命令(同法18条1項)には期限が付き、その期限が納期日です。中小機構が交付する補助金(機構法上は助成金)では、中小機構法16条の準用により、この「国」が中小機構と読み替えられます(同法16条)。

この延滞金の性格について、小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』270頁(株式会社全国会計職員協会、2016)は、返還命令を受けた補助事業者等が納期限までに返還納付しなかった場合には、履行遅滞として遅延利息を支払うべきことは当然といえようとしたうえで、一般の遅延利息に比して延滞金が10・95パーセントと高い理由は、公法上の返還債務不履行として十分制裁に値するものと観念されたからであろうとし、延滞金は遅延利息としての性格をもつだけでなく、制裁的賦課金としての性格をあわせ有するものといってよいものと思われると述べています。遅延利息であり、制裁でもある、という位置づけです。

訴えを起こしても、返還命令の効力は残る

取消訴訟を起こせば延滞金が止まる、ということにもなりません。行政事件訴訟法25条1項は、処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げないと定めています。訴えを起こしても返還命令の効力はそのまま残り、納期日はそのまま過ぎ、延滞金は条文どおりに計算されます。裁判の間だけ徴収を止める手続(執行停止)はありますが、それで延滞金まで止まるのかは別の問題で、後記4で述べます。

未納付額の一部を納付したときは、その納付の日の翌日以後の期間については、納付した金額を控除した額が延滞金の計算の基礎になります(補助金適正化法施行令11条)。一部を入れた分だけ、その後の延滞金の増え方は小さくなります。ただし、一部であっても納付は債務の承認として扱われ得ますので、争う意思があるのであれば、文言を添えて行うことになります(後記4・6)。

加算金は、早く返しても消えない

言葉の型は「延滞金」だけを言いますが、取消しに伴う返還には、もう一つ、加算金があります。同法19条1項は、17条1項(又はこれに準ずる他の法律の規定)による処分に関し返還を命ぜられたときは、補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ、年10・95パーセントの加算金を納付しなければならないと定めています。起算点は補助金を受け取った日ですから、返還命令が届いた時点で、既に数年分が積み上がっていることがあります。これは、争うか争わないかで変わるものではありません。早く返しても、受領の日から納付の日までの加算金は付きます。

小滝・前掲272〜273頁は、加算金と延滞金はその性格を異にするものであるから、加算金が付加される補助金等の返還を納期日までに行わなかったときは、当該納期日後に当然に延滞金も付加されることとなり、したがって加算金と延滞金の両者が付されることとなる点に注意すべきであるとし、この場合、延滞金の計算基礎となるのはあくまで補助金等の未納付額であり、加算金を含めた未納付額について延滞金が付されるものでないことはいうまでもないと述べています。延滞金は元本にだけ付き、加算金には付きません。

そうすると、「早く返せば延滞金が付かない」という言葉は、正しくは「早く返しても加算金は付くが、延滞金だけは付かない」ということです。加算金がどの取消しに付き、どの取消しに付かないかは、Q&A「加算金が付く場合と付かない場合がある」で整理しています。

中央会・事務局が交付主体の補助金では、交付規程の定めによる

補助金適正化法19条が直接に及ぶのは、同法が適用又は準用される補助金です。全国中小企業団体中央会や事務局が交付主体となる補助金では、延滞金・加算金の定めは、その補助金の交付規程・交付要領に置かれています。交付規程の冒頭に、補助金の交付は適正化法及びその他の法令の定めによるほかこの規程で定めるところによる、と書かれていることがありますが、19条の名宛人は国(又は中小機構)から補助金等の交付を受けた補助事業者等であり、中央会・事務局から交付を受ける事業者は、法律上はその先にいる間接補助事業者等です。交付規程にそう書かれていることで、事業者が19条の名宛人になるわけではないと考えております。一例として、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金交付規程(令和2年3月9日制定、令和5年6月8日最終改訂)は、次のように定めています。この版の後に改訂されている可能性がありますので、お手元の版でお確かめください。

16条3項は、額の確定によって超過交付分の返還を命ずる場合(16条2項)についての定めですが、取消しに伴う返還にも、19条4項により準用されます。

引用(同交付規程16条3項)「前項の補助金の返還期限は、当該命令のなされた日から20日以内とし、期限内に納付がない場合には、未納に係る金額に対して、その未納に係る期間に応じて年利10.95パーセントの割合で計算した延滞金を徴するものとする。」
引用(同交付規程19条3項・4項)「3 全国中央会は、前項の返還を命ずる場合には、第1項第4号に規定する場合を除き、その命令に係る補助金の受領の日から納付の日までの期間に応じて、年利10.95パーセントの割合で計算した加算金の納付を併せて命ずるものとする。
4 第2項に基づく補助金の返還については、第16条第3項の規定を準用する。」

期限は命令の日から20日以内、延滞金は未納の期間に応じて年10・95パーセント、加算金は受領の日から、という組み立ては、法律と同じです。ただし、19条1項4号(交付の決定後に生じた事情の変更等により補助事業を継続する必要がなくなった場合)による取消しには加算金が付かないという、法律にない除外が置かれています。交付規程は補助金・版ごとに条数と文言が違いますので、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でお確かめください。この類型では、返還命令が行政処分に当たるかどうか(取消訴訟の対象になるか、民事訴訟で争うか)という入口の問題が別にあり、コラム「従来のものづくり補助金の交付決定の取消し・返還請求は、取消訴訟で争えるのか」で述べています。争う形が変わっても、延滞金が日数で増えることと、取消しが違法なら払わなくてよいことは変わりません。

3 取消しが違法なら、返還義務も延滞金も生じない

19条2項は、「補助金等の返還を命ぜられ」たことを延滞金の要件にしています。返還の命令は、交付決定の取消しがされた場合にされるものです(18条1項)。並べると、取消し→返還の命令→(納期日を過ぎれば)延滞金、という連なりです。延滞金は、この連なりの末端にあります。

取消しが取消訴訟で取り消されれば、処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束します(行政事件訴訟法33条1項)。交付決定が存在する状態に戻り、返還の命令はその前提を失います。ただし、返還の命令は、交付決定の取消しとは別の処分です。取消しだけを訴えて勝っても、返還の命令が自動的に消えるわけではなく、こちらが取消しを求めていなければ、その命令が確定したものとして扱われるおそれがあります。ですから、取消訴訟では、交付決定の取消しと返還の命令の双方を対象にするのが通常です。取消判決が出れば、拘束力により、返還の命令も取り消されるべきことになります。双方を対象にすれば、返還を命ぜられたという要件がなくなる以上、延滞金も、加算金も、生じないことになると考えております。加算金について同じことを、Q&A「加算金・延滞金は払うのか」の5で述べています。争う対象を一つに絞らないという考え方は、財産処分の承認と納付命令の場面について、Q&A「納付命令だけを争えるのか」の5でも述べています。全部の取消しが一部にとどまるべきであったとされる場合も、返還を命ぜられる額が減りますので、延滞金の計算の基礎となる未納付額も減ります。

ここが、言葉の型が触れていない部分です。「延滞金が付かないので得だ」という比較は、返還義務があることを前提に、争った場合と争わない場合の支払額を比べたものです。しかし、争う側が見ているのは、返還義務そのものがあるかどうかです。取消しが違法であれば、元本も加算金も延滞金も、払うものはありません。比べるべきなのは、「早く返した額」と「遅く返した額」ではなく、「争って覆ったときの額(元本・加算金・延滞金はゼロ。自社の弁護士費用は残ります)」と「争って覆らなかったときの額(元本+加算金+延滞金)」と「争わずに返す額(元本+加算金)」の三つです。この三つを、覆る見込みの大きさで重み付けして比べることになります(後記5)。

取消しが違法かどうかの入口は、取消事由が補助金適正化法17条1項の三つに限られること、取消しには裁量の逸脱があり得ること、理由の提示が義務づけられていることです。それぞれ、「交付決定の取消し・返還請求」、Q&A「取消しに裁量はあるのか」で述べています。

4 執行停止という別の手当てと、「払ってから争う」という選択肢

執行停止で止まるのは徴収で、延滞金とは別の問題

争っている間の差押えを止める手続として、執行停止(行政事件訴訟法25条2項)があります。取消訴訟を起こしたうえで、重大な損害を避けるため緊急の必要があることを疎明(証明より緩やかな程度の裏付け)して、裁判所に申し立てるものです。要件と段取りは、前記のQ&A「支払を止めたまま争うことはできるのか(執行停止)」で述べています。

ただし、執行停止で止まるのは、決定の主文に書かれた範囲だけです。しかも、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができません(同条2項ただし書)。返還命令の執行(国税滞納処分の例による徴収)の停止にとどまる場合、返還命令そのものの効力は残りますので、停止の間も延滞金が計算上は積み上がり続ける可能性があります。この点は、同Q&Aの5で述べています。執行停止は、差押えから事業を守る手当てであって、延滞金を止める手当てではない、と考えておいていただくのが安全です。

納付してから争う

延滞金を止める方法として、もう一つ、納期日までに納付したうえで、取消しを争うという選択肢があります。納付すれば未納付額がなくなりますので、延滞金は生じません。資金に余裕があり、延滞金の負担を避けたい場合には、この形を検討することになります。

この場合、納付したことによって取消訴訟を起こす利益がなくなるわけではないと考える余地があります。取消判決が出て返還命令も取り消されれば、納付した金銭は返してもらうべきものになりますので、争う実益は残るからです。また、返還命令は取り消されない限り効力があるものとして扱われますので(いわゆる公定力)、その命令に従って納付したことが、取消しの違法を認めたことにはならないと考える余地があります。

もっとも、納付は、一部であっても、債務の承認として扱われ得ます。争う意思があるのであれば、納付の際に、納付義務の存否及び金額についての当方の主張を妨げるものではない旨を書面で添えておくことになります。承認の考え方と文言の書き方は、Q&A「行政や事務局のメールに『承知しました』と返す前に」の5で述べています。納付の際に「返還に異議がない」といった文言の書面を添えることを求められることもあり、そのような書面に署名すれば話が変わり得ます(後記6)。納付する場合も、文言を確かめてからにしてください。

次のような場合は、お返事をされる前にご相談ください

  • 「早く返した方が延滞金が付かず得だ」と、電話や書面で言われている
  • 返還命令の納期日が迫っており、争うか払うかを決めかねている
  • 分割納付や猶予と引き換えに、確認書・誓約書への署名を求められている
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

あわせてご覧ください: 支払を止めたまま争うことはできるのか(執行停止)(Q&A)/加算金・延滞金は払うのか(Q&A)

5 数字で並べて決める――元本・率・期間・見込み

「得かどうか」は、言葉ではなく数字で決めることです。並べるものは四つです。返還を命ぜられた元本、率(年10・95パーセント)、争う期間、そして覆る見込みです。

延滞金の増え方

元本1,000万円であれば、延滞金は1年で109万5,000円、1日あたり3,000円です(1,000万円×10・95パーセント÷365日)。2年で219万円になります。元本が500万円なら、その半分です。争う期間は事案によって違い、第一審だけで年単位になることもありますので、まず「1年で元本の約11パーセント」と覚えておいていただくと、見通しが立てやすくなります。

争うことで増えるもの、消え得るもの

  • 争うことで増えるのは、争った期間の延滞金と、自社の弁護士費用です。加算金は、争わなくても同じだけ付きますので、争うことによる増加分ではありません。
  • 争って覆れば消えるのは、元本と加算金と延滞金の全部です。一部の取消しにとどまるべきであったとされれば、その分だけ減ります。
  • 争って覆らなければ、元本と加算金に加えて、争った期間の延滞金を払うことになります。

言葉の型にある「争訟費用」についても、中身を分けておきます。訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とされています(民事訴訟法61条。行政事件訴訟法7条により行政事件訴訟にも及びます)。ここでいう訴訟費用は、訴えを起こすときに裁判所に納める手数料などであり、弁護士費用は含まれません。勝てば、訴訟費用は相手方の負担になります。負けた場合に負担するのは、自社の訴訟費用と自社の弁護士費用であり、相手方の弁護士費用を負担することは、通常ありません。「争訟費用の負担」という言葉から、相手方の弁護士費用まで背負わされると受け取る必要はありません。

見込みで重み付けする

そうすると、決め方は次のようになります。覆る見込みが相応にあり、元本(と加算金)が大きいのであれば、争った期間の延滞金と弁護士費用を上回る期待値がありますので、争うことになります。覆る見込みが小さく、元本が小さいのであれば、延滞金と弁護士費用の方が大きくなりますので、返すことになります。どちらとも言えないときは、取消しの理由がどの程度示されているか、取消事由に当たる事実があるのか、裁量の逸脱と言える事情があるのかを、資料に当たって見積もることになります。「覆る見込み」は、取消しの通知の理由、交付規程、実績報告・事業化状況報告、やり取りの記録を読んで初めて数字になります。

また、考える時間には限りがあります。取消訴訟は、処分があったことを知った日から6か月を過ぎると、正当な理由がない限り提起できません(行政事件訴訟法14条1項)。納期日は、交付規程で命令の日から20日以内とされていることが多く、出訴期間よりずっと早く来ます。延滞金の損得を考えている間に、争う期間の方が先に終わることのないよう、両方の日付を並べて見てください。6か月を過ぎてしまった場合の考え方は、Q&A「交付決定の取消しから6か月を過ぎたら、取消訴訟は起こせないのか」で述べています。

なお、争って覆らなかった場合の延滞金について、やむを得ない事情があると認めるときに全部又は一部を免除する定めがあります(補助金適正化法19条3項)。免除は補助事業者等の申請によって始まる仕組みですが、争っていたこと自体がやむを得ない事情に当たるとは限りませんので、免除を当てにして期間を見積もることはお勧めしません。免除の手続は、Q&A「加算金・延滞金は払うのか」の6で述べています。

6 書面に署名する前に

「早く返した方が得だ」という言葉の後には、確認書、誓約書、分割納付の申出書といった書面が続くことがあります。延滞金の損得とは別に、ここで一度立ち止まってください。

  • 債務を認める文言が入っていないか。「返還義務があることを確認する」「返還に異議がない」「取消しの理由を了承した」といった文言に署名すると、後に取消しの違法を主張する場面で不利に働く余地があります。署名が債務の承認に当たること、添えるべき文言は、前記のQ&A「行政や事務局のメールに『承知しました』と返す前に」の5で、分割納付の取決めや残額の確認書については、前記のQ&A「返還命令を放っておくとどうなるのか」の6で述べています。
  • 分割や猶予と引き換えになっていないか。法律上、返還の期限の延長や返還命令の一部の取消しの定めは、17条2項(間接補助金等に関する取消し)に係る返還命令についてのものであり、17条1項による取消しに係る返還命令には対応する定めがありません(18条3項)。分割や猶予は、法律上の権利ではなく、交付する側との取決めによることになりますので、その取決めの書面に何が書かれているかが、そのまま効いてきます。
  • 電話で言われたことは、書面で求める。「早く返した方が得だ」という言葉が電話で来たときは、取消しの理由と、延滞金・加算金の計算の根拠を書面で示すよう求めてください。電話の内容は、日時・相手・内容をその場で記録に残します。記録の残し方は、Q&A「事務局とのやり取りが申請システムの中にしかない――記録はどう残すのか」で述べています。
  • 署名を求められたら、文言を持って相談する。書面の文言を見れば、争う途にどう影響するかが分かります。署名した後では、その文言を前提に進めるほかなくなります。

申し上げたいことは一つです。「延滞金が付かないので得だ」という言葉は、返還義務があることを前提にした比較であって、返還義務があるかどうかの答えではありません。延滞金は日数で増えますが、取消しが違法なら一円も生じません。元本、率、期間、覆る見込みを数字で並べ、納期日と出訴期間の両方を見ながら、争うか、払ってから争うか、返すかを決めてください。返還を求められたときの対応の順序は、返還・残存簿価の返納を求められたらのページで述べています。

「早く返した方が延滞金が付かず得だ」と言われている事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、お返事や署名をされる前にご相談ください。取消しの通知、返還命令、交付規程、補助金の入金の記録があれば、元本・加算金・延滞金の見積りと、取消しの理由に争う余地があるかの検討を、数字で並べてお示しできます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

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※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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