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弁護士 岸上大起

事務局や自治体から照会(質問状)が届いた――回答書・意見書には何を書くのか

このページの結論

事務局・中小機構・自治体から、報告した内容と実際が違うのではないかという照会(質問状)が届きました。「いつ分かったのか」「なぜ報告しなかったのか」「誰が書類を作ったのか」といった質問が番号で並んでいて、期限は「○月○日を目途に」とされています。回答書には何を書けばよいのでしょうか。

聞かれている事実には、聞かれた順に、短く正確に答え、説明を足しすぎないでください。そのうえで、その事実を前提にすれば、適用される法律や交付規則・交付規程・交付要綱のどの定めでどう処理されるべきかという結論まで、こちらから書きます。取消しに伴う返還なのか財産処分に伴う納付なのか、どの算式によるのか、加算金は付くのかという法的根拠の特定を求め、主たる主張と予備的な主張を段階を分けて置き、加算金の免除、納付条件の上申、記録の開示と検討期間の確保までを一通に入れます。

制度運用の公平性への疑義、遺憾である旨の表明、面談や協議の要求は、処分を止める力を持ちません。国と中小機構の補助金には行政手続法の第2章・第3章が適用されず(補助金適正化法24条の2)、自治体の補助金はそもそも同法の外にあって、その自治体の交付規則・交付要綱と行政手続条例の世界です。期限が「目途」とされているときは、期限が来る前に、事実関係の確認に時間を要していることを示し、回答の日付をこちらから示して延長を求めます。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

1 照会(質問状)とは何か――まだ処分は出ていない

交付決定の後、事務局・中小機構・自治体から、「次の点について回答してください」という書面が届くことがあります。表題は「照会」「質問状」「事実確認のお願い」「意見及び資料の提出について」など、交付する側によって異なります。実績報告や事業化状況報告の内容と、あとで分かった事実とが食い違っている、というきっかけが多いところです。計画に書いた時期と実際の時期がずれていた、取得した財産の状況が報告と違っていた、といった場面です。

この書面が届いた時点では、交付決定の取消しも、返還の命令も、納付の命令も、まだ出ていません。交付する側は、処分をするかどうか、するとしてどの範囲でするかを決めるために、事実を集めている段階です。ここで何をどう書くかで、その後に出る処分の有無と範囲が変わり得ます。取消しを予定する旨が書かれた「事前通知」が届いた場合の読み方は、Q&A「交付決定取消しの事前通知が届いたら」で述べています。本ページは、その一つ前の段階、処分の予定がまだ示されておらず、事実を尋ねられている段階の回答書・意見書の書き方を扱います。

答える義務はあるのか

国が交付する補助金と、中小機構が交付する補助金については、照会の根拠は補助金適正化法23条1項の報告徴収です(中小機構については、中小機構法16条による準用です。後記4)。

引用(補助金適正化法23条1項)「各省各庁の長は、補助金等に係る予算の執行の適正を期するため必要があるときは、補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して報告をさせ、又は当該職員にその事務所、事業場等に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」

この報告をしなかった者、虚偽の報告をした者(検査を拒んだ者、質問に答弁しなかった者も同じです)には、三万円以下の罰金の定めがあり(同法31条3号)、報告をしないこと自体が、法令違反として17条1項の取消事由に当たるとされ得ます。中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程(令和3年6月15日規程令3第13号。規程令7第5号による改正までのもの)も、20条で、中小機構が補助事業に関し報告を求めることができ、「この場合において、補助事業者は協力するものとする」と定め、31条2項で「中小機構は、補助事業者に対し、本規程に定めるもののほか、必要と認める書類の提出を求めることができる」と定めています。照会に答えないという選択肢は、ないと考えていただくのがよいところです。

他方で、報告徴収の権限には限度があり、交付規程の協力義務も、その限度を超えるものではありません。解説書は、報告徴収の権限について「極めて強制的色彩の強いものであるだけに、その運用にあたっては十分な配慮が必要と思われる。事務の効率性の観点からいっても、不必要に詳細なデータを徴収することは避けるべきであろう」と述べています(小滝敏之『補助金適正化法解説〔全訂新版(増補第2版)〕-補助金行政の法理と実務-』312頁(株式会社全国会計職員協会、2016))。求められた資料のうち、どこまで出さなければならないのかは、コラム「行政から求められた資料は、どこまで出さなければならないのか」で述べています。本ページは、資料の範囲ではなく、回答書の中身の組み立てを扱います。

2 何を書くか――事実は短く、結論まで書く

照会に対する回答書で押さえておきたいのは、次の二つです。一つ目は、聞かれている事実には短く正確に答え、説明を足しすぎないことです。二つ目は、その事実を前提にすれば、適用される法律や交付規則・交付規程・交付要綱のどの定めによって、どう処理されるべきかという結論まで、こちらから書くことです。前者だけでは、処理の仕方を相手に委ねることになります。後者だけでは、事実を隠しているように読まれます。

(1)事実は、聞かれたことに、聞かれた順で

質問が番号で並んでいれば、同じ番号で、同じ順に答えます。「いつ分かったのか」と聞かれていれば日付を、「なぜ報告しなかったのか」と聞かれていれば、その時点で何をどう認識していたのかを書きます。経緯は、日付・出席者・文書の名称が分かる形で、時系列に並べます。事実を書くときに、評価や弁解を混ぜないことが大切です。「報告が遅れたのは事実である。もっとも、その時点では承認を要する事案だという認識がなかった」というように、事実の文と評価の文を分けて書きます。

聞かれていないことを足す必要はありません。ただし、聞かれていないことでも、回答書の中で事実関係を補足しておかなければ、相手が誤った前提で処理に進んでしまう、ということはあります。計画と実績がずれた経緯のうち、こちらに不正の意図がなかったことを示す事情がそれです。申請の時点ではそのとおり実行する予定であり、その後に事情が変わった、という流れが分かる事実は、聞かれていなくても補足しておくことになります。

(2)法的根拠の特定を求める

照会の書面には、尋ねている事実は書かれていても、その事実があった場合にどの定めでどう処理するつもりなのかが書かれていないことがあります。そこで、回答書の中で、次の点を明らかにするよう求めておきます(訴訟で用いる求釈明と同じ考え方です)。

  • 予定されているのが、交付決定の取消しとそれに伴う返還なのか、財産処分の承認に伴う納付なのか。どちらの枠組みで処理するかによって、金額も、加算金の有無も変わります。
  • 返還額・納付額を算出する場合、どの算式によるのか。交付決定通知書に記載された算式か、別の基準か。
  • 加算金(自治体の補助金では「違約加算金」)が付くのか付かないのか。付くとすればどの定めに基づくのか。

これを求めておく意味は、二つあります。一つは、相手が枠組みを決めないまま金額の話だけを進めることを止めることです。取消しに伴う返還であれば、国の補助金なら補助金適正化法19条1項の加算金が、自治体の補助金なら交付規則・交付要綱が定める違約加算金が付き得ます。財産処分の承認に伴う納付であれば、これらは付きません。相手の側で枠組みが決まっていない事案では、枠組みの特定を求めること自体が、こちらに有利な枠組みへ処理を向かわせる働きをすることがあります。もう一つは、後に処分が出たとき、処分の理由がそれまでの説明と違っていれば、そのことを指摘できるようにしておくことです。国の補助金では、交付決定の取消しをするときに理由を示すことは法律上の義務です(同法21条の2)。

(3)主たる主張と予備的な主張を、段階を分けて書く

事実を前提に、こちらの考える処理を書くときは、一つの主張だけを書くのではなく、段階を分けて書きます。たとえば、次のような組み立てです。

  • 主たる主張。国・中小機構の補助金であれば、この事実は、補助金適正化法17条1項が定める三つの取消事由のどれにも当たらない(交付規程は交付主体が自ら定めた内部的な規範であって、法令ではありません。Q&A「交付規程に違反したと言われたら」)。自治体の補助金であれば、交付規則・交付要綱の定める取消事由に当たらない。又は、当たるとしても、取消しではなく、承認に伴う納付の枠組みで処理されるべきものである。
  • 予備的な主張その1。仮に取消しの枠組みによるとしても、取り消されるのは一部にとどまる。ずれが生じた部分に対応する額だけが対象であり、全部の取消しには当たらない。補助金適正化法17条1項は交付決定の「全部又は一部を取り消すことができる」と定め、中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程22条1項も「全部若しくは一部を取り消し、又は変更することができる」と定めています。自治体の交付規則・交付要綱にも、同じ型の定めが置かれています。
  • 予備的な主張その2。仮に返還額・納付額を算出するとしても、算式はこうであり、控除すべき費用はこれである。

段階を分けて書くことは、主たる主張に自信がないことを示すものではありません。相手が主たる主張を採らなかった場合に、次の段階で止まる場所をこちらから示しておく、という意味です。取消しに裁量があること、形式的な違反があっても全部の取消しにはならないことは、Q&A「補助金の交付決定の取消しに裁量はあるのか」と「形式的な違反があれば、交付決定は全部取り消されるのか」で述べています。

(4)加算金の免除、納付条件の上申

加算金・違約加算金には、免除の定めが置かれていることがあります。国の補助金では補助金適正化法19条3項が「やむを得ない事情があると認めるときは」加算金又は延滞金の全部又は一部を免除することができると定め、自治体の補助金では交付規則・交付要綱に同じ趣旨の定めが置かれています。中小機構の補助金では、交付規程が、加算金を併せて命じない場合を列挙しています(新市場進出の交付規程22条3項。補助事業の中止・廃止の申請を承認した場合などです)ので、免除の申出より先に、その類型に当たらないかを書きます。免除の定めがあるのに申し出ていなければ、相手が自ら検討してくれることは期待できません。回答書の中で、免除事由に当たる事情を、事実に即して書いておきます。加算金の仕組みは、Q&A「補助金の返還を求められたら、加算金・延滞金は払うのか」で述べています。

返還又は納付が避けられない見込みのときは、分割納付・納期限についての上申も、回答書に入れておきます。処分が出てから申し出るより、処分の内容を決める前に申し出ておく方が、相手の側で織り込みやすいからです。

(5)記録の開示と検討期間の確保

照会に至るまでに、面談や電話でのやり取りがあったときは、相手の側の面談記録・内部の検討資料の開示を求めておきます。こちらの記憶と相手の記録が食い違う点があれば、それを突き合わせたうえで回答する必要があるからです。開示を求めるときは、「開示を受けたうえで回答するため、検討の期間を確保してほしい」という形で、期限の延長とセットにして求めます。任意の開示に応じてもらえないときに、情報公開の手続に乗せ替える道があることは、Q&A「理由開示及び異議申立は一切受け付けておりません」と書かれていたらと「書面を出したのに、返事が来ないとき」で述べています。

次のような場合は、回答書をお出しになる前にご相談ください

  • 事務局・中小機構・自治体から、事実関係についての照会・質問状が届いた
  • 回答の期限が迫っていて、事実の確認が終わっていない
  • 照会の中で「返還」「取消し」という言葉が出ているが、根拠は示されていない
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 交付決定取消しの事前通知が届いたら(Q&A)/求められた資料はどこまで出すのか(コラム)

3 何を書かないか

回答書に書きたくなるものの、処分を止める力を持たないものがあります。書いても損はないように見えますが、根拠のない指摘を一つ混ぜると、同じ書面にある根拠のある指摘まで軽く扱われます。

  • 制度運用の公平性への疑義。「ほかの事業者も同じことをしている」「運用が不公平だ」という指摘は、こちらの事実が取消事由に当たるかどうかの判断を動かしません。
  • 遺憾である旨の表明。相手の対応への不満を書いても、処分の有無と範囲は変わりません。
  • 面談や協議の要求を、回答に代えること。面談を求めること自体は構いませんが、回答書は回答書として出します。「面談の場で説明する」として書面での回答を留保すると、期限内に回答がなかったという扱いを受けます。
  • 個人の責任に落とす答え方。「誰がその書類を作ったのか」「誰がいつ気づいたのか」という問いがあっても、答えるのは補助事業者である法人です。特定の役員や従業員の氏名を挙げて、その人の判断の誤りとして説明する必要はありません。法人の名で、法人としての認識と経緯を答えれば足ります。書面による報告を求める照会について、個人を特定して答えさせる根拠があるわけではありません(補助金適正化法23条1項の報告の相手方は「補助事業者等」です。立入検査の場で関係者が質問を受けること(同項後段)は、別の問題です)。
  • 取消しの枠組みを、こちらから持ち出すこと。相手が「納付」の枠組みで話を進めているときに、こちらが「取消し」を前提にした反論を書けば、相手に取消しの枠組みを思い出させることになります。どちらの枠組みかを尋ねる(前記2(2))のと、こちらから取消しを前提に論じるのとは、別のことです。

事実を認めるときの書き方にも注意が要ります。「報告が間違っていた」という事実を認めることと、「返還義務がある」「取消事由に当たる」という評価を認めることとは、別です。事実は認め、評価は留保する、という書き分けを一文ごとに意識してください。取消事由の中には「不正、怠慢、その他不適当な行為」(新市場進出の交付規程22条1項3号)のように評価を含む要件もありますので、どの事実をどう認めるかは、その要件への当てはめを見ながら選びます。電話で「はい」と答えたことが後に効いてくる場面があることは、Q&A「事務局や中小機構から電話がかかってくる」で述べています。

4 国の補助金と自治体の補助金で、手続の根拠が違う

回答書に「行政手続法に基づく弁明の機会を求める」と書きたくなることがありますが、国と中小機構の補助金については、この書き方はできません。補助金等の交付に関する処分には、行政手続法の第2章(申請に対する処分)と第3章(不利益処分)が適用されないと定められているからです(補助金適正化法24条の2)。

引用(補助金適正化法24条の2)「補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。」

中小機構が交付する補助金には、中小機構法16条により補助金適正化法が準用されますので、この適用除外も及びます。ここでいう「交付に関する処分」には、交付決定だけでなく、交付決定の取消しや返還の命令も含まれると解されています。同法25条1項が、地方公共団体による不服の申出の対象として「補助金等の交付の決定、補助金等の交付の決定の取消、補助金等の返還の命令その他補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分」と例示しているからです(小滝・前掲327頁。同書324〜325頁は、25条の例示との対比から「交付の決定」処分のみを意味すると解される余地があることを解釈論的な疑義として指摘し、そのような規定の仕方は「極めて問題」であるとしつつ、解釈論としては25条の例示と「何ら異同はない」とします)。したがって、照会への回答は、法律が義務づけた弁明の手続ではなく、交付する側が自ら設けた事実確認の手続として位置づけられます。この点は、Q&A「交付決定取消しの事前通知が届いたら」で述べたことと同じです。なお、交付決定通知書の主語が事務局である補助金については、本ページでは扱いません。

これに対し、都道府県や市町村が単独で交付する補助金には、そもそも補助金適正化法が適用されません。同法は、国が交付する補助金等についての法律だからです。自治体の補助金を動かしているのは、その自治体の補助金等交付規則と、補助金ごとの交付要綱、そして交付決定通知書に付された条件です。たとえば、東京都のある補助金の交付要綱は、第1で「東京都補助金等交付規則(昭和37年東京都規則第141号)及び東京都補助金等交付規則の施行について(昭和37年12月11日37財主調発第20号)に定めるもののほか、この要綱の定めるところによる」としています。手続の根拠を探す場所も変わります。自治体の機関がする処分で、根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものには、行政手続法の第2章から第6章までが適用されず(行政手続法3条3項)、各自治体は行政手続条例を置いています。補助金等交付規則に根拠を置く取消しについて、理由の提示や意見陳述の機会を求めるときの根拠は、行政手続法ではなく、その自治体の行政手続条例と、補助金等交付規則そのものに探すことになります。もっとも、交付の根拠が要綱だけに置かれている補助金では、3条3項の適用除外に当たらず、行政手続法の理由の提示・弁明の機会の定めが及ぶと考える余地があります。この違いの全体像は、コラム「県や市の補助金の取消し・返還は、国の補助金と何が違うのか」で述べています。

5 追加の照会が来たら――取消しの理由が絞られてきた現れ

最初の照会に回答すると、その回答を踏まえた追加の照会が届くことがあります。最初の照会が「いつ、何があったのか」という事実全般を尋ねるものであったのに対し、追加の照会は、「○月の時点で把握していたのであれば、なぜその時点で報告しなかったのか」「その費用は、どの財産の撤去に要したものか」というように、特定の事実に絞られていることが多いところです。

これは、相手の側で、どの事実を取消事由又は納付の根拠として組み立てるかが絞られてきた、という現れです。追加で聞かれている事実が、相手の考えている処理の中心になります。追加の照会への回答は、最初の回答と矛盾しないように、最初の回答の控えを横に置いて書きます。回答のたびに新しい経緯を足していくと、どこかで前の回答と食い違い、その食い違い自体が「虚偽の報告」として扱われるおそれがあります。

逆に、追加の照会が、相手の整理の誤りを示していることもあります。最初の回答で「取消しではなく納付の枠組みで処理されるべきだ」と書いたのに、追加の照会が取消しを前提にした問いになっていれば、こちらの主たる主張が採られていないことが分かります。その場合は、追加の照会への回答の冒頭で、改めて枠組みの特定を求めたうえで、問いに答えることになります。追加の照会にも期限が付きます。期限の数え方と延長の求め方は、次の6で述べます。

6 期限が「目途」とされているとき――延長の申入れ

照会の書面には、「○月○日までにご回答ください」と日付で期限が書かれているものと、「○月○日を目途に」「1か月程度を目途に」と幅をもたせた書き方のものがあります。「目途」と書かれていても、過ぎてよい期限ではありません。相手の側では、その日を基準に次の手続に進みます。

他方で、「目途」と書かれている期限は、延長の申入れを受け入れる余地があることを、相手の側が示しているものでもあります。事実の確認に時間を要しているときは、期限が来る前に、延長を書面で求めます。書く内容は、次の三つで足ります。

  • 正確な事実関係の把握と、関係者からの聞き取りに時間を要していること。回答の内容を正確にするために必要な時間である、という理由です。
  • いつまでに回答するか。「1週間」「○月○日まで」と、こちらから日付を示します。「情報が集まり次第」という書き方は、期限を切ったことになりません。
  • (相手の記録の開示を求めているときは)開示を受けてから回答するため、開示後の検討期間を確保してほしいこと。

延長の申入れは、短くて構いません。理由を長く書くと、その理由自体が回答の一部として読まれます。また、延長を求めたことで印象が悪くなるのではないか、という心配をされる方がいますが、期限を過ぎて黙っていることの方が、相手の側の記録に「期限内に回答なし」として残ります。延長を求める書面は、それ自体が「対応している」という記録になります。なお、照会への回答と、処分を争う期限とは別のものです。回答を待ってもらっている間も、既に出ている処分があれば、その出訴期間は進みます(行政事件訴訟法14条1項)。6か月を過ぎた場合の「正当な理由」のただし書については、Q&A「交付決定の取消しから6か月を過ぎたら、取消訴訟は起こせないのか」で述べています。

7 どう動くか――回答書を出すまでの順番

  • 照会の書面を読み、期限(日付か「目途」か)、尋ねられている事実(番号)、根拠として挙げられている条文・条項、「取消し」「返還」「納付」のどの言葉が使われているかを書き出す。
  • 交付決定通知書の主語を確かめ、国・中小機構・事務局・自治体のどれかを特定する(前記4)。それによって、引く条文と手続の根拠が決まります。
  • 事実を集める。申請書・計画書・実績報告・事業化状況報告の控え、支払の記録、相手とのやり取り(メール・面談の記録・電話のメモ)。社内の記録は、日付の入った原本の形で保全しておきます。記録の残し方は、Q&A「事務局とのやり取りが申請システムの中にしかない」で述べています。
  • 期限までに事実の確認が終わらないときは、期限が来る前に、延長を書面で求める(前記6)。
  • 回答書を組み立てる。経緯の時系列、聞かれた事実への回答、法的根拠の特定を求めること、主たる主張と予備的な主張、加算金の免除、納付条件の上申、記録の開示と検討期間の確保(前記2)。書かないものを落とす(前記3)。
  • 法人の名で出す。到達の日が分かる方法(配達証明、送信記録の残るメール、申請システムの提出記録)で出し、控えを残す。
  • 追加の照会が来たら、最初の回答の控えを横に置いて、矛盾しないように答える(前記5)。

照会の段階は、処分の内容がまだ決まっていない段階です。ここで出した回答書は、処分が出た後に争うことになった場合にも、こちらが何を認め、何を認めず、どの枠組みでの処理を求めたのかを示す資料として残ります。処分が出る前に止められる可能性と、処分が出た後の土台の両方を、同じ一通で作ることになります。

事務局・中小機構・自治体から照会や質問状を受け取った事業者の方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、回答書をお出しになる前にご相談ください。届いた照会の書面、交付決定通知書と交付規程・交付要綱、申請書・実績報告・事業化状況報告の控え、相手とのやり取りの記録があれば、回答書の組み立てまで具体的な検討ができます。期限が迫っている場合は、延長の申入れから着手します。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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