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弁護士 岸上大起

財産処分の承認通知書が届かないまま、いきなり納付命令が来た――何がいつ決まったのか

このページの結論

補助金で取得した設備を処分制限期間の途中で手放すことになり、財産処分の承認申請書を出しました。承認したという通知は届かないまま、残存簿価相当額を納付せよという通知書だけが届きました。承認されたのかどうか、いつ承認されたのか、納付の義務がいつ生じたのかが分かりません。この通知書は何なのでしょうか。

交付規程は、様式第12-1による承認申請をした場合について、承認申請書、承認通知書(様式第12-2)、財産処分報告書(様式第12-3)という順序を定め、納付通知書(様式第12-5)は別の項に「納付させることができる」という形で置いています。承認通知書が交付されないまま納付通知書だけが届く運用では、事業者は、承認の有無・日付・附款の内容を知らされないまま、納付義務の有無と金額を納付通知書で初めて知ることになります。その納付通知書は、承認に付されるべき負担の内容を確定して告知した行為として、それ自体を取消訴訟の対象にすると考える余地があります。

最高裁判所判例解説民事篇(令和3年度)は、承認の附款に金額の特定がなくても納付義務は課され、後の納付の求めは履行を求めるにすぎず処分ではないとしますが、それは承認と附款の存在が事業者に告げられていた事案についてのものです。許可に後れて金額が通知された事案で、後から届いた通知を附款を確定する行政処分とした東京高判平成31年3月7日と同じ構造にあります。もっとも確立した見方ではありませんので、承認と納付通知書の両方を対象にし、納付義務の不存在確認を併せておく組み方になります。

執筆 補助金に関する紛争・法律問題を主に取り扱う弁護士 岸上 大起(埼玉弁護士会・登録番号63780)

補助金で取得した設備を処分制限期間の途中で手放すことになり、財産処分の承認申請書を出した。その後、承認したという通知は届かないまま、ある日、残存簿価相当額を納付せよという通知書だけが届いた。承認されたのかどうか、いつ承認されたのか、納付の義務がどの時点で生じたのか、何も知らされないまま、金額と期限だけが示されている。そのような相談を受けることがあります。

このページは、「承認通知書が交付されていない」という順序の問題だけを扱います。納付命令が承認の附款(負担)であることと、附款の限界については、コラム「残存簿価相当額を納付しなければならないのか」で、納付命令を承認と別に争えるかについては、Q&A「納付命令だけを争えるのか」で述べています。重なる説明は繰り返しません。以下、交付規程の条数・頁・様式は、中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程(令和3年6月15日規程令3第13号。規程令7第5号による改正後のもの)のものです。

1 交付規程は、申請・承認通知書・報告書の順序を定めています

財産処分の手続は、交付規程の上では、番号の付いた様式のやり取りとして組まれています。関係する条文を、順に引きます。

引用(同交付規程24条3項。同規程7頁)「補助事業者は、前項の規定により定められた期間内において、処分制限財産を処分しようとするときは、あらかじめ様式第12-1による承認申請書を中小機構に提出し、その承認を受けなければならない。」
引用(同交付規程24条4項。同規程8頁)「補助事業者は、前項の承認を受け、処分制限財産を処分した場合、様式第12―2による承認通知書に記載がある書類を様式第12-3による財産処分報告書に添付して中小機構に提出するものとする。」
引用(同交付規程24条6項。同規程8頁)「中小機構は、補助事業者が処分制限財産を処分するときは、様式第12-5による納付通知書により、当該処分制限財産に係る補助金額を限度として、納付させることができるものとし、補助事業者は当該納付命令にしたがって納付しなければならない。なお、当該処分については、補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて(平成16・6・10会課第5号)の各規定を踏まえ取り扱うものとする。」

三つの様式が、順序をもって置かれています。①事業者が様式第12-1の承認申請書を出す。②中小機構が承認し、様式第12-2の承認通知書を出す。③事業者は、承認を受けて処分した後、承認通知書に記載がある書類を添えて、様式第12-3の財産処分報告書を出す。4項は、報告書に添える書類を「承認通知書に記載がある書類」と定めていますから、承認通知書が事業者の手元にあることを当然の前提にしています。そして、様式第12-5の納付通知書は、この三つとは別の項(6項)に置かれ、「納付させることができる」という、しなくてもよい形で定められています。

一つ、射程を切っておきます。同条5項は、承認通知書が出ない入口を別に置いています。

引用(同交付規程24条5項。同規程8頁)「補助事業者は、処分制限財産が災害又は火災(補助事業者等の責めに帰すことができない事由による場合に限る。)により使用できなくなった場合若しくは立地上又は構造上危険な状態にある場合の取壊し又は廃棄を行った場合は、第3項の規定にかかわらず、様式第12-4による財産処分報告書を中小機構に提出することにより、財産処分の承認を受けたものとみなすことができるものとする。」

災害・火災で使えなくなった場合と、立地上又は構造上危険な状態にある場合の取壊し・廃棄については、報告書の提出で承認を受けたものとみなされますから、承認通知書が出ないのが制度の建てつけです(この場合の扱いは、Q&A「災害や火災で使えなくなった設備、危険で取り壊した建物」で述べています)。以下は、この5項の場合ではなく、様式第12-1による承認申請をした場合の話です。5項に当たらない通常の処分について、承認申請をしたのに承認通知書が出ないという状態は、交付規程の予定するところではありません。

様式第12-2の承認通知書の本文も引いておきます。中小機構が事業者に宛てて出す書面で、こう書かれています。

引用(同交付規程様式第12-2「中小企業等事業再構築促進補助金に係る財産処分承認通知書」。同規程73頁)「○○○○年○○月○○日付けで申請のありました件については、中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程第24条第3項の規定に基づき、これを承認することといたしましたので通知します。」
「なお、財産処分を行った場合は、同条第4項の規定に基づき、様式第12-3財産処分報告書を、下記の資料と併せてご提出ください。」

承認通知書には、どの日付の申請に対する承認なのか、承認の日はいつなのか、処分の後に何を出すのかが書かれることになっています。事業者は、この書面によって、承認されたこと、承認の日、処分してよい状態になったことを知る仕組みです。

なお、様式第12-2の欄外には「システムから確認頂く内容です。」という注記があります(同規程73頁。様式第12-1の欄外は「システムで操作し、申請頂く内容です。」)。承認通知書は、申請システム上で確認する運用が予定されているということです。したがって、紙が郵送されてこないこと自体は、承認通知書が出ていないことを意味しません。確かめるのは、申請システム上に様式第12-2の承認通知書が掲出されているか、されているとすればその日付です。掲出されているのであれば、その日が承認の告知の日です。掲出もされていないのであれば、承認の告知はありません。以下で「承認通知書が交付されていない」というのは、この後者の場合です。

公式の「よくあるご質問」も、この順序を前提に書かれています。次のQ10は、補助事業の完了後に事業を廃止する場合の手続を説明した箇所ですが、承認の受け方について、こう書いています。

引用(事業再構築補助金「よくあるご質問」「補助金交付候補者の採択後の手続きについて」Q10(faq0056)。https://jigyou-saikouchiku.go.jp/faq.html 、2026年10月閲覧)「廃止の届出の受付完了後、処分制限期間内※の取得財産については、速やかに「様式第12-1 財産処分承認申請書」を事務局に提出し、「様式第12-2 財産処分承認通知書」による事務局の承認を受けてください。」
引用(同「よくあるご質問」「財産処分について」Q16(faq0166)。同じく2026年10月閲覧)「財産処分に関する手続きの完了後、事務局より「中小企業等事業再構築促進補助金に係る財産処分に伴う納付について」(様式第12-5)を通知します。」

承認は「様式第12-2 財産処分承認通知書」によって受けるものであり、納付通知書は「財産処分に関する手続きの完了後」に出るもの。公式の説明も、そう言っています。なお、公式の説明は承認と通知の主体を「事務局」と書いていますが、交付規程24条3項・6項が主体として挙げているのは中小機構であって、事務局ではありません(この点は、Q&A「実地検査に来たのは、どこの誰ですか」で述べています)。5項の場合を別にすれば、承認通知書が交付されないまま納付通知書だけが届く運用は、24条3項の承認申請をした場合について交付規程が定める順序にも、公式の説明にも合っていません。

2 承認通知書がないと、何が分からないのか

承認通知書が交付されないことは、書面が一通足りないという形式の問題にとどまりません。納付命令の正体は、承認という行政行為に付けられた附款(負担)です。附款とは、許可や承認といった行政行為の本体に付け加えられる定めのことで、負担とは、そのうち、法令で課される義務とは別に作為又は不作為の義務を課すものをいいます。金銭の納付義務は、その作為義務の例です(荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)79〜80頁。詳しくは前掲のQ&A「納付命令だけを争えるのか」の1)。納付義務の根拠が承認の附款にあるのだとすれば、承認通知書がないままでは、事業者には次のことが分かりません。

  • 承認がされたのか。納付通知書は「財産処分に伴う納付について」の通知であって、承認の通知ではありません。承認がされたのか、されたとしていつなのかは、納付通知書からは読み取れません。
  • 承認の対象は何か。承認通知書は申請の日付を引いて承認する書面ですから、どの申請(どの財産の、どの処分方法)に対する承認なのかが特定されます。これがないと、たとえば譲渡として申請したものが、どう扱われて承認されたのかが分かりません。
  • 承認に納付の条件が付いていたのか、いたとすればどういう内容か。経済産業省の取扱通達(平成16・6・10会課第5号。以下「財産処分取扱基準」といいます。名宛ては経済産業大臣等ですが、交付規程24条6項が「各規定を踏まえ取り扱う」として取り込んでいるものです)は、22条の承認をする場合には国庫納付条件を「付さなければならない」としつつ(同基準3.(1))、一定の場合には国庫納付条件を「付さないことができる」と定めています(同基準5.(2))。付けるか付けないかは承認の際の判断であり、それが示されるべき書面は承認通知書です。
  • いつから何日が過ぎているのか。取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月です(行政事件訴訟法14条1項。正当な理由がある場合の例外と、処分の日から1年という別の上限(同条2項)がありますが、6か月で数えておくのが安全です。詳しくはQ&A「取消しから6か月を過ぎたら」)。承認を争う場合、起算点は承認を知った日ですが、承認通知書がなければ、承認を知った日というものがそもそもありません。

つまり、承認通知書が交付されないまま納付通知書だけが届く運用では、事業者は、納付義務があるのかどうかと、その金額を、納付通知書で初めて知ることになります。承認の時点で義務の内容が事業者に告げられていた、とはいえない状態です。この点が、次に述べる争い方に直結します。

3 後から届いた納付通知書は何か――東京高判平成31年3月7日と同じ構造です

(1)行政側の言い分として予想されるもの

納付通知書を争おうとすると、行政の側からは、「納付通知書は処分ではない。承認の附款で既に生じた義務の履行を求めているだけだ」という反論が予想されます。その根拠になるのが、最三小判令和3年3月2日民集75巻3号317頁の最高裁判所判例解説民事篇(令和3年度)の次の一節です。前後を落とさずに引きます。

引用(荒谷謙介・最高裁判所判例解説民事篇令和3年度(上)83〜84頁)「なお,本件申請においては具体的返納金額が記載されていたものの,これを受けてされた本件承認の附款である本件附款には,納付すべき金額が具体的に特定して記載されていたものではないが,これにより補助金相当額のYへの納付という義務が課されるものである。その後にされた関東農政局長による納付の求めは,これにより,XからYへの納付という義務を発生させるものではなく,行政処分には当たらないと考えられる。第1審・原審は「本件納付命令」という略語を用いているものの,本件附款により発生した義務の履行を求めるにすぎないものである。」

この一節は、附款に納付すべき金額が特定して記載されていなくても、附款によって納付義務は課され、その後の納付の求めは義務を発生させるものではない、と言っています。金額が附款に書かれていたかどうかは、理由になっていません。理由は、承認に附款が付され、その附款により義務が課されたという一点です。なお、この事案は、補助事業者(県)が間接補助事業者の財産処分を承認するについて国(関東農政局長)の承認を受けたものであり、解説は、その承認は本来22条に基づくものとしてではなく、7条3項による交付決定条件に従ってされるべきものであった、としています(同82頁)。22条の承認そのものの事案ではありませんが、解説は、22条の承認に納付の条件を付すことができるのと同じ考え方で、この承認に付された附款の許容性を論じていますので、行政の側は、この一節を22条の承認の場面にも当てはめてくると見ておくべきです。

そのうえで、この一節の前提を押さえておきます。解説はこの点を理由として挙げていませんが、その事案では、承認がされたこと、承認に納付の附款が付されたことを前提に、附款の適法性が争われています。承認と附款の存在が事業者に告げられていた事案です。承認と附款の存在が告げられていたからこそ、後の納付の求めを「附款により発生した義務の履行を求めるにすぎない」と位置付けることができる。これは解説の論理ではなく、当職の評価です。

(2)承認通知書がない場合は、前提が違います

承認通知書が交付されていない場合、事業者には、承認がされたことも、附款が付いたことも、その内容も告げられていません。義務の有無と金額が初めて事業者に示されるのは、納付通知書です。

ここで、行政の側からもう一つ予想される反論を先に片付けておきます。様式第12-1の承認申請書の本文は、「下記のとおり申請するとともに、所定の計算式により算出した収入を納付します。」と結ばれ、「見積額及び取得価格」の欄と、算定方法の注記(「見積書を3者以上徴取した場合は最も高い見積額を記載し、鑑定評価額とする。」「目的外使用、無償譲渡、無償貸付等の補助金返還額は、残存簿価相当額を以て算出する。」)を備えています(同規程72頁)。ここから、「申請書の段階で納付の基礎と算定方法は定まっている。納付通知書は履行の求めにすぎない」という反論が予想されます。しかし、申請書の文言は事業者の側の申出であって、承認がされたこと、承認に国庫納付条件が付されたこと、その額が告知されたこととは別です。国庫納付条件を付すか付さないかは、承認の際の中小機構の判断です(交付規程24条6項の「納付させることができる」、財産処分取扱基準5.(2)の「付さないことができる」)。付さない場合があるのですから、申請書に算定の前提が書かれていても、それだけで納付義務が定まるものではありません。

この場面に近い構造の事件が、東京高判平成31年3月7日訟務月報65巻8号1155頁(平成30年(行コ)第289号)です。国有財産の使用許可に際して使用料は「別途通知する額」とされ、使用期間の最終日の直前に届いた納入告知書で初めて金額が示された事件で、裁判所は、使用料を使用許可に付される附款(負担)と位置付けたうえで、許可に後れて決定され告知された場合でも附款であることは変わらないとし、「上記送付による告知に当たって,本件使用許可の附款として別途定めるとされていた使用料を確定する行政処分がされたものと解することが相当である」と述べました(判決理由第3の2)。この判決は確定しています(判例タイムズ1470号141頁のコメントによれば、国は上告しませんでした)。判示の引用と事件の詳しい紹介は、コラム「承認や許可に『あとで額を通知する』という条件が付いていたら」で行っています。

この判決の事案と、承認通知書なしに納付通知書だけが届く運用とを並べると、構造は同じです。本体の行為(使用許可・22条の承認)は法律に基づく処分である。本体の処分がされれば当然に金銭の納付義務が生じる仕組みにはなっておらず、負担を付けるかどうかとその額は行政の側の判断に委ねられている(財産処分取扱基準5.(2)、交付規程24条6項の「納付させることができる」)。そして、額は本体の処分の段階では事業者に示されず、後から届く通知で初めて示される。承認通知書がない場合には、東京高判の事案よりも徹底しているとみる余地があります。東京高判の事案では、使用許可そのものは許可書で告知され、「額は別途通知する」という附款の存在だけは許可の時点で分かっていました。承認通知書がない場合には、承認がされたことも、附款の存在も、事業者に告げられていないのですから、納付通知書の時点より前に、事業者との関係で義務の内容が確定していたとみる余地は、なおさら乏しいと考えております。

したがって、承認通知書が交付されないまま届いた納付通知書は、承認に付されるべき負担の内容(納付させるかどうか、いくらか、いつまでか)を確定して告知した行為であり、それ自体が取消訴訟の対象になると考える余地があります。前記の最高裁判所判例解説民事篇(令和3年度)の整理は、承認とその附款の存在が事業者に告げられていたことを前提とするものであって、承認通知書がない場合にそのまま当てはまるものではないと考えております。

次のような場合は、納付の前にご相談ください

  • 財産処分の承認申請をしたが、承認通知書(様式第12-2)が届かないまま、納付通知書(様式第12-5)だけが届いた
  • 承認されたのかどうか、いつ承認されたのかを問い合わせても、書面で答えてもらえない
  • 納付通知書に金額と期限はあるが、金額の算定根拠や、納付を求めない場合の検討の有無が書かれていない
いまの状況を相談する →お電話:070-3618-5126(受付:平日10:00〜18:00、出られないときは折り返します)

関連ページ: 納付命令だけを争えるのか――附款の限界(Q&A)/東京高判平成31年3月7日――後から届いた額の通知は処分か(裁判例紹介)

4 納付通知書が届いたら、何を確かめるか

以上を踏まえ、承認通知書がないまま納付通知書が届いたときに確かめることを、順に並べます。

  • (1)届いた書面の様式番号と日付を押さえます。様式第12-5(財産処分に伴う納付について)であれば、それは24条6項の納付通知書であって、24条3項の承認の通知ではありません。受け取った日を記録してください。取消訴訟の6か月は、この日から数えておくのが安全です。
  • (2)承認通知書の有無を、様式の番号を挙げて書面で照会します。様式第12-1の申請がいつ受け付けられ、申請システム上に様式第12-2の承認通知書が掲出されているのか、掲出されているとすればその日はいつか、掲出されていないとすれば承認はされているのか、承認に納付の条件が付されているのか、財産処分取扱基準5.(2)の「国庫納付条件を付さないことができる」場合に当たるかどうかが検討されたのか。これらを、電話ではなく書面で尋ね、回答も書面で求めてください。問いを様式の番号で特定しておくと、回答もその粒度で返ってきます。電話の回答だけで進める危険は、Q&A「窓口が電話で『処分して大丈夫』と言ったのに」で述べています。
  • (3)納付通知書に算定根拠が書かれているかを見ます。負担の内容を確定して告知する行為であれば、その内容が特定されていることが前提です。国庫納付額の算定方法は財産処分取扱基準4.に定められていますので(有償譲渡・有償貸付けは譲渡額・貸付額に補助率を乗じた額、転用・無償譲渡・無償貸付け・交換・取壊し・廃棄は残存簿価相当額に補助率を乗じた額、など)、どの区分で、どの数値を当てはめたのかが通知書に示されていれば、検算はできます。様式第12-5には「納付の理由」と「納付金額」の欄がありますが、算式の欄はありません。どの区分でどの数値を当てたのかすら示されておらず検算ができないのであれば、基準のどの定めをどう当てはめたのかが追えないということですから、裁量の逸脱・濫用を検討する入口になります。算定根拠は、(2)の照会と併せて書面で求めてください。残存簿価相当額の検算は、Q&A「『残存簿価相当額』は帳簿の簿価ではないのか」で述べています。
  • (4)納付期限と出訴期間を分けて数えます。様式第12-5の納付期限は「本書発信日より30日以内」です(この「30日」の出所は、Q&A「通知日より30日以内に一括して納付」はそのとおりなのかで確かめています)。他方、取消訴訟の出訴期間は6か月です。納付期限が先に来ますので、期限までに納付するかどうかは、争う道を確かめたうえで、資金繰りと一緒に決めることになります。処分である通知に従って納付した後に、額が過大だったとして取り戻すには、処分の取消し又は無効を経ることになり、道は狭くなります。
  • (5)争う対象は、承認と納付通知書の両方にします。前記3のとおり、納付通知書が独立の処分と扱われるかどうかは確立していません。承認がされているのであれば承認(とその附款)を、納付通知書を独立の処分として、いずれも対象にし、処分に当たらないとされる場合に備えて納付義務の不存在確認を併せておく。承認がされていないのであれば、附款もなく、納付義務の根拠を欠くことになります。もっとも、「承認がされていない」という整理は、両刃です。承認がないまま処分を済ませているのであれば、承認を受けない財産処分として、交付決定の取消し(補助金適正化法17条1項)、返還命令(同法18条1項)と加算金という、納付命令よりはるかに重い帰結を招きかねません(この帰結の中身は、Q&A「承認を得ずに処分を行うと……取消・返還命令(加算金付き)の対象」はそのとおりなのかで述べています)。どちらの筋で争うかは、承認の有無を(2)の照会で書面により確かめたうえで決めることになります。どこに不服を言うかは、Q&A「取消しの通知に不服があるとき、どこに言えばよいのか」で整理しています。

交付規程は、様式第12-1による承認申請をした場合について、申請、承認通知書、報告書という順序を定め、公式の説明も、承認は承認通知書によって受けるものだと言っています。その承認通知書が交付されないまま納付通知書だけが届いたのなら、事業者が納付義務の有無と金額を知ったのは、その納付通知書の時点です。何がいつ決まったのかを書面で確かめ、受け取った日を押さえ、承認と納付通知書の両方を対象にして動く。順序はこのとおりです。

財産処分の承認申請をしたのに承認通知書(様式第12-2)が届かないまま納付通知書(様式第12-5)だけが届いた事業者の方、承認の有無や日付を問い合わせても書面で答えてもらえない方、顧問先・支援先からこのようなご相談を受けている中小企業診断士・行政書士・税理士の先生方は、納付通知書を受け取った日から日数が進みますので、振り込まれる前にご相談ください。承認申請書、納付通知書、事務局とのやり取りの記録があれば、何がいつ決まったのかの検討ができます。

根拠(条文・公式資料・裁判例)

※ 交付規程は補助金ごと・公募回ごとに版が異なります。条数と文言は、お手元の交付決定通知書に記載された交付規程でご確認ください。

関連ページ

※ 本ページは一般的な法的整理を示すものであり、個別の事案についての結論を保証するものではありません。

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